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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

異形の金融緩和 マイナス金利② 内需総崩れの状況

2016-02-04 14:08:59 | 経済・産業・中小企業対策など
異形の金融緩和 マイナス金利② 内需総崩れの状況

「異次元の金融緩和」によって金利を引き下げれば、投資や消費が刺激され、経済も活性化する―。黒田東彦総裁のもと日本銀行が描いたシナリオは、ことごとく外れてきました。同政策が、大企業には恩恵をもたらしても、中小企業や働く人々には負担しかもたらさず、内需の冷え込みを悪化させているからです。
日銀がマイナス金利導入を決めたのと同じ1月29日、総務省は2015年12月の家計調査を発表しました。調査は、1世帯(2人以上)当たりの消費支出が物価変動を除いた実質ベースで前年同月比4・4%減少し、4カ月連続のマイナスとなったことを明らかにしました。




雇用増えても
背景には、自民党政権下で規制緩和などによって雇用環境が劣化し、雇用数が増えても労働者の賃金は増えにくい構造があります。総務省の労働力調査によれば、非正規雇用労働者数は13年1月の1823万人から15年12月の2038万人に215万人増えました。同期間に正規雇用労働者数は3336万人から3316万人へ20万人減っています(グラフ)。
不安定な非正規雇用が拡大した結果、労働者の実質賃金は3年間で5%も低下(厚生労働省「毎月勤労統計調査」)。年収400万円のサラリーマンなら年間20万円の減少です。
パート労働者を除く一般労働者でみても実質賃金は大幅減です。
同じく1月29日に発表された経済産業省の鉱工業生産指数の15年12月の速報値(10年目100、季節調整済み)も96・5と前月比で1・4%低下しました。こちらも2カ月連続のマイナスです。
同日いっせいに発表された民間シンクタンク12社の15年10~12月期の国内総生産(GDP)予測の平均は、物価変動を除いた実質で年率換算1・5%減となりました。7~9月期の1・0%増から一転、2四半期ぶりのマイナス成長となる見通しを示したのです。なかでも個人消費は全社がマイナス予想でした。
実質GDPを年率2・2%減と予測したニッセイ基礎研究所は、民間消費や設備投資に加え、好調だった住宅投資や公共事業も大幅マイナスという「内需総崩れの状況」と分析しました。消費税増税から2年近くたっても日本経済は底離れできずにいるとし、「消費停滞の主因は実質雇用者所得の低迷にあると考えられる」と結論づけています。


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円安による利益減で倒産した靴卸会社=2015年3月、東京都内

円安負担重く
日銀の「異次元の金融緩和」は、為替市場で円安を加速させ、自動車メーカーをはじめ輸出大企業に巨額の利益をもたらしました。一方で、家計や中小企業には輸入食料品や輸入原料の値上げが重くのしかかっています。
帝国データバンクが1月13日に発表した調査によれば、「円安関連倒産」は13年の130件から15年は352件へ急増しています。全国中小企業団体中央会が毎月実施している景況調査の昨年12月分には、「円安、海外の人件費高による経費負担増加が激しい」(大阪府、被服)など、円安に対する業者の悲鳴が紹介されています。
マイナス金利決定によって早くも銀行は預金金利の引き下げを始めています。
破たんずみの異形の金融緩和政策に日銀がさらに突き進めば、そのゆがみは中小企業や働く人々に新たなしわ寄せを与えることになりかねません。貧困と格差をただし、暮らし最優先に政治を切り替えることこそが、日本経済再生の道です。
(おわり)(佐久間亮、杉本恒如が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年2月3日付掲載


マイナス金利導入で決して景気は良くならない。GDPは増えないのが実態。
マイナス金利で、円安で進む家計や中小企業への圧迫は改善しない。
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