kanekoの陸上日記

毎日更新予定の陸上日記です。陸上競技の指導で感じたことやkanekoが考えていることなどをひたすら書きます。

ハードル練習会2

2020-12-16 | 陸上競技

続き。

 

基本的なことをやりました。午前中は「ハードルに必要な動き」の説明。アームアクションも含めてです。浮かないようにどのように腕を使うか。色々な動きの中で腕の使い方を覚えてもらいたいなと思います。そして「ハードル選手のためのドリル」もやりました。私の中では「基本」だと思っています。が、実際にやってみると「上手くできない」選手が多くいました。あー、これは良くないなと。練習の最初の段階で「体のコントロール」について話をしていました。自分の身体を上手く動かすことができるかどうかは重要。ハードル選手には必要な能力だと思っています。うちが練習で「ダンス基礎」をやるのもこのあたりが目的だったりします。自分の身体をどのように動かすのかをしっかりと理解してもらいたい。

 

タンブリングといって「空中で移動する感覚」を作る練習もしました。これは昨年の冬の県合宿に参加していた選手はある程度できました。この2年間くらいは私がやりたいなと思う動きを全てkrkくんにやってもらっていました。私の意図を汲んでくれる部分があります。こういう「感覚の共有」に関しては彼は本当に優れています。今回は仕方なくある程度私も手本を示しました。あまり運動をしていないので「手本」として相応しいかどうか疑問が残りますが。自分がイメージしている動きと実際の動きが異なる場合もあります。かなりの確率で私の身体が思うように動いていないと思います。それでも「雰囲気」が伝わればいいなと思っています。タンブリング。ハードル上で移動して一気に降りてくる。リード脚と抜き足は同時くらいです。この時にリード脚は伸ばしません。さらには抜き足も縦抜きでも良いという話をしています。リードと抜き足のタイミングの話だけで良いかなと。

 

午後は「ワンステップハードル」にしました。こちらのほうが「汎用性が高い」と思っています。うちの選手にはこの部分を移動距離を大きくして実施していました。しかし、基礎的な動きが疎かになってしまっていたので今は「最低限の距離」でしか行っていません。あくまで「スプリント」に活かすための「ワンステップハードル」でなければいけないかなと。ハードル選手にも「基礎」が必要です。しかし、「ハードルドリル」を細かく見てもらって指導を受ける機会は通常の学校の練習では少ないと思います。そうであれば「必要最低限の動き」ということで「ワンステップハードル」をやると良いと思っています。リード脚の締めや抜き足を立てるという部分もここに詰まっています。きちんと意識してやってくれればそれだけで「ハードルの基礎」は身につきます。

 

選手はどうしても「ハードリング」を良くしたいと思います。空中でかっこよく越えていく。たしかに必要なことだとは思います。無駄なエネルギーロスをなくしていくことでタイムの短縮ができます。しかし、「空中フォーム」を意識してもどうにもできない部分があります。ハードリンク自体は「踏切」で決まるからです。ここでしっかりと踏み切れていればあとは自然にハードリンクができます。空中でこういうふうに動こうと思ってもできないのです。そのあたりのことを意識させるために「一歩ハードル」を多用します。一歩ハードルでは「抜き足」がそのまま「踏切脚」になります。きちんと前まで持ってきて踏み切れなければ届かなくなります。当たり前の話ですが。「遠くから遠く」の感覚を作るためには必須かなと。このとき、「リード脚」に関しては伸びなくていいと思っています。そんな暇はないので。前にリード脚をもってくるときに伸びるのではない。振り下ろす結果として伸びてくるのだから一歩ハードルでリード脚が伸びるということは考えにくい。意識的に伸ばしている選手もいるでしょうが。ここも少し説明をしながら。

 

あとは3歩(4のリズム)で越えていく。これはよく試合の時のアップで行われているような動きです。実際の試合時は5歩(6のリズム)だと思いますが。ハードルが並んでいるときにスピードを上げずにハードルを越える練習をしている姿を見たことがあると思います。この動きですね。通常越えていく時には「すり足」のように速く処理して越えていきます。が、個人的にはあまり好きではありません。実際の動きと離れているので。分かりにくいとは思いますがこの日は「もも上げ」のような形で処理して跳ぶ練習をしました。実際のレースの時はすり足で動くことはありません。そうであればもう少し走りに近い形でやっていく必要があるのではないかと考えています。膝を上げずにすり足で速く動くのではなく「走り」に近づけながら足を上げながら踏み切る。距離はかなり詰めています。かなり改善が見られました。

