アベノミクス それホント?⑤ 内需主導の景気回復を
Q:輸出が増える?
A:円安になっても輸出は増えていません。
一部の輸出大企業で利益が増えただけです。輸入物価の高騰で中小企業と国民生活が苦しくなります。
自動車は輸出減
一時期は1ドル=70円台まで進行した円高。輸出大企業は「競争力が弱まり、輸出が減少する」として賃下げや単価引き下げなどで労働者と下請け業者にしわ寄せしました。「アベノミクス」の金融緩和によって円安傾向が進行している中で、「日本からの輸出が増え、景気が良くなるかもしれない」と期待している人もいます。
しかし、足元では輸出量は増えていません。例えば、日本からの輸出品目の代表格である自動車をみても、2013年4月の乗用車輸出台数は34万7378台で前年同期比1・2%の減少です。
輸出台数が増えないのですから、下請け業者など国内関連業者の仕事は増えません。雇用も増えるわけがありません。
日本企業の海外進出が拡大し、海外での生産・販売が増えています。たとえばトヨタ(トヨタブランドとレクサスブランド計)は昨年、国内生産349万3000台に対して、524万4000台です。こうした構造変化の結果、為替相場がどれだけ「円安」にふれようと、日本からの輸出拡大はほとんど期待できなくなっています。
自動車輸出日本一の名古屋港の自動車積み出し基地
安倍政権になってから、あなたは景気が回復したという実感がありますか。
輸入品値上がり
一方で、円安は輸入品価格を押し上げます。すでに小麦粉やパン・うどんなど関連商品、灯油・電気代など生活に密着したものが次々と値上げされ、中小企業の経営や庶民の生活を圧迫しています。
全国中小企業団体中央会が発表した4月の中小企業月次景況調査には、「円安に起因する原料高の状況。今後、電力料金引き上げの影響を懸念している。経費の上昇を販売価格に全く反映できないため、ますます経営は苦しくなる」(奈良・プラスチック製造業)、「円安により燃料価格が高止まりしている中、荷主への価格転嫁が進まず、収益状況は依然として厳しい」(福岡・運送業)など、苦境を訴える声が寄せられています。
アベノミクスによって輸出が増え、景気が回復するなどという宣伝を国民は見抜きつつあります。世論調査によると、「安倍首相の経済政策が、賃金や雇用が増えることに結びつくと思いますか」との質問に対し、「結びつく」は36%、「そうは思わない」は45%でした。また、「安倍政権になってから、あなたには景気が回復したという実感がありますか」には、「ない」が78%と圧倒的多数を占め、「ある」はわずか18%でした(「朝日」6月11日付)。
今、大事なのは、国民の雇用と所得をあたためて、内需主導で景気回復することです。そのためには日本共産党を伸ばすことがカギとなっています。(おわり)
(この連載は清水渡が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年6月22日付掲載
「円安」になったから輸出が増えるかというと、単純にそうではないんですね。自動車などは元々「円高」の時期に海外生産に移行していっていたので、「円安」になったからと言ってもあまり影響ないとのこと。
内需主導の景気回復が求められています。
Q:輸出が増える?
A:円安になっても輸出は増えていません。
一部の輸出大企業で利益が増えただけです。輸入物価の高騰で中小企業と国民生活が苦しくなります。
自動車は輸出減
一時期は1ドル=70円台まで進行した円高。輸出大企業は「競争力が弱まり、輸出が減少する」として賃下げや単価引き下げなどで労働者と下請け業者にしわ寄せしました。「アベノミクス」の金融緩和によって円安傾向が進行している中で、「日本からの輸出が増え、景気が良くなるかもしれない」と期待している人もいます。
しかし、足元では輸出量は増えていません。例えば、日本からの輸出品目の代表格である自動車をみても、2013年4月の乗用車輸出台数は34万7378台で前年同期比1・2%の減少です。
輸出台数が増えないのですから、下請け業者など国内関連業者の仕事は増えません。雇用も増えるわけがありません。
日本企業の海外進出が拡大し、海外での生産・販売が増えています。たとえばトヨタ(トヨタブランドとレクサスブランド計)は昨年、国内生産349万3000台に対して、524万4000台です。こうした構造変化の結果、為替相場がどれだけ「円安」にふれようと、日本からの輸出拡大はほとんど期待できなくなっています。
自動車輸出日本一の名古屋港の自動車積み出し基地
安倍政権になってから、あなたは景気が回復したという実感がありますか。
輸入品値上がり
一方で、円安は輸入品価格を押し上げます。すでに小麦粉やパン・うどんなど関連商品、灯油・電気代など生活に密着したものが次々と値上げされ、中小企業の経営や庶民の生活を圧迫しています。
全国中小企業団体中央会が発表した4月の中小企業月次景況調査には、「円安に起因する原料高の状況。今後、電力料金引き上げの影響を懸念している。経費の上昇を販売価格に全く反映できないため、ますます経営は苦しくなる」(奈良・プラスチック製造業)、「円安により燃料価格が高止まりしている中、荷主への価格転嫁が進まず、収益状況は依然として厳しい」(福岡・運送業)など、苦境を訴える声が寄せられています。
アベノミクスによって輸出が増え、景気が回復するなどという宣伝を国民は見抜きつつあります。世論調査によると、「安倍首相の経済政策が、賃金や雇用が増えることに結びつくと思いますか」との質問に対し、「結びつく」は36%、「そうは思わない」は45%でした。また、「安倍政権になってから、あなたには景気が回復したという実感がありますか」には、「ない」が78%と圧倒的多数を占め、「ある」はわずか18%でした(「朝日」6月11日付)。
今、大事なのは、国民の雇用と所得をあたためて、内需主導で景気回復することです。そのためには日本共産党を伸ばすことがカギとなっています。(おわり)
(この連載は清水渡が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年6月22日付掲載
「円安」になったから輸出が増えるかというと、単純にそうではないんですね。自動車などは元々「円高」の時期に海外生産に移行していっていたので、「円安」になったからと言ってもあまり影響ないとのこと。
内需主導の景気回復が求められています。