タイトルが「温泉百名山」、類似の書籍なら深田久弥氏の「日本百名山」だ。(並べておいた)期待を持って読む。途中から気がつく、日本百名山とはだいぶ違うね。
まず対象とする山は、両者で当然重複する、約半分だ。山の残りの半分は、あんまりメジャーな山ではない。温泉の方は、温泉の専門家であるだけに、中々の温泉が紹介されている。私の入った温泉もいくつかある。
各ページ構成は、1/3が写真、ただし大半がモノクロ。1/3が著者の行動記録や温泉などのデータブック、残りの1/3が紀行、登山道や展望、情景、動植物、などだ。
まず、写真、モノクロは訴えるものが半減する。深田久弥氏の場合は大昔で、モノクロはしょうがないが、こちらは新刊だ。山に温泉だから、カラー写真は欠かせない。出版社の都合でこうなったんだろう、読者に写真を見てほしいだろう著者は、ちょっと可愛そうだ。
それにデータブックのところ、誰それと同行したとか、別れたとかが、細かに書かれている。私はそこは何でもいいんだが。もっと紀行のところを充実してほしかったな。
最後の紀行文のところ、ここが一番読みたいところだが、映像と違って、正直、感動はあまり感じない、あってもあっさり、客観的に書かれている。残念ながら深田久弥氏とは差がある。深田久弥氏はプロの作家だ。著者には申し訳ないが、プロとアマの違いがここで出ている。
という訳で、後半の西日本、知らない山になると、飛ばし読みになってきた。読後の感想は、「感動があまりなかった。」書籍を買って、私の期待は「感動」だ。面白い!それは大変だった!素晴らしい!、そうかこんなところがあるのか!など、ビックリマークがつくところだ。この書籍、同じ百名山、百名湯を目指す者、どうもそれがない。もしかしたら、私がいろんなモノ、読み過ぎて、もう不感症になってるからかも。
この手の紀行は、紙の書籍はピッタリしないようだ。むしろ、SNSで軽く読むブログのように、カラー写真がふんだんにあり、データブックなら、最新の交通機関やホームページの情報などを載せたほうがより、親切だ。データは古くなると使えない。ネットなら更新可能だ。その上で、そのとき、その瞬間、感じたことを書くといい。
しかし、まあ、温泉の専門家が書いたものだから、プロの作家と比較しちゃ、可愛そうだよね。かなりの年齢で、病気をしながらよく登り、よく入浴したものです。脱帽!