 

最後はある程度の時間を与えて3歩(4のリズム)で練習。距離はかなり詰めました。男子が8m、女子が7mと6m。当然詰まります。シューズでやっていきました。この中でどのように走るか。ハードルとしては低いものを使用。それでも女子は「ディップ」をきかせ始めます。ほぼ無意味な状況になる。これがハイハードルなら違ってきますが、女子の低いハードルでディップをきかせる必要性は低いと思います。ディップをすることで着地時に頭が起きる。それにより「前へ進む推進力」が打ち消されます。そうであれば軸を傾けた状態でそのまま走るほうが速い。ディップをかける選手ほど着地時のブレーキが大きかったですね。そのあたりも何度も説明しながら。

 

ハードルを越えていくスピードが上がるので「癖」が出てきます。リード脚が過剰に伸びたり、抜き足が寝始めたり。こう時には原点に戻って「基礎の動きの確認」をさせました。高いスピードの中で修正するのは不可能だと思います。正確な動きを意識づけてからそれを実際の動きに生かしていく。「ハードルをひたすら跳んだら速くなる」とは思っていません。こういう部分は重要なことなのではないかと思います。かなりの時間をかけてやりました。やはりある程度の選手に「変化」が見られました。表情も明るくなります。こういう部分が重要なのかなと思っています。

 

「速い選手」が「速くなる」というのはそれほど難しくないと思っています。しかし、「普通の選手」が速くなるためにはいろいろな工夫が必要です。また、原理原則に基づいて「身に着けていくべき動き」をしっかりと伝えていく必要があります。それをどう生かすのか。時間があるときに「継続して練習をする」ことをお願いしました。一時的な変化はあってもやらなくなったり、間違った形で練習をしていくとまた元に戻ります。その部分も踏まえて練習をしていってもらえたらいいのかなと。

 

1月、2月にも同じように練習会があります。天候などのこともあるので実際にできるかどうかは分かりません。今回は基礎です。実際に細かい部分を教えていくことで何かしらの変化はあるかもしれません。しかし、長い目で見るとやはり「基礎」の徹底が重要なのではないかと思います。できないことをできるようにしていく。これが重要。段階を分けてやっていくことができればいいなと思います。比較的収穫のある練習会になったのではないかと思います。

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ハードル練習会

2020-12-16 | 陸上競技

日曜日のこと。

 

この日は以前からハードル練習会が実施される予定となっていました。跳躍練習会に入れてもらう形での実施でした。一時期「ハードルの基礎をもう少し徹底していきたい」という気持ちがありました。その時単独でやろうかなと話をしていたのですが跳躍練習会が先に実施され始めたので、そのまま私個人の考えは立ち消え。先日、「ハードルはやらないのか」という意見をいただきいろいろな葛藤の中でやっていくことにしました。

 

実際問題、ハードルに関しては「何もしなくても上手い選手」がいます。昨年度大活躍してくれたkrkくんなどは典型的な例です。元々ハードルを跳ぶのがうまい。センスは抜群でした。しかし、その手の選手にはできても「普通の選手」にはできないことが多い。リード脚にしても抜き足にしても「見様見真似」でやっていることが多い。さらには導入段階で「見た目の動き」を重視したドリルなどをやるので「良くない癖」が付いてしまってそれを修正することが困難になる。なかなかだと思います。そういう部分を本当は早い段階で修正しておく必要があります。女子のハードル過剰に「ディップ」をしてしまう選手が多いのも大きな問題点だと思っています。そんなことよりももっとやるべきことがあると思っています。

 

基本は「足が速い」というのが重要です。スプリント種目で活躍できないからハードルをするという選手もいます。ハードルインターバルが届かない状況でのレースをする。速い選手が多いチームではこのあたりの苦労はあまり感じないかもしれません。「普通の選手」であればハードルインターバルをどのように走るのかというのが重要になります。ここの「基礎」をどれだけ理解できるか。一般的に「ハードルインターバルを刻む」と指導する方もいます。実際の動きを見ていたら「刻む」意識で走れる選手はごく一部です。高校生の大半は「届かない」のです。そちらに意識をおいた指導ができるかどうか。ここは重要。krkくんレベルになると「戦略」を重視して「どのようにレースを作るか」という感じになりますが、「普通の選手」にどのようにレースに臨ませるかは全く別の話です。

