あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

三角みづ紀著「カナシヤル」を読んで

2018-05-19 11:08:14 | Weblog


照る日曇る日 第1068回



2005年に中原中也賞を受賞した若き詩人による、2006年に刊行された詩集です。

「かみさまと花豆」と「素晴らしい日々」の2つの作品から構成されていますが、私が気に入ったのは、後者の先頭を飾っている「しゃくやくの花」という詩です。

 安物のベッドが
 壊れてしまいそうな
 セックスの夜
 むかしのこいびとのもんだい
 を吐き出したおとこは
 わたしに
 プロポーズした

で始まり、

 次に桜が唄う頃
 わたしは
 よめになるのだ

 しゃくやくの花
 とても死ぬ きれいね

で終わる、全部で44行の詩は、とてもシンプルだけれども律動を力強く刻み、それまで著者を抑圧してきたものをば、一挙にはね返す力に充ち溢れていて、素敵だなあと思いました。


 転調をすればするほど哀しくてミシェル・ルグラン「シェルブールの雨傘」 蝶人

コメント
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