音楽千夜一夜 第431回
ここ数カ月にわたって耳にしてきたクナのパジが突然終わった。
1951年から1964年まで1953年を除く計12回の長き及んで、名指揮者がバイロイトで名演奏を繰り広げたワーグナーの神聖祝祭劇「パルシファル」のライヴ48枚のCDをついに聞き終わったのです。やれやれ。
ほとんどがパソコンの作業の傍らの鑑賞であったから、内容のあるコメントなんかできないが、はじめは処女のようであった演奏が、夏を経るごとに自信と自由と深さを会得していき、ついに最後には脱兎のごとく円熟の頂点を極めていく道行が、なんとなく体感できたように思う。あまたの実力派有名歌手が登壇するが、やはりハンス・ホッターのバスバリトンの存在が圧倒的でした。
1962年の演奏が半ば神格化されているが、その理由の大半はこれが唯一のステレオ録音であるからだろう。それ以降の録音をなんでステレオにしなかったのかと今更ながら恨めしく思う。
余談ながらこのCDは「VENIAS」というレーベルから出されている。すでに聴き終わったベームなどと同様、確かに耳に抵抗のない聴きやすい音色であるが、ヤスリで研磨したように人工的に調整しているので、何十枚も聞き続けていると原音との乖離を痛感する。
かの1962年のフィリップス盤LPと聴き比べてみると、月とスッポン、雲泥の差であった!
GUの2400円のジーンズを990円で買うごっつええ気分 蝶人