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「ジョーカー」 R15+ トッド フィリップス監督 米 ☓☓☓NTS
DCコミックスで「バットマン」の敵役となっている「ジョーカー」の誕生物語を描きました。
同シリーズ映画で初めてベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞しました。
愛する母親から「どんなときでも笑顔で人を笑わせなさい。」と言われ育ったアーサー(ホアキン フェニックス)はピエロのメイクをし、街に立っています。しかし、理不尽な扱いばかり受けひどいときには病気の「笑い病」のため暴力まで受けるのでした。母親は今人気急上昇中の政治家と若い頃繋がりがあったことだけが頼りで彼に手紙を書き続けますが何の音沙汰もありません。その上アーサーは職場でミスを犯しクビになってしまいます。絶望の中アーサーの妄想は彼を苦しめ狂気の世界へと導いていくのでした。
悪の象徴のようなキャラクターとして存在していますが、その根底には救いのない深い絶望がありました。評価が高い理由には「救いのない社会」が広がっていてアーサーだけの特別な問題ではなくなっているところに世界の観客の共感が集まっているのではないかと思います。
予告編の編集が素晴らしくザワザワとした不安感が的確に表現されていました。
また、チェロの不気味な音楽が大変効果的でした。
タバコは、アーサーが常に喫煙していますが、これはひとつの「症状」として描いていると思われます。ただ、演じた俳優には結構過酷な仕事でしたね。全力で走らされたりしていたので命がけの演技でした。ちなみにタバコ会社はスポンサーになっていませんでした。