河野臨天元に張栩名人・碁聖が挑戦している第34期天元戦五番勝負の第二局が11月20日、札幌市で打たれ、黒番の張が中押し勝ちし、二連勝で初の天元位獲得にあと一勝と迫った。第三局は12月4日、佐賀県武雄市で行われる。
序盤は河野が四隅を取って地合いで先行し、張は中央で厚みを築く展開。中盤、下辺で激しい戦いになり、張が中央をさらに厚くして優位に立った。
河野も地合いで苦しいとみて上辺での生きを図り、逆転を狙った。しかし張は白の大石を取りきり、粘る河野を投了に追い込んだ。
<張栩名人・碁聖の話>
布石は難しかったですが、中盤で一段落したところでは少し打ちやすいかと思いました。その後、黒は地合いでよくなり、勝ちになったと思ったのは白を取るめどがついたあたりです。
<河野臨天元の話>
中盤ではは感触が悪かったです。中央の黒が厚くなり、はっきり悪いと思いました。
(北海道新聞より抜粋)
◇ ◇ ◇ ◇
名人防衛以降、張栩名人の勢いが止まりません。本局では第1局とは逆に張名人が厚みで相手を寄り切る展開で、堂々の横綱相撲のようでした。
一方、2連敗を喫して苦しい立場の河野天元ですが、本シリーズでは策に溺れた感じがします。師匠の小林光一九段ゆずりの堅実さが見えません。第3局以降の粘りを期待しましょう。
張名人の奥様である小林泉美六段の実父は小林光一九段。そして河野天元の師匠も同じく小林九段ということで、今回の天元戦は弟子と娘婿の戦いということになります。
■以下、北海道新聞より抜粋
事前の特集で、石田章九段に「どちらを応援するのですか」と聞かれた小林九段は、「それはとても言えません。どちらにも肩入れできない。両者とも身近すぎて。しかしぜひ見たい顔合わせでした」と対局に期待を込めています。
確かに公の場所ではどちらとは云えませんね。私が小林九段の立場だったら、心情的に弟子を応援したくなると思いますが・・・。
◇ ◇ ◇ ◇
今回の対局地は札幌市の札幌グランドホテル別館。
対局日(11/20)は前夜からの雪で本格的な雪景色。気温は未明には氷点下5、6度まで冷え込み、日中の最高気温も零度以上にはならないそうです。
札幌というと1972年(36年前)に開催された「第11回冬季オリンピック」を思い出します。
スキージャンプ70m級で笠井、金野、青地の日本3選手が金、銀、銅を独占し、日の丸飛行隊と呼ばれました。
大会のテーマ曲となったトワ・エ・モア他が歌った「虹と雪のバラード」も雰囲気があってよかったと思います。
■1972年(昭和47年)の主な囲碁タイトル戦
・第11期旧名人戦:林海峰 4-2 藤沢秀行
・第27期本因坊戦:石田芳夫 4-3 林海峰
・第10期十段戦 :坂田栄男 3-2 橋本宇太郎
・第20期王座戦 :坂田栄男 2-1 橋本宇太郎