「本心」 石井裕也監督 ◯
平野啓一郎原作の近未来が舞台の小説を実写映画化しました。
工員の朔也(池松壮亮)は仕事帰りに母(田中裕子)から電話で「話がある」と言われます。大雨の中自宅近くに着いたとき、増水した川に母親が落ちるのを目撃し助けようと飛び込みます。気がついたのは1年後。デジタル技術の進化の中朔也はロボットに仕事を奪われリアルアバターという便利屋のような仕事を友人の岸谷(水上恒司)に紹介されました。母親の友人だったという三好(三吉彩花)が災害にあったので、母親の部屋を使ってもらいます。実は母は「自由死」という制度の利用を考えていたことを知ります。母の本心を知るため母のヴァーチャル・フィギュアを制作するのでした。
「あっち側」と「こっち側」に分断された社会の歪みやデジタル技術が進化することから起きる軋轢、「自由死」というきれいな言葉で命を切り捨てさせようという権力者の思惑、などが絡み合った内容です。
原作を新聞連載中から愛読していた筆者にとっては挿絵のイメージが残っていてちょっとキャストとの違和感があったのと、岸谷がしたことの描き方が物足りず消化不良でした。残念。
タバコは、なし。無煙です。