医局会があり、3密対策としてオンライン参加併用で行われた。この前のCPCでもそうだったが、メイン会場となる会議室には人数制限をしたうえで人が集まり、それ以外は各自のPCを用いて参加する。それなりに発言もありまずまずの会議だったと思い、私と同じ様に医局のデスクから参加していた先生に「(このやり方も)まあまあだったですかね。」と声をかけたら、「顔を見ながらでないと今ひとつですね。」との返事。ディスプレイ越しに互いの顔を眺めても、”同じ空気”を吸っていないとどうもしっくりこないということらしい。たしかに、今のところは話している相手が誰かを知っているので、顔だけ、声だけ、名前だけでもなんとかなっているが、今の調子で顔を突き合わせてのディスカッションが無くなってしまったら、そう遠くない将来には直接顔を合わせたことのない同僚というのが出現し、お互い科名と名前だけの付き合いとなってしまうだろう。そうなったら、今のようなウェブ会議は成立しない。

そんなことを心配していたら、もう次を視野に入れている企業があった。今朝のNHKニュースで、採用に際して”居住地条件”を廃止するという企業の話で、年にほんの数度出勤したらそれでいいということだそうだ。そうすることで優秀な人材を集めることができる。今ある環境でできるかできないか、ではなく、今できないことは何があり、それをできる様にするにはどうしたらいいか、ということを考える企業というのがこれから生き残っていくことになるだろう。ただ、これは会社内という一つの閉鎖空間内でのこと。これが外につながるとなったらどう対処したらいいだろう。

先日、ある施設との間でウェブカンファレンスを開こうということになっていたのが、いよいよという段で話がつぶれた。もちろん、一番の問題はセキュリティーに関すること、がっかりしたが、仕方ない。医局会でも、カンファレンスをオンラインでどう行っていくかが問題となった。”命に関わる”個人情報が外部に漏れることは”絶対に”あってはならない。どうしたら、行うことができるか、解決しなくてはいけないことは多いが、それ以上に深刻な問題があることが分かった。分断化だ。このような状態が続けば、医療機関同士の意見交換という機会がどんどん減っていく。もちろん、インターネット環境は保たれ、論文をはじめとする医学情報にはこれまで通りアクセスることはできるが、直接の意見交換、ディスカッションの機会というのは減っていく。現に、Web開催されている学会への参加はこれまでとは違った形に変容している。この先にあるのは、それぞれの細分化されたコミュニティーでの交わりかもしれない。
こういったことは、この先社会のすべての領域で起こっていくだろう。会社であればその会社内のみで空間は閉じられるし、一般的な地域コミュニティでもそのようなことは起こっていくだろう。これまでのような、人と人との交わりの濃厚な社会がやってくることはもうないと思って次の時代をどう生きていくか考えていかなくてはいけない。もちろん、新型コロナウイルス感染症は数年のうちに終息へと向かうだろうが、それが3年かかるとすれば、3年のうちに世界は大きく変わる。変わるというか変わった先に次の社会は出現するのだ。そのような流れにあらがう人もいるだろうが、残念ながらほとんどすべての大人がスマホというPC端末を持っている世の中、そのようなことはできない。
今はもう過去