時間のしずく time drops 

たいせつなもの。すきなこと。

アイというもの。

2010-07-09 | essay
    

14年前、初めての赤ん坊の長男を産んだ直後、
わたし、完全にシャケの気分だった。

もうわたし、この世での役目を終えてもいいって、瞬間思った。

ま、それも束の間。
赤ん坊がいとおしくていとおしくて、
シャケみたいに川に流されちゃおられない!
って次の瞬間にはニンゲンに戻っていたけど。

赤ん坊への「アイ」が泉のように湧き出て
ほかのものはすべて色褪せてしまった時期があった。

生まれてからの蜜月。
野性の(?)母性に支配されてしまって、
物欲も、仕事への欲もスポッと消えちゃった。
音楽も映画も本も何もかも、すきだったものが、
すべてなくても構わないってくらい。

全身全霊でわたしを必要としているか弱い存在を
守るためだけに生きるしあわせ。
まさに、ほかには何もいらない。って気分だったなあ。
人生のリセットボタン押しちゃったみたいだった。

あんな時期は人生においてそうそうない。
盲目的な愛。
わたしが不器用なせいかもしれないけれど、
あれがいわゆる動物的な母性だったのだろうなあ・・・

二人目を考えた時、
ふたり目の子も同じように愛せる余力が自分に残っているのだろうか、と
こころに不安がよぎったのをよく覚えている。

果して二人目も三人目も、心配には及ばず、
「アイ」というものはちゃんと涸れることなく
こんこんと湧き出るものなのだと証明されたのであった~。

それにしてもあんなリセット気分は、今振り返ってみても
第一子限定だったなあ!

第三子の末娘も、もう8歳。子どもたちの成長とともに、
わたしの中では沸々と、元来のあらゆるものへの好奇心と
探究心が首をもたげてきているところ。

それにしても、

いろんな面に於いて、本能に一途に従いすぎる傾向がわたしにはある。
直観だけを頼りに前進し、時には自分自身にすら翻弄されてしまう。

もうオトナなんだし、もうちょっと計算するとか、先を読むとか、
うまく端折るとかして、上手に生きなきゃいけないよな、
と思ったりもしてみる。

でも、まあ、こころくらいは、風まかせ~に生きたいね~。



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