闇にまぎれて cyojin cine-archives vol.1047
なんとなくビスコンティを思わせる悠揚迫らぬ格調高い語り口に引き込まれて珍しく最後まで一気にみてしまった。
スコセッシも少しはビスコンティを意識しているのだろうが、主人公のダニエル・デイ=ルイスはまあいいとして、肝心のヒロインのミシェル・ファイファーが問題じゃ。健闘してはいるもののファム・ファタールにしては軽すぎていまいち。他に誰かいなかったものか。
相思相愛の男女が一緒になれなかったのは可哀想だが、そもそも恋とは病気であり狂気なので、こいつに見舞われたら運命と諦めるより仕方がない。
病気であり狂気である心身の状態を、傍からロマンチックだとか、野卑だとか、純情だとか評しても、当事者はどうしようもないのであるが、この映画は必ずしもそういう視点から描かれてはいないので、とても立派な作品ではあるが、わたくし的には少しく不満であった。
赤白の躑躅が私に言うのです「撮ってください、撮ってください」 蝶人