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「未明の砦」太田愛著
2023年 角川書店発行
夜な夜な読み進め、やっと読み終えた。
この一冊で日本の労働問題についてすこぶる知識を得た気持ち。
読みながら「小説」だということを何度も忘れてしまいそうになる。
まるで経済学書か労働問題の学術書を読んでるんだっけ?と錯覚が起きる。
腐敗した日本政治の現状。
怒りを知らない従順な民、ニホンジン。。。
『日本には民主主義は根づかなかった』
『この国の民主主義が国民の手で勝ち取られたものではなかったから』
何度もハッとさせられガツンとやられてしまう。。。
確かにそう。
ニホンジンは気がついたら生温い生活の中に身を置きこういうもんだと思い込んで暮している。
だから権利を主張する貪欲さがないのか…。
『政治家という名の利権分配屋は何をしても処罰されることなく、もはや法治国家でさえなくなりつつある』
いやはや
全くもっておっしゃる通り。。。
普段漠然と感じていたことをこの本が気持ちの良いほどスパスパと言語化してくれている。
長編な上に登場人物が多く複雑な小説ではあるけれど、さすが太田愛氏。
やっぱりラストは清々しい。
いろいろとものを考えさせられる一冊。
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太田愛氏の最初の3作の小説に出てくる愛すべき御三方の再登場を心待ちにしているんだけどなぁ〜
次作はぜひ彼らの活躍がみたいものだな〜!