趙治勲十段に高尾紳路本因坊が挑戦していた「第46期十段位決定五番勝負」の第3局は、高尾2勝のあとを受けて4月3日、長野県大町市で行われ、黒番の高尾が中押し勝ちし、3連勝で初の十段位を獲得した。
高尾にとって5年ぶり2度目の挑戦となった十段戦五番勝負。本因坊の肩書で臨んだ碁は、自信にあふれていた。第1局を快勝、第2局は逆転勝利。この日の第3局も堂々とした戦いぶりで大ベテランを破り、2冠となった。
<高尾新十段の話>
あこがれの趙先生と五番勝負が打てて、タイトルまで取れるとは夢のようです。今日も難しい碁でしたが、寄せで優勢になったと思います。
(産経囲碁Webより抜粋)
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高尾本因坊が持ち前の厚い棋風で大豪・趙十段を寄り切りました。これで本因坊と合わせて2冠、充実ぶりがうかがえます。
一方無冠となった趙九段。果敢な戦いぶりでしたが、高尾本因坊の冷静な対応に自ら崩れた印象です。
棋聖戦7番勝負、NHK杯決勝、十段防衛戦と続けて苦杯を飲みましたが、熱い闘争心で若手の前に立ちはだかってほしいものです。
これで国内7大棋戦は以下の勢力図になりました。趙九段の失冠で一気に若返りましたが、ベテランの奮起も期待したいところです。
・山下敬吾(29):棋聖・王座
・張 栩(28):名人・碁聖
・高尾紳路(31):本因坊・十段
・河野臨(27):天元
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今回の対局地は長野県大町市の「くろよんロイヤルホテル」。十段戦ではおなじみの場所です。
大町市は十数年前から「アルプス囲碁村」として各種のイベントを進めています。「まちづくり」の一環として囲碁を取り上げたことはうらやましいことです。
------- 以下、大町市観光協会HPより抜粋------------
大町市では、「まちづくりは人づくりから」という視点に立ち、囲碁を通じて人と人とのコミュニケーションを深め、心豊かに生きるまちづくりの実現を図ろうと、全国で初めて囲碁によるまちづくり「アルプス囲碁村」を推進しています。
年間を通して囲碁普及活動やタイトル戦等の各種大会を開催し、保育園児や小中学生が中心となって囲碁に関心をもって熱心に取り組んでいます。また、毎年開催される、アルプス囲碁村まつりでは、知事杯・市長杯争奪囲碁大会も開催され全国から多くの囲碁ファンにご参加いただいています。