闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1192、1193、1194

○ディック・パウエル監督の「眼下の敵」をみて
米駆逐艦のロバート・ミッチャムと独Uボートのクルト・ユルゲンスの息詰まる対決は見ごたえ十分。特に初めて相まみえた2人が敬礼するところは感動的である。
冷酷無残な国家間戦争を人間対人間の友情ある闘争に書き換えた点では、ちょっと甘すぎるのでは、と鼻白むが、まあそおゆうゆとりのある時代の産物だったともいえよう。
これ以降の潜水艦物は、「きっと次もロープを投げるさ」という甘い台詞で映画を終わらせることの出来ないもっと非人間的な次元に突入していく。
○「レッド・オクトーバーを追え!」
これは原作の方がリアルに書いてあったが、やはり潜水艦もの映画に駄作なしのことわざどおりの結果を生んでいる。迫りくる魚雷にあえて激突するとまだ点火されていなかったので無事に済むなんて実際にありうる話なのだろうか。
しかしプーチン独裁のロシアに絶望してトランプ爆裁下のアメリカに亡命する原潜艦長はいるのだろうか?
○トニー・スコット監督の「クリムゾン・タイド」をみて
米原潜「アリゾナ」における頑迷な艦長ジーン・ハックマンと理知的な副長デンゼル・ワシントンの対決を描く波乱万丈の潜水艦物ずら。
昔は核ミサイル発射の権限を艦長が握っていたからこういうドラマが成立したが、今は大統領が決断する。ハックマンも問題あるが、トランプの方がもっとヤバイのではなかろうか。
兄のリドリー・スコットは健在だというに、本作の監督で実弟のトニー・スコットは2012年に飛び降り自殺してしまったそうだ。
チョコ喰えば歯がとろけるといわれたが全部とろける頃には死んでるだろう 蝶人