経済四季報① 世界経済 米国 量的緩和終了の兆し
米国での量的緩和終了の兆候が世界の金融市場を動揺させています。米国経済は緩やかに拡大しているものの、力強さがなく、減速を示す指標も表れています。新興経済諸国では、景気の拡大が続いていますが、経済成長の鈍化も指摘されています。
【ポイント】
①米国の量的緩和の動向めぐり金融市場に変調。金利が上昇し、株価も不安定化
②米国経済は緩やかに拡大しつつも、減速の兆し。政府歳出削減が成長の重しに
③中国など新興経済諸国では、景気の拡大が続くものの、成長率の鈍化が鮮明に
金融市場に変調
米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は5月22日、上下両院合同経済委員会公聴会での証言で、「雇用の持続的回復が確認できれば、今後数回の金融政策会合で、資産購入ペースを縮小できる」と述べました。同議長は6月19日には、連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の記者会見で、今年後半に国債などの購入ペースを縮小し、来年半ばには量的緩和を終了させる可能性があると、量的緩和終了のめどを示しました。
こうした動きを受けて、緩和資金収縮の観測から、金融市場に変調が起きています。長期金利の指標となる10年物国債の利回りが2%水準を上回って推移し、金利の上昇傾向が出ています。最高値を更新し続けていたダウ工業平均株価は、乱高下を繰り返す不安定な動きに転じました。
米国の金融市場の変調は、日本をはじめ、世界の金融市場をも動揺させています
米議会上下両院合同経済委員会の公聴会で証言するバーナンキ連邦準備制度理事会議長=5月22日、ワシントン(ロイター)
【世界経済の主な出来事(4~6月)】
4/14 世界銀行、東アジア太平洋地域途上国の成長率予測を下方修正
4/15 中国の1~3月GDPが前年同期比7.7%増。4期連続減速
4/24 USTR、日本のTPP交渉参加を米議会へ通知
5/8 ILO報告書、2013年の世界の若年失業者数を7340万人と推定
5/15 EUの1~3月GDPが前期比0.2%減。6期連続マイナス
5/22 米FRB議長、量的金融緩和の年内縮小の可能性に言及
5/30 米国の1~3月GDPが前期比2.4%増。前期0.4%増から加速
6/10 IEA報告書、2012年の二酸化炭素排出量が過去最高と発表
6/12 世界銀行、2013年の世界の経済成長率を2.2%と予測
17~18 第39回主要国首脳会議(G8サミット)開催
歳出削減が重し
米商務省が5月30日発表した1~3月期の実質国内総生産(GDP)改定値は、季節調整後年率換算で前期比2・4%増と、前期の0・4%増から伸びが加速しました。ただ、速報値からは0・1ポイント下方修正されました。
その後、減速の兆しも出ています。4月の鉱工業生産は前月比0・5%減。住宅着工件数は同16・5%減。実質個人消費は同0・1%増の低い伸び。5月の失業率は前月比0・1%増の7・6%と、4カ月ぶりに上昇。
製造業ISM(供給管理協会)指数は49と、拡大・縮小の分岐点である50を6カ月ぶりに割りました。
3月に始まった連邦政府歳出の強制削減が経済成長の重しになってきています。国際通貨基金(IMF)は14日、対米審査終了の声明で、歳出削減が成長の重しとなっているだけでなく、中期的な潜在成長力の低下を引き起こしかねないと指摘しました。
経済成長が鈍化
中国など新興経済諸国は引き続き、世界経済のけん引役が期待されていますが、経済成長の鈍化も指摘されています。
中国国家統計局が4月15日発表した1~3月実質GDPは、前年同期比7・7%増と、前期の7・9%増から減速。4期連続の8%割れとなりました。IMFと経済協力開発機構(OECD)はそれぞれ5月29日、中国の成長率が今年も8%を下回るとの見通しを示しました。
ラガルドIMF専務理事は6月4日、ワシントン市内での講演で、世界経済の現状について「成長が幾分減速している」との認識を示しました。特に、新興経済諸国の成長鈍化に懸念を表明し、中国についでは「経済活動に鈍さが見られる」としたほか、ブラジルやインドなどの投資も鈍ってきていると指摘しました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年6月26日付掲載
中国などの新興経済国の消費に期待しての日本経済では、安定したものは望めないでしょうね。この10数年間を見れば、発達した資本主義国の中で日本だけがGDPが減っています。
