アベノミクス それホント? ① 国民の懐温める政策なし
安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」がもてはやされています。安倍政権は大手メディアと結託し、さまざまな俗論や誤謬(ごびゅう)を振りまいています。5回にわたって検証します。
Q:いずれ生活よくなる?
A:国民生活はますます悪くなります。アベノミクスに国民の所得を直接増やす政策はありません。しかも消費税率が来年4月には8%、再来年10月には10%まで引き上げられます。社会保障も給付減と負担増です。国民の所得を減らすのがアベノミクスです。

2002年度を100とした時のそれぞれの推移。資本金10億円以上の大企業について集計。財務省「法人企業統計」から作成
待てど暮らせど
長引く不況のもとで、国民は景気回復を望んでいます。「アベノミクスでいずれは自分の業界もよくなるだろう」という期待を抱く人もいます。「まだアベノミクス効果は中小企業に波及していない」「地方にはいきわたっていない」「庶民にまでは届いていない」などの声も聞かれます。
安倍首椙も都内での街頭演説で「お金がみなさんに回るにはまだ少し時間がいる」などと述べています。
しかし、いくら待っても、アベノミクスが中小企業と庶民のふところをうるおし、家計から景気がよくなっていくということはありません。それどころか、社会保障の切り捨てと消費税増税で、中小企業の経営や庶民の暮らしがますます悪くなります。
安倍首相は、アベノミクスで潤ったのは輸出大企業ばかりだという批判に対して、「自動車業産業が忙しくなれば請負の中小が忙しくなる。そうなれば外食や帰りに一杯やっていくことになり、町が潤い、だんだんお金が回っていく」と反論しています。
大企業が潤えば、その「おこぼれ」によって中小企業の経営や庶民のふところもあたたまるのでしょうか。
戦後最長の景気拡大局面とされる2002年2月~07年10月をみると、資本金10億円以上の大企業は、経常利益を1・76倍、配当金を2・48倍に増やしました。一方で、従業員の給与はわずか4%程度しか伸びませんでした。大企業がもうかったところで、それが自動的に庶民に回るとは限らないのです。
加えて、安倍政権は国民の負担を増やし、所得を減らす計画を進行中です。国家公務員の賃金を削減し、地方公務員の賃金も下げるよう要求。生活保護の支給額も削減しました。

消費税増税中止、TPP参加撤回などさまざまな要求をかかげてデモ行進する中央メーデー参加者=5月1日、東京都渋谷区
年金減らし増税
10月からは、年金支給額が削減されます。消費税は、14年4月に8%、15年10月には10%へと税率を引き上げることを予定しています。
足元を見ても、輸出大企業と保有株式の多い大資産家は、「アベノミクス効果」とされる円安・株高で大もうけしました。一方で、円安が輸入品価格を押し上げます。すでに、小麦粉やパン・うどんなど関連商品、灯油・電気代など生活に密着したものが次々値上げされ、中小企業の経営と庶民の生活を圧迫しています。
民間信用調査会社の帝国データバンクによると、円安に起因する倒産も発生しています。北海道の沖合底引き網業者が、燃料費高騰と魚価安傾向の影響から5月末で事業継続を断念しました。まさに「アベノミクス倒産」とでもいうべきものです。
アベノミクスには、庶民のふところを直接あたためる政策はありません。いま大事なのは、消費税増税ノー、庶民の雇用と所得をあたためろと主張する日本共産党を伸ばすことです。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年6月18日付掲載
いずれ「アベノミクス」の影響で、「いずれ、労働者や中小零細企業の暮らしぶりも良くなる」と思いたくなるのも分かりますが…。
残念ながら、労働者の賃金はあがらないし、みせかけの「景気条項」なるもので判断されて来年4月に消費税を5%から8%にアップされたらたまったものじゃありません。
庶民の雇用と所得を温める政策が求められます。
安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」がもてはやされています。安倍政権は大手メディアと結託し、さまざまな俗論や誤謬(ごびゅう)を振りまいています。5回にわたって検証します。
Q:いずれ生活よくなる?
A:国民生活はますます悪くなります。アベノミクスに国民の所得を直接増やす政策はありません。しかも消費税率が来年4月には8%、再来年10月には10%まで引き上げられます。社会保障も給付減と負担増です。国民の所得を減らすのがアベノミクスです。

2002年度を100とした時のそれぞれの推移。資本金10億円以上の大企業について集計。財務省「法人企業統計」から作成
待てど暮らせど
長引く不況のもとで、国民は景気回復を望んでいます。「アベノミクスでいずれは自分の業界もよくなるだろう」という期待を抱く人もいます。「まだアベノミクス効果は中小企業に波及していない」「地方にはいきわたっていない」「庶民にまでは届いていない」などの声も聞かれます。
安倍首椙も都内での街頭演説で「お金がみなさんに回るにはまだ少し時間がいる」などと述べています。
しかし、いくら待っても、アベノミクスが中小企業と庶民のふところをうるおし、家計から景気がよくなっていくということはありません。それどころか、社会保障の切り捨てと消費税増税で、中小企業の経営や庶民の暮らしがますます悪くなります。
安倍首相は、アベノミクスで潤ったのは輸出大企業ばかりだという批判に対して、「自動車業産業が忙しくなれば請負の中小が忙しくなる。そうなれば外食や帰りに一杯やっていくことになり、町が潤い、だんだんお金が回っていく」と反論しています。
大企業が潤えば、その「おこぼれ」によって中小企業の経営や庶民のふところもあたたまるのでしょうか。
戦後最長の景気拡大局面とされる2002年2月~07年10月をみると、資本金10億円以上の大企業は、経常利益を1・76倍、配当金を2・48倍に増やしました。一方で、従業員の給与はわずか4%程度しか伸びませんでした。大企業がもうかったところで、それが自動的に庶民に回るとは限らないのです。
加えて、安倍政権は国民の負担を増やし、所得を減らす計画を進行中です。国家公務員の賃金を削減し、地方公務員の賃金も下げるよう要求。生活保護の支給額も削減しました。

消費税増税中止、TPP参加撤回などさまざまな要求をかかげてデモ行進する中央メーデー参加者=5月1日、東京都渋谷区
年金減らし増税
10月からは、年金支給額が削減されます。消費税は、14年4月に8%、15年10月には10%へと税率を引き上げることを予定しています。
足元を見ても、輸出大企業と保有株式の多い大資産家は、「アベノミクス効果」とされる円安・株高で大もうけしました。一方で、円安が輸入品価格を押し上げます。すでに、小麦粉やパン・うどんなど関連商品、灯油・電気代など生活に密着したものが次々値上げされ、中小企業の経営と庶民の生活を圧迫しています。
民間信用調査会社の帝国データバンクによると、円安に起因する倒産も発生しています。北海道の沖合底引き網業者が、燃料費高騰と魚価安傾向の影響から5月末で事業継続を断念しました。まさに「アベノミクス倒産」とでもいうべきものです。
アベノミクスには、庶民のふところを直接あたためる政策はありません。いま大事なのは、消費税増税ノー、庶民の雇用と所得をあたためろと主張する日本共産党を伸ばすことです。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年6月18日付掲載
いずれ「アベノミクス」の影響で、「いずれ、労働者や中小零細企業の暮らしぶりも良くなる」と思いたくなるのも分かりますが…。
残念ながら、労働者の賃金はあがらないし、みせかけの「景気条項」なるもので判断されて来年4月に消費税を5%から8%にアップされたらたまったものじゃありません。
庶民の雇用と所得を温める政策が求められます。