10年前の大震災の日からしばらくの間、ぼんやりしていることが多かった。
被災地にボランティアとして入っていた友人が”テレビばかり視てぼんやりしているんじゃダメだ”とSNSで盛んに言っていたが、かといってどうしていいかわからないまま時間が過ぎた。強い余震には新型コロナウイルス感染症以上の命の危険が感じられた。それでも、東京、神奈川は太平洋岸の被災地ほどの被害はなく、停電やその後の復興税などのことはあったが、なかば対岸の火事のように過ぎ去っていった。結局のところ、この１０年はあっという間だった。
ちょうど1年前にWHOがパンデミックを宣言した、今度のコロナ禍は多くの人の命を奪い、多くの人の動きを止めた。感染して生き残った人はもちろん、感染しないでいる人も大きな影響を受けながら生きてきた。厄災というのは突然やってきて、多くのモノと、そして時間を奪う。命に限りのある生き物にとって、時間を奪われるということは命を奪われることと同じだ。
私なりに新型コロナウイルス感染症とともに1年生きたが、この間に何が起こったのかよくわからない。結局のところあっという間だったとしか言えない。わかったことは、それなりに生産性が落ちてしまっていたということ。年齢とともに様々な能力が急速に落ちているのに、それを食い止める術はなく、そのことをコロナ禍のせいにしてただぼんやりとみていただけのような気がする。とはいえ、この１年間、進歩らしい進歩のなかったことを悔やんでも仕方がない。どうせ始めるのなら、今日始めることが一番早く始めることになる。自分の手で止めていた時間を動かすのは自分以外にはできない。
生きることを終わらせることは誰にでもできるけれど、生きている限りは前にすすまなくてはいけない。それは、発展とか発達とかだいそれたことではなく、こうありたいという自分に向けて歩みをすすめていくことだ。
日々是心機一転
