天声人碁

剣正28号が「囲碁」を中心に雑感、独り言を随時書き込みしていきます。
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第32期棋聖戦第5局/趙十段、執念の2勝目

2008-03-04 23:08:43 | プロ棋戦

 第32期棋聖戦七番勝負、山下敬吾棋聖と挑戦者、趙治勲十段の第5局は2月27日、28、京都市ので行われ、趙十段が黒番3目半勝ちし、通算成績を2勝3敗とした。第6局は3月13、14日、静岡県熱海市の「熱海後楽園ホテル」で打たれる。
 中盤、趙十段が中央に厚みを築き、山下棋聖が右下の黒を取った局面で、白有望と見られていたが、趙十段は左上で競り合いに持ち込んで流れをつかみ、優勢になった。寄せで秒読みに追われながらもリードを守り切り、執念の逆転でカド番をしのいだ。

<趙十段の話>
 序盤ではつぶれも覚悟していた。白が緩んでチャンスがめぐってきた。

<山下棋聖の話>
 1日目はよかったと思っていたが、封じ手からおかしくしてしまった。

                 (読売新聞より抜粋)

    ◇  ◇  ◇  ◇

「趙十段、執念の2勝目」、このタイトルがピッタリの第5局でした。中盤から秒読みに追われながら勝ち抜くスタイルは、絶頂時の趙十段を彷彿させる内容でした。

一方、趙十段の迫力にひるんだか後半は失速気味の山下棋聖でした。それでも趙十段の厳しい手段に真正面から堂々と立ち合う姿は剣豪同士の真剣勝負といったところでしょうか。

趙十段、1回目のカド番は何とかしのぎましたが、次の第6局はどうでしょう。まだまだ熱戦は続きます。

    ◇  ◇  ◇  ◇

今回の対局地は京都市の「東本願寺別邸・渉成園」。寺社での対局は少ないですが江戸時代の碁界は寺社奉行の管轄下にあり、「本因坊」の名も一世本因坊算砂が住職を務めた寂光寺の塔頭の一つに由来するとのこと。囲碁と寺社は昔から深い関係にあったのですね。

前夜祭で東本願寺の宗務総長は「平安のみやびに思いをはせ、お二人には優雅な碁を打ってほしい」と挨拶。
これを受け趙十段が「山下さんはすぐ僕の石を取りにくる。優雅に打ってほしい」と会場の笑いと拍手を誘ったそうです。
昨今の世界棋戦などを見ていると「優雅さは遠くなりにけり」の印象ですね。

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