米国での量的緩和終了の兆候が世界の金融市場を動揺させています。米国経済は緩やかに拡大しているものの、力強さがなく、減速を示す指標も表れています。新興経済諸国では、景気の拡大が続いていますが、経済成長の鈍化も指摘されています。
【ポイント】
①米国の量的緩和の動向めぐり金融市場に変調。金利が上昇し、株価も不安定化
②米国経済は緩やかに拡大しつつも、減速の兆し。政府歳出削減が成長の重しに
③中国など新興経済諸国では、景気の拡大が続くものの、成長率の鈍化が鮮明に
金融市場に変調
米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は5月22日、上下両院合同経済委員会公聴会での証言で、「雇用の持続的回復が確認できれば、今後数回の金融政策会合で、資産購入ペースを縮小できる」と述べました。同議長は6月19日には、連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の記者会見で、今年後半に国債などの購入ペースを縮小し、来年半ばには量的緩和を終了させる可能性があると、量的緩和終了のめどを示しました。
こうした動きを受けて、緩和資金収縮の観測から、金融市場に変調が起きています。長期金利の指標となる10年物国債の利回りが2%水準を上回って推移し、金利の上昇傾向が出ています。最高値を更新し続けていたダウ工業平均株価は、乱高下を繰り返す不安定な動きに転じました。
米国の金融市場の変調は、日本をはじめ、世界の金融市場をも動揺させています
米議会上下両院合同経済委員会の公聴会で証言するバーナンキ連邦準備制度理事会議長=5月22日、ワシントン(ロイター)
【世界経済の主な出来事(4~6月)】
4/14 世界銀行、東アジア太平洋地域途上国の成長率予測を下方修正
4/15 中国の1~3月GDPが前年同期比7.7%増。4期連続減速
4/24 USTR、日本のTPP交渉参加を米議会へ通知
5/8 ILO報告書、2013年の世界の若年失業者数を7340万人と推定
5/15 EUの1~3月GDPが前期比0.2%減。6期連続マイナス
5/22 米FRB議長、量的金融緩和の年内縮小の可能性に言及
5/30 米国の1~3月GDPが前期比2.4%増。前期0.4%増から加速
6/10 IEA報告書、2012年の二酸化炭素排出量が過去最高と発表
6/12 世界銀行、2013年の世界の経済成長率を2.2%と予測
17~18 第39回主要国首脳会議(G8サミット)開催
歳出削減が重し
米商務省が5月30日発表した1~3月期の実質国内総生産(GDP)改定値は、季節調整後年率換算で前期比2・4%増と、前期の0・4%増から伸びが加速しました。ただ、速報値からは0・1ポイント下方修正されました。
その後、減速の兆しも出ています。4月の鉱工業生産は前月比0・5%減。住宅着工件数は同16・5%減。実質個人消費は同0・1%増の低い伸び。5月の失業率は前月比0・1%増の7・6%と、4カ月ぶりに上昇。
製造業ISM(供給管理協会)指数は49と、拡大・縮小の分岐点である50を6カ月ぶりに割りました。
3月に始まった連邦政府歳出の強制削減が経済成長の重しになってきています。国際通貨基金(IMF)は14日、対米審査終了の声明で、歳出削減が成長の重しとなっているだけでなく、中期的な潜在成長力の低下を引き起こしかねないと指摘しました。
経済成長が鈍化
中国など新興経済諸国は引き続き、世界経済のけん引役が期待されていますが、経済成長の鈍化も指摘されています。
中国国家統計局が4月15日発表した1~3月実質GDPは、前年同期比7・7%増と、前期の7・9%増から減速。4期連続の8%割れとなりました。IMFと経済協力開発機構(OECD)はそれぞれ5月29日、中国の成長率が今年も8%を下回るとの見通しを示しました。
ラガルドIMF専務理事は6月4日、ワシントン市内での講演で、世界経済の現状について「成長が幾分減速している」との認識を示しました。特に、新興経済諸国の成長鈍化に懸念を表明し、中国についでは「経済活動に鈍さが見られる」としたほか、ブラジルやインドなどの投資も鈍ってきていると指摘しました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年6月26日付掲載
中国などの新興経済国の消費に期待しての日本経済では、安定したものは望めないでしょうね。この10数年間を見れば、発達した資本主義国の中で日本だけがGDPが減っています。