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「夜明けのすべて」 三宅唱監督 ◯ ☆☆
人気作家瀬尾まいこの同名小説を実写映画化しました。
PMS(月経前症候群)の藤沢さん(上白石萌音)は就職した会社で周囲から見ればとんでもないことをしでかし2ヶ月で退社、やっとのことで栗田金属に再就職しました。そこには山添くん(松村北斗)というやる気のない後輩がいました。藤沢さんはPMSの症状で山添くんが炭酸飲料を飲むときのプシュッという音に腹を立ててしまいます。一方山添くんは持病のパニック障害の症状が出たときに藤沢さんに助けられます。ふたりはお互いの病気を知り、友人でもなく恋人でもなく同士として不足を補いあうようになるのでした。
原作が大変良くできた小説で、パニック障害やPMSについて具体的に理解できる作品です。ある意味難病ものとも言えますが、栗田金属の社長(光石研)はじめ仲間が暖かく、悲壮感はあまりありません。それに山添くんが発病後久しぶりに声を出して笑ったように、二人のちょっと噛み合わない会話や行動におかしみを感じるからです。映画では原作の魅力を映像での表現をうまく取り入れています。特に山添くんがアイロン掛けをしている場面や藤沢さんの乱れた髪が印象的です。
病気があっても子育てをしていても働きやすい栗田金属のような職場がふえてほしいです。
原作ファンとしては「ボヘミアンラプソディ」のエピソードは見たかったですが、クライマックスをプラネタリウムにしたことは、映像的にもまた宇宙のロマンが加わり良かったかな。
タバコは、なし。無煙です。山添くんのかつての上司役で渋川清彦が登場する度に「タバコを吸うのではないか」とハラハラしましたが。