第32期棋聖戦七番勝負、山下敬吾棋聖と挑戦者、趙治勲十段の最終第7局は3月19日から静岡県小山町で行われ、白番の山下棋聖が中押し勝ちし、通算4勝3敗で3連覇を果たした。
「七番勝負の鬼」と呼ばれる挑戦者を迎え、まれに見る激戦となったシリーズを、気迫と深く正確な読みの力で制した。
(読売新聞より抜粋)
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<山下棋聖の話>
とにかく運がよかった。3勝してからの1勝がとにかく難しい。
趙先生と番碁を打てたことは財産であり、大変光栄なことです。
もっと強くなって国際戦でも結果を残したい。
<趙十段の話>
素晴らしい打ち手と七局打ててよかった。
<小林光一九段・談>
趙さん、よく頑張りました。5局目、6局目でカド番をはね返して、最終局に持ち込んだのはさすがでした。最後までハラハラさせる内容で、中身が濃い。趙さんらしい魅せる碁でした。ほんとにドラマチックな人ですね。
山下さんも、趙さんのエネルギーを正面から受け止めて、力を出し切りました。二人とも死力を尽くして頑張りました。お疲れさま。
(週刊碁より抜粋)
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1月12日の第1局から2ケ月半にわたる棋聖戦も山下棋聖の防衛で幕を閉じました。
山下棋聖、おめでとうございます。趙十段、お疲れさまでした。
本シリーズ、上記の小林光一九段のコメント通りドラマチックな展開でした。
昨年秋の名人戦七番勝負(張栩・高尾戦)も好勝負でしたが、それに匹敵する名勝負ではなかったでしょうか。趙十段の挑戦者登場で、世代間の対決も話題になりました。
ただ、この名勝負を一部の囲碁ファンだけで盛り上がっている日本の囲碁界が残念ですね。
そして、国際棋戦の不調との「ネジレ」はどうしたものでしょう。
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今回の対局地は静岡県小山町の「経団連ゲストハウス」。対局場所としては一般的ではありませんが、棋聖戦では毎年予定しているようです。
ただし対局予定が第6局か第7局のため、昨年、一昨年のように山下棋聖の4連勝で決着した場合は開催されないことになります。
このように予定していた対局が早期決着で流れた場合、開催施設の関係者はがっかりでしょうね。
ただ、前期棋聖戦で流れてしまった第5局開催予定地の愛知県田原市「伊良湖ガーデンホテル」、第7局の長崎県雲仙市「富貴屋」は今期の第3局、第4局で開催地となっていました。
主催者側もある程度、過去の経緯を考慮して開催地を決めているのでしょうね。