河野臨天元に山下敬吾棋聖が挑戦する天元戦五番勝負の第3局が11月20日、熊本県水俣市、湯の児温泉で行われ、黒番の河野が中押し勝ちし、タイトル防衛にあと一勝と迫った。第4局は兵庫県淡路市で行われる。
序盤、河野は師匠、小林光一・九段愛用の布石を展開。山下の強手をきっかけに激しい攻防が始まった。解説の小松英樹九段も「難解だ」と言う局面が続いた。
右下隅の戦いから右辺に厚みを築いた河野が押し気味に打ち進めた。山下が右下隅と上辺でコウを仕掛け懸命の挽回を図ったが、終盤、河野は中央の六子を捨てて左辺を収まり、山下の追い上げを断ち切った。
(西日本新聞社HPより抜粋)
◇ ◇ ◇
河野天元が「布石なき激戦」を制し、防衛に王手をかけました。
いままでの河野天元はバランス重視の棋風といわれていましたが、本シリーズでは腕力勝負の戦いで「フルスィング山下」相手に堂々と戦っています。
一方の山下棋聖、本局では河野天元に終始押され気味で精彩を欠きました。
天元戦と並行して王座戦第3局(張栩:山下)が今日(11/30)行われていますが、こちらの対戦も目が離せません。
◇ ◇ ◇
今回の対局地は熊本県水俣市湯の児温泉「三笠屋旅館」、不知火海を一望できる温泉だそうです。
水俣市は公害で有名になりましたが市民にとっては苦難の日々だったと思われます。
文明の発展にともない人間は豊かになった反面、、環境問題など負の遺産もかかえてきました。
これまで便利さ、快適さをひたすら追求してきた人類ですが、その結果怠惰になった部分もあります。
もう過去へは戻れないでしょうが、人類としての原点を見直すことも必要だと思います。
水俣の歴史(水俣市観光物産協会HPより抜粋)
水俣市は熊本県最南端にあり、西はリアス式海岸を有する不知火海に面し、北から南までの三方を九州山地の支脈に囲まれています。 人口は約3万1000人、気候は温暖多雨な海洋性気候です。
海の「湯の児温泉」と山の「湯の鶴温泉」、と2つの温泉を有しています。
また、徳富蘇峰・蘆花兄弟、淵上毛錢 といった文化人を輩出しています。
昭和31年に水俣病が公式確認され世界的に知られることになりました。 水俣病は、工場排水中のメチル水銀に汚染された魚や貝などをたくさん食べることによっておこったメチル水銀中毒です。
水俣湾に堆積した水銀ヘドロを熊本県が14年の歳月をかけて、一部しゅんせつ一部埋立工事をおこないました。
その埋立地が現在のエコパークです。
エコパークには「環境と健康」をテーマに竹林園、観光物産館「まつぼっくり」、花の里、ソフトボール場、親水護岸などが整備されました。
現在水俣市は水俣病を教訓に環境保全に取り組んでおり、資源循環型社会の構築を目指しています。