子どもたちが幼稚園に通っていたころ、
よく灰色のうぶ毛の生えたような植物を拾って制服のポケットに入れて持ちかえってきた。
バス通園だったので、待ち時間に園庭で遊んでいる間に拾っていたらしいのだが・・・。
代々、これを「オオカミの爪」と呼ぶことが子どもたちの間で受け継がれていたようで、
確か長男もそう呼んでいたし、入れ替わりに通っていた次男もそのあとの末娘もその友達も
みな「オオカミの爪」と呼んで、競って拾ってきては丁重に扱っていた。
獣の爪のように三角で、少し固いのだけれど、その表面は柔らかくてふわふわな毛並みに
覆われている。
しばらくしてから、その物体の正体がやっと分かった。
「オオカミの爪」はハクレン(ハクモクレン)の蕾の皮なのだった。
ネコヤナギの大型判、というようないでたちのハクレンの蕾は、
触ると手触りはまるで動物の柔らかい毛並みのよう。なんとも温かい。
オオカミの爪に温かく守られていたのは・・・
こんなにもうつくしい白いお花だったんだよ。
植物の自然な営みは、そこはかとなく つつましく
太古の昔からの約束をきちんと果たしている。
けなげにきちんと生きている植物も、動物も、そして子どもたちも
みんな同じこの星にくらしているんだよね。
ニンゲンのオトナたちの驕りのせいで、
無垢なものたちを眼に見えないもので汚してしまうのは酷く罪なことだ。
白木蓮の真っ白な花。サクラと共に満開です。
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