第35期棋聖戦七番勝負の第6局は3月10日日、11日、山梨県甲府市で行われ、張・棋聖が井山・名人に黒番1目半目勝ち。シリーズ4勝2敗で棋聖位を初防衛した。
勝つことの苦しさを痛感したシリーズ。挑戦者が先行する流れを変えたのは1勝2敗で迎えた第4局。最後の寄せ勝負で逆転し、タイに並んだ。その後は大乱戦の第5局も逆転でもぎ取り、第6局も挑戦者ペースで進んでいた局面を終盤にひっくり返した。まさに執念の防衛劇だった。
<張栩棋聖の話>
ずっと苦しい戦いばかりだったが、心だけは折れなかった。好機はきっとやってくると信じて最善を尽くした。
<井山挑戦者の話>
後半の大事なところでミスが多く出てしまった。実力が足りなかった。
(読売新聞より抜粋)
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張棋聖、劣勢から強靭な精神力での逆転、執念の防衛という結果のようでした。
敗れた井山名人、終盤の乱れが勝負の分かれ目のようでした。
10歳違いの世代対決は、年長者が意地を見せたシリーズでした。これからも名勝負を見せてほしいと思います。
本局が行われた11日の午後は「東日本大地震」が発生。8分の中断後、再開されたそうです。
また同日、東京・日本棋院で行われた「女流名人戦第2局」は打ちかけで、後日、引き継いで行われるそうです。
今週の「週刊碁」は地震の影響で休刊でした。
時間の経過とともに被害が甚大になってきます。この窮地からの再建に、日本の真価が問われるところです。
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今回の対局地は山梨県甲府市「常磐ホテル」。今まで何度もタイトル戦が行われた場所ですね。
山梨県出身の囲碁棋士は中村秀仁・九段、内田修平・五段の二人が現役でがんばっています。
内田・五段は井山名人と同年で、新人王になるなど期待の若手棋士です。
私が囲碁を始めたころ、「甲州の親分」と呼ばれた故・星野紀九段がいました。
一手の長考で、16時間という恐ろしい記録を持っていました。