○千葉市美術館 『蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち』(2012年4月10日~5月20日)
千葉市美術館の『蕭白』、これはもう「キタ━(゜∀゜)━!!」を使うしかないでしょう、絵文字嫌いなんだけど。2000年に蘆雪、2001年に雪村、2004年に岩佐又兵衛、2010年に若冲と、奇想の系譜を連ねてきた千葉市美術館なればこそ。…と思ったら、同館は、すでに1998年に『江戸の鬼才 曾我蕭白展』という展覧会を開催していることをはじめて知った。そうなのか~。私の場合、2005年、京博の『曾我蕭白 無頼という愉悦』が、この画家を知った最初の体験だった。その後は、ずいぶん追いかけていたので、今回が「首都圏では1998年以来久々の蕭白展」と聞いて、え!と驚いた次第。
出品数は、蕭白周辺の画家の作品をまじえて全109点。しかし、5/2~ほとんどの展示作品が入れ替わるので、1回で見られるのは、ほぼ半数。うーん、後期も行きたいなあ、行けるかなあ。冒頭「蕭白前史」では、蕭白に先駆けて、復古的かつ個性的な傾向を示した画家を紹介する。高田敬輔(蕭白の師)、大西酔月など、認知していなかった画家を少し覚えた。
しかし、やっぱり蕭白の個性は隔絶していると思う。芸大蔵の『柳下鬼女図』や、エッチな目つきのおじさん『林和靖図屏風』など、おなじみの名品が来ていた。三重・西蓮寺の『鳥獣人物図押絵貼屏風』は、単純化された輪郭で描いた人物が面白かった。文句なく見とれたのは『月夜山水図襖』(鳥取県立博物館)。なるほど、蕭白って、何度も繰り返し、月夜山水図を描き続けるんだ。
蕭白というと、私の場合、最初に思い浮かぶのは奇矯な人物画(あるいは人間くさい獅子や龍の顔)なのだが、彼の山水図は素敵だなあ、とあらためて思った。滋賀・近江神宮蔵『楼閣山水図屏風』(琵琶湖文化館で見たなあ)という傑作があることは論を俟たないが、ほかにも様々なタイプの山水図を描いている。滋賀・大角家の『楼閣山水図襖』は、奇想のカケラもないような、平明できっちり構築された山水図。鉄斎堂(お店なのか~)所蔵の『瀟湘八景図屏風』は、広々した余白に、屹立する、しかし、ほわわんと柔らかい山容が描かれている。へえ、これは私の知らなかった蕭白だ。図録の解説を読んだら「今回が初紹介となる屏風」だそうだ。
既知の蕭白では、三重・継松寺蔵『雪山童子図』。童子の赤い腰布、赤い唇と、樹下の羅刹の青い身体が対比的。樹木から下がるオレンジ色の布(童子の衣か)もなにげに効いている。確か、京博の蕭白展のポスターだか図録の表紙だかに使われていた作品。久しぶりに「円山応挙が、なんぼのもんぢゃ!」の名コピーを思い出した。
三重県立美術館の『竹林七賢図襖』は、あ~これ、見た見たと、鮮明に記憶がよみがえったのだが、調べてみると、2005年の京博展で見た記録しかない。え、そんなに古い記憶だったのか、と驚く。図録の解説には、七賢のうちの二人が、残る五人と袂を分かち去っていく場面と説明されていた。そうだったのかー。不思議な哀しさと懐かしさの交錯する作品で、私は、右端に遅れてきた一人を、もう一人が迎えに出る場面かと思っていたのに。
最後に。辻惟雄先生や小林忠先生による記念講演会シリーズ、行き逃してしまった。2010年の若冲展で懲りたのか、往復はがきによる事前申し込み制にしたのは、正しい措置だと思うが、ネット中心の生活をしていると、郵便局に縁がないので、往復はがきを買いに行くって、意外とハードルが高いのである。残念。
千葉市美術館の『蕭白』、これはもう「キタ━(゜∀゜)━!!」を使うしかないでしょう、絵文字嫌いなんだけど。2000年に蘆雪、2001年に雪村、2004年に岩佐又兵衛、2010年に若冲と、奇想の系譜を連ねてきた千葉市美術館なればこそ。…と思ったら、同館は、すでに1998年に『江戸の鬼才 曾我蕭白展』という展覧会を開催していることをはじめて知った。そうなのか~。私の場合、2005年、京博の『曾我蕭白 無頼という愉悦』が、この画家を知った最初の体験だった。その後は、ずいぶん追いかけていたので、今回が「首都圏では1998年以来久々の蕭白展」と聞いて、え!と驚いた次第。
出品数は、蕭白周辺の画家の作品をまじえて全109点。しかし、5/2~ほとんどの展示作品が入れ替わるので、1回で見られるのは、ほぼ半数。うーん、後期も行きたいなあ、行けるかなあ。冒頭「蕭白前史」では、蕭白に先駆けて、復古的かつ個性的な傾向を示した画家を紹介する。高田敬輔(蕭白の師)、大西酔月など、認知していなかった画家を少し覚えた。
しかし、やっぱり蕭白の個性は隔絶していると思う。芸大蔵の『柳下鬼女図』や、エッチな目つきのおじさん『林和靖図屏風』など、おなじみの名品が来ていた。三重・西蓮寺の『鳥獣人物図押絵貼屏風』は、単純化された輪郭で描いた人物が面白かった。文句なく見とれたのは『月夜山水図襖』(鳥取県立博物館)。なるほど、蕭白って、何度も繰り返し、月夜山水図を描き続けるんだ。
蕭白というと、私の場合、最初に思い浮かぶのは奇矯な人物画(あるいは人間くさい獅子や龍の顔)なのだが、彼の山水図は素敵だなあ、とあらためて思った。滋賀・近江神宮蔵『楼閣山水図屏風』(琵琶湖文化館で見たなあ)という傑作があることは論を俟たないが、ほかにも様々なタイプの山水図を描いている。滋賀・大角家の『楼閣山水図襖』は、奇想のカケラもないような、平明できっちり構築された山水図。鉄斎堂(お店なのか~)所蔵の『瀟湘八景図屏風』は、広々した余白に、屹立する、しかし、ほわわんと柔らかい山容が描かれている。へえ、これは私の知らなかった蕭白だ。図録の解説を読んだら「今回が初紹介となる屏風」だそうだ。
既知の蕭白では、三重・継松寺蔵『雪山童子図』。童子の赤い腰布、赤い唇と、樹下の羅刹の青い身体が対比的。樹木から下がるオレンジ色の布(童子の衣か)もなにげに効いている。確か、京博の蕭白展のポスターだか図録の表紙だかに使われていた作品。久しぶりに「円山応挙が、なんぼのもんぢゃ!」の名コピーを思い出した。
三重県立美術館の『竹林七賢図襖』は、あ~これ、見た見たと、鮮明に記憶がよみがえったのだが、調べてみると、2005年の京博展で見た記録しかない。え、そんなに古い記憶だったのか、と驚く。図録の解説には、七賢のうちの二人が、残る五人と袂を分かち去っていく場面と説明されていた。そうだったのかー。不思議な哀しさと懐かしさの交錯する作品で、私は、右端に遅れてきた一人を、もう一人が迎えに出る場面かと思っていたのに。
最後に。辻惟雄先生や小林忠先生による記念講演会シリーズ、行き逃してしまった。2010年の若冲展で懲りたのか、往復はがきによる事前申し込み制にしたのは、正しい措置だと思うが、ネット中心の生活をしていると、郵便局に縁がないので、往復はがきを買いに行くって、意外とハードルが高いのである。残念。