時間のしずく time drops 

たいせつなもの。すきなこと。

闇の向こう

2010-12-27 | essay

 

闇の向こう側。

五年半前の母との別れは、とても急なものだったので
わたしにはなにもこころの準備が出来ていなかった。

子どもたちもまだ幼く、命を育てることに一所懸命で
「死」という言葉が入り込む余地などない穏やかな日々に悲しみは突然やってきた。

一寸先は闇。
悲しみは、突然やってくるもの。
ノックもせずにドアを突き破って、悲しみは上がり込む。

けれど、だんだん、解かってきた。

「一寸先は闇」
それは、先の見えない恐怖。真夜中の暗がり。
おろおろしても、じたばたしても、怖くて震えても、泣き明かしてもいいんだよ。
だって、それは自然なこと。

でもね、その先には、必ず明るい朝がやってくる。
どんなに真っ暗闇でも、少しづづ夜明けはここにもやってくる。

いろんな悲しみを越えてきた母もよく、「明けない夜はないよ」って言っていたっけ。

時間はかかるけれど、どんな大きな悲しみだって
呑み込んで自分のものにしてしまえるって、やっとわかった。
自分のほうが呑み込まれそうにみえる時期があっても、
それはただの幻影だから、悲しみに負けてしまわないで。

「一寸先は闇」 この言葉を少しだけ肝に命じておくことは必要だけれど、
二寸先は光、って思うことにしておこう!

だからね、まだ起きてもいないことを、あれこれ憂うことなかれ。君よ。

もしも、闇に巻かれることがあっても、ちゃんと出てこられるよ。
一歩一歩手さぐりでも真っ直ぐに歩いて行けば、必ず出口は見つかるから。

だいじょうぶだからね。

  


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