きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

落日のアベノミクス③ 国民から奪い、大企業へ

2014-02-26 15:56:40 | 経済・産業・中小企業対策など
落日のアベノミクス③ 国民から奪い、大企業へ

2013年10~12月期の国内総生産(GDP)で企業の設備投資は前期比1・3%の増加にとどまりました。暦年でみると、12年の69兆1649億円から13年の68兆2195億円へ、1・4%の減少です。

設備投資伸びず
企業に対しては、12年4月から復興特別法人税が課せられています。しかし、同時に恒久的な法人税減税が行われ、企業の税負担はむしろ減りました。企業の税負担が減少したにもかかわらず、設備投資の拡大には結びついていません。
今、大企業は大もうけをあげていますoSMBC日興証券のまとめによると、東証1部上場企業の13年4~12月期の純利益の合計額は、リーマン・ショック前の07年4~12月期を上回りました。円安・株高を背景に輸出関連企業を中心に業績が回復したからです。
一方、この1年で労働者の状況はさらに悪化しました。労働力調査詳細集計によると、13年の雇用者数は調査開始以来、最多となりました。しかし、正規雇用労働者は46万人減少し、非正規雇用労働者が93万人増加したのが実態です。正規雇用1人を解雇して、非正規雇用2人と置き換えた計算になります。
毎月勤労統計調査によると、13年平均の月額現金給与総額は31万4054円で前年より73円減少し、1990年の調査開始以来、最低額となりました。
安倍晋三政権は、「企業が最も活動しやすい国を目指す」としています。「大企業がもうかれば、その利益が国民にしたたり落ちる」というトリクルダウンの考え方に基づくものです。しかし、この考え方で進めてきたアベノミクスの1年で、確かに大企業はもうけを拡大しました。しかし、正規雇用が非正規雇用に置き換えられ、賃金も下落した1年だったのです。
その上、安倍政権は、復興特別法人税の廃止時期を当初の15年度末から14年度末へ1年繰り上げることを決定しました。大企業にとっては1兆円の負担減です。一方で4月からは消費税率の8%への引き上げを強行しようとしています。8兆円の大増税です。アベノミクスは、トリクルダウンどころか逆に、国民の懐から所得を奪い、大企業にばら撒くというものです。



職場に向かう労働者=東京都内

「好循環」いうが
1月24日に始まった通常国会の冒頭、安倍首相は施政方針演説で「企業の収益を、雇用の拡大や所得の上昇につなげる。それが、消費の増加を通じて、更なる景気回復につながる」と「経済の好循環」の実現を強調。さらに「規制改革を始め成長戦略を進化」させるとしています。
成長戦略の目玉である「雇用改革」は、労働者派遣を無制限に拡大し、「みなし残業代」以上の残業をタダ働きにする裁量労働制の対象労働者の拡大などを内容としています。また、勤務地や職務、労働時間を限定する一方、通常の正社員よりも低賃金で、解雇しやすい「限定正社員」制度の導入も狙われています。
労働運動総合研究所の試算では、これらの「雇用改革」が実施されたとすれば、労働者の貨金は1年で41兆9000億円も減少します。減少額は日本のGDPの約9%に相当します。これだけの額が国民から奪われれば、生活の困窮はますますひどくなり、景気の落ち込みは日本経済に深刻な影響を与えることは間違いありません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年2月21日付掲載


使い古された「トリクルダウン」の経済理論は、消費税増税を前に誰の目にもウソだとわかりつつあります。
また、「自由な働き方」ともてはやされた、裁量労働制や限定正社員制度などは、自由とは名ばかりで、労働強化を推し進めるものとなっています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする