続き。
基本的なことをやりました。午前中は「ハードルに必要な動き」の説明。アームアクションも含めてです。浮かないようにどのように腕を使うか。色々な動きの中で腕の使い方を覚えてもらいたいなと思います。そして「ハードル選手のためのドリル」もやりました。私の中では「基本」だと思っています。が、実際にやってみると「上手くできない」選手が多くいました。あー、これは良くないなと。練習の最初の段階で「体のコントロール」について話をしていました。自分の身体を上手く動かすことができるかどうかは重要。ハードル選手には必要な能力だと思っています。うちが練習で「ダンス基礎」をやるのもこのあたりが目的だったりします。自分の身体をどのように動かすのかをしっかりと理解してもらいたい。
タンブリングといって「空中で移動する感覚」を作る練習もしました。これは昨年の冬の県合宿に参加していた選手はある程度できました。この2年間くらいは私がやりたいなと思う動きを全てkrkくんにやってもらっていました。私の意図を汲んでくれる部分があります。こういう「感覚の共有」に関しては彼は本当に優れています。今回は仕方なくある程度私も手本を示しました。あまり運動をしていないので「手本」として相応しいかどうか疑問が残りますが。自分がイメージしている動きと実際の動きが異なる場合もあります。かなりの確率で私の身体が思うように動いていないと思います。それでも「雰囲気」が伝わればいいなと思っています。タンブリング。ハードル上で移動して一気に降りてくる。リード脚と抜き足は同時くらいです。この時にリード脚は伸ばしません。さらには抜き足も縦抜きでも良いという話をしています。リードと抜き足のタイミングの話だけで良いかなと。
午後は「ワンステップハードル」にしました。こちらのほうが「汎用性が高い」と思っています。うちの選手にはこの部分を移動距離を大きくして実施していました。しかし、基礎的な動きが疎かになってしまっていたので今は「最低限の距離」でしか行っていません。あくまで「スプリント」に活かすための「ワンステップハードル」でなければいけないかなと。ハードル選手にも「基礎」が必要です。しかし、「ハードルドリル」を細かく見てもらって指導を受ける機会は通常の学校の練習では少ないと思います。そうであれば「必要最低限の動き」ということで「ワンステップハードル」をやると良いと思っています。リード脚の締めや抜き足を立てるという部分もここに詰まっています。きちんと意識してやってくれればそれだけで「ハードルの基礎」は身につきます。
選手はどうしても「ハードリング」を良くしたいと思います。空中でかっこよく越えていく。たしかに必要なことだとは思います。無駄なエネルギーロスをなくしていくことでタイムの短縮ができます。しかし、「空中フォーム」を意識してもどうにもできない部分があります。ハードリンク自体は「踏切」で決まるからです。ここでしっかりと踏み切れていればあとは自然にハードリンクができます。空中でこういうふうに動こうと思ってもできないのです。そのあたりのことを意識させるために「一歩ハードル」を多用します。一歩ハードルでは「抜き足」がそのまま「踏切脚」になります。きちんと前まで持ってきて踏み切れなければ届かなくなります。当たり前の話ですが。「遠くから遠く」の感覚を作るためには必須かなと。このとき、「リード脚」に関しては伸びなくていいと思っています。そんな暇はないので。前にリード脚をもってくるときに伸びるのではない。振り下ろす結果として伸びてくるのだから一歩ハードルでリード脚が伸びるということは考えにくい。意識的に伸ばしている選手もいるでしょうが。ここも少し説明をしながら。
あとは3歩(4のリズム)で越えていく。これはよく試合の時のアップで行われているような動きです。実際の試合時は5歩(6のリズム)だと思いますが。ハードルが並んでいるときにスピードを上げずにハードルを越える練習をしている姿を見たことがあると思います。この動きですね。通常越えていく時には「すり足」のように速く処理して越えていきます。が、個人的にはあまり好きではありません。実際の動きと離れているので。分かりにくいとは思いますがこの日は「もも上げ」のような形で処理して跳ぶ練習をしました。実際のレースの時はすり足で動くことはありません。そうであればもう少し走りに近い形でやっていく必要があるのではないかと考えています。膝を上げずにすり足で速く動くのではなく「走り」に近づけながら足を上げながら踏み切る。距離はかなり詰めています。かなり改善が見られました。
最後はある程度の時間を与えて3歩(4のリズム)で練習。距離はかなり詰めました。男子が8m、女子が7mと6m。当然詰まります。シューズでやっていきました。この中でどのように走るか。ハードルとしては低いものを使用。それでも女子は「ディップ」をきかせ始めます。ほぼ無意味な状況になる。これがハイハードルなら違ってきますが、女子の低いハードルでディップをきかせる必要性は低いと思います。ディップをすることで着地時に頭が起きる。それにより「前へ進む推進力」が打ち消されます。そうであれば軸を傾けた状態でそのまま走るほうが速い。ディップをかける選手ほど着地時のブレーキが大きかったですね。そのあたりも何度も説明しながら。
ハードルを越えていくスピードが上がるので「癖」が出てきます。リード脚が過剰に伸びたり、抜き足が寝始めたり。こう時には原点に戻って「基礎の動きの確認」をさせました。高いスピードの中で修正するのは不可能だと思います。正確な動きを意識づけてからそれを実際の動きに生かしていく。「ハードルをひたすら跳んだら速くなる」とは思っていません。こういう部分は重要なことなのではないかと思います。かなりの時間をかけてやりました。やはりある程度の選手に「変化」が見られました。表情も明るくなります。こういう部分が重要なのかなと思っています。
「速い選手」が「速くなる」というのはそれほど難しくないと思っています。しかし、「普通の選手」が速くなるためにはいろいろな工夫が必要です。また、原理原則に基づいて「身に着けていくべき動き」をしっかりと伝えていく必要があります。それをどう生かすのか。時間があるときに「継続して練習をする」ことをお願いしました。一時的な変化はあってもやらなくなったり、間違った形で練習をしていくとまた元に戻ります。その部分も踏まえて練習をしていってもらえたらいいのかなと。
1月、2月にも同じように練習会があります。天候などのこともあるので実際にできるかどうかは分かりません。今回は基礎です。実際に細かい部分を教えていくことで何かしらの変化はあるかもしれません。しかし、長い目で見るとやはり「基礎」の徹底が重要なのではないかと思います。できないことをできるようにしていく。これが重要。段階を分けてやっていくことができればいいなと思います。比較的収穫のある練習会になったのではないかと思います。