 

今回は「抜き足」と「空中での移動」を中心にしました。ある程度走れる選手も参加していましたが「基礎的な動き」としては不足する部分があります。単純に「足が速い」から速いという感じがあります。持ちタイムだけではなく「基礎」をしっかりと身につけていくことは重要。これができてきてから「実践的な練習」に入るほうが良いと思います。ハードルを何本も飛ばしたりすればうまくなるというのは違うと思っています。あくまで私見です。それでも速くなるのかもしれません。スプリントもハードルも「基礎の徹底」ができなければ次の段階の積み上げはできない気がしています。この部分は私自身冷静に見ていかなければいけない部分かなと。「ひたすら走る」「ひたすら跳ぶ」というのは最終的に「非効率的」ではないかと思います。

 

基礎的なこと。最初に簡単なドリルをやりましたがなかなかできません。普段やらない動きをしているというのもあると思います。午前中は「ハードルドリル」をしました。これは「ハードル選手のために特化したドリル」です。通常学校でやる「スプリントに活かすためのハードルドリル」とは少し違います。やりたいことは同じなのですが。例えば「リード脚」のドリルであれば「リード脚の引き上げ」と「腰の移動」を一緒にします。膝を締めて上方向に引き上げる。これで同時に腰が移動します。スプリントであれば「上」ではなく「前」になります。また、リード脚を伸ばしてしまう選手も多くいます。これは「早く降りる」事を考えているのかもしれません。「現象」として「膝から下が伸びてくる」というのではなく「意図的に膝から下を降り出す」とい動きをしてしまう選手がいます。低いハードルやハードルインターバルが短い練習であれば有効かもしれません。が、実践的ではない。こういう「癖」をなくしていく必要性がある。

 

特に「抜き足」の動きが大きな課題になります。これができない。間違いなくどこかの段階で「抜き足」を教わっています。しかし、ここですでに「本来やりた動きではない」部分を身につけてしまっています。これはしんどい。ハードルを数台並べて一般的なドリルをする。ここで「抜き足を寝かしてしまう」のです。見た目の動きとしては「寝ている」かもしれません。しかし、これは間違いなく「実践的ではない」と思います。股関節が上手く使えていない中での抜き足です。実際には「立てる」という話をします。きちんと「股関節を詰める」という練習をしていく必要があります。動きながらそれができるとは思わないのでその「前段階」をやっていく必要があります。普段の練習の中でも使える動きだと思っています。ハードルドリルの中には間違いなくスプリントに活かせる動きが含まれています。

 

「抜き足」の運び方に加え、「どのように抜き足を接地するか」も重要だと思います。私はハードルを「4のリズム」で越えるほうが良いと思っています。ショートハードルであれば「3歩」という言い方をしますが、これは「抜き足を1」として数えます。「リード脚を1」として数えるとリズムが安定していくると思っています。この話を大学院で競技をしていた国体選手と話をしたときに「修士論文」は「4のリズム」で走ることについてやったというようなことを話していました。これも考え方です。「1」が接地しても「抜き足」の「2」がきちんと使えなければハードルインターバルでの走りがつながりません。特に高校生のレベルではこの「抜き足」で地面にどのように力を加えるのかが重要だと思います。大半の選手が抜き足が「寝てしまう」ので、前まで持ってくることができずに終わります。それによりハードル間が届かなくなる。考えれば当然の話しです。

 

踏切位置。人によっては「近くから踏み切る」と言われるようです。これに関しては私自身「理解できない」ので説明できません。物理的に考えて水平方向の移動を生み出したいのに近くから踏み切れば鉛直方向に動くことになります。高校生レベルでは「遠く」から「遠く」でいいと思っています。ある程度の水準になったら「走る」事が重要になるので「早く降りる」ことも必要になります。が、「ハードル上での移動」ができなければ「ハードルインターバルが届かない」という状況になる。「インターバルを走る」ほうが速いに決まっています。しかし、レース後半にバウンディングのようになるのであれば大きな失速は避けられません。私達が指導しているのは「普通の高校生」です。その選手に必要なことをやっていく。

 

うーん。かなり長くなりました。書きたいことを書けたかどうか。まだまだ書き足りない部分があります。参加した選手がこのblogをみて「課題の確認」をすることができれば良いのかなとは思います。機会があればこの手のことも書いておきたいなと思います。

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