三連休の最終日。前日、なんとか帰りの新幹線の席は確保できたが、13:00には京都を発たなければならない慌しさ。半日で大津市歴史博物館に行って、さらに六波羅蜜寺の本尊ご開帳にお参りすることができるだろうか?と、あれこれシミュレーションしてみた。案ずるより生むが易し。六波羅蜜寺は朝8時開門なので、とにかく早起きして出かければいいのである。
今月初めに訪れた友人の話では、ご開帳人気か清盛人気か、たいへんな盛況だったというが、朝早い境内は、人もまばらで清々しかった。お堂に上がる前から、大きな十一面観音の立ち姿が目に入り、なつかしくて、嬉しかった。秘仏のご開帳は、お寺によっては、言葉は悪いがゴテゴテ飾り立てたり、ケチくさく幔幕を下ろして半分くらい姿を隠してしまうこともあるが、ここは、おおらかに扉を開けて、堂々たる体躯を朝の寒気に曝しているのが、気持ちよかった。
六波羅蜜寺には何度も来ているが、この十一面観音立像を初めて拝したのは、12年前の辰年ご開帳だったと思う。あれから12年かー。当時、六波羅蜜寺に行こう!と色めきたった友人たちが、今も見仏仲間であることに感謝したい。
納経所でご朱印をいただいているとき、赤い封筒に入った「散華」が目に入った。空也上人像と地蔵菩薩坐像(運慶作)と秘仏ご本尊十一面観世音菩薩立像の写真をプリントした三枚セットである。ええ~こんな商品、いや授与品、いつから始めたんだろう。「初めて作ってみたんですよ」とニコニコ笑う納経所のおじさん。「辰年ご開帳(~12/5)の間だけですか?」と聞いてみると、「どうかねえ」と首をかしげる。来年は開山1050年の記念の年に当たるので、その間は置いているかもしれないが不確実、とのこと。
「こっちは確実に辰年ご開帳の間だけですよ」と教えられたのは、薄紫の紙に「淵龍」の二文字を大きく印刷したお札。実は、その前から、12年前のご開帳のとき「○○○龍」(文字数が定かでない)という特別なお札を見た記憶が、おぼろげによみがえっていたのだ。「五色ありまして、今年は紫です」というのを引き取って「前回は緑でしたよね!?」とお聞きすると、「そうそう、次回は白です」という話になった。「私、12年前にも来たんですよ~!」と勢い込んだが、緑のお札をいただいたかどうか、いただいたとしても、今どこにあるか、全く定かでない。しまった。納経所のおじさんも「うちは家族が始末しちゃったみたいでねぇ」と残念そうな口ぶり。
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こういうのは目につくところに飾っておくほうが失くさないんだろうな。次の12年後まで、毎日眺めて暮らそうかしら。
ところで、なぜ「辰年ご開帳」かを調べてみたら、六波羅蜜寺の前の池に悪事を働く龍が棲んでいたのを、空也上人が改心させたことに由来するのだそうだ。京都には、あちこちに龍がいたんだな。神泉苑だけでなくて。
そして、京阪電車で、最後の目的地、大津(別所)へ向かう。