照る日曇る日 第1273回
漫画はふつう共作だが、共作の小説って珍しい。おそらくタクシードライバーを体験し「月はどっちに出ている」の原作者、梁石日が出したアイデアを、中上紀がノヴェライズしたのだろう。
最後の最後になって中上の郷里である熊野が舞台になると多少迫力が出てくるが、双方の利点が完全に生かされたかというと疑問と不満が残る。
もしかするとこれも「月はどっちに出ている」の向こうを張った映画化を予想してるプロット的な作物なのかもしれない。

天皇や元号が変わると嬉しいか不思議な国の呆れた人々 蝶人