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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

軍事依存経済 宇宙編⑤ 訪米し要望を聞き取り

2016-02-15 22:20:52 | 平和・憲法・歴史問題について
軍事依存経済 宇宙編⑤ 訪米し要望を聞き取り

安倍晋三政権の宇宙基本計画(2015年1月9日)がいかに米国の望みにかなっているか―。政策立案の中心にいる人物が証言しています。
12年から内閣府の宇宙政策委員会で委員長を務める葛西敬之(よしゆき)東海旅客鉄道名誉会長です。宇宙政策委員会は、首相の諮問に応じて「宇宙開発利用に関する重要事項」を「調査審議する」機関です。審議内容は宇宙基本計画に反映されています。



準天頂衛星初号機「みちひき」のイメージ図(JAXAのホームページから)

7機体制へ拡充
葛西氏は、今後の宇宙政策の「最重要事項」は、「衛星測位、すなわち日本版GPS(全地球測位システム)をつくること」だと強調。その「背景」を赤裸々に告白しました。
「(日本の安全保障には)米国の協力が不可欠であり、協力を得るためには米国が最も望む内容を把握する必要があります。そこで私自身、昨年9月に米国に赴き実際に関係者と意見交換したところ、中国が米国のGPS機能を破壊しようとする可能性がある、したがって日本がそのバックアップ機能を保有してくれることがたいへん重要であるとの意向でした。すなわち、日本版GPSである準天頂衛星の充実・強化です」(月刊誌『時評』15年6月号)
米国の「意向」が判明した結果、「以降、準天頂衛星の7機体制を早急に具体化していくことが必須となりました」と、政策決定に至る因果関係を明快に論じました。
GPSは全世界の位置を測定する測位システムです。予備機を含めて約30機の人工衛星を運用しています。
他方、準天頂衛星は地域的な測位システムです。日本のほぼ天頂(真上)を通る軌道を持つ人工衛星を複数機組み合わせるのが特徴です。測位信号を出してGPSと同様の機能を発揮するとともに、GPSの誤差を補正することができます。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、GPSの誤差を数十メートルから1メートル程度へ、さらには数センチ程度へ縮める目標を示しています。
衛星測位には準天頂衛星が4機以上必要ですが、現在は初号機「みちびき」だけを運用している段階です。安倍政権は宇宙基本計画で、17年度に4機体制へ、23年度に7機体制へ拡充する工程表を示しました。
準天頂衛星の軌道は南北に大きく8の字を描くため、7機そろった場合、オーストラリアのほぼ全域で日本と同様の精度での測位が可能になります。中国と東南アジアも広範囲でカバーします。米国が重視するアジア太平洋地域で、GPSを補完・補強することになるのです。

日米同盟に寄与
前述のインタビューで、葛西氏は「この宇宙基本計画の内容については米国も非常に高く評価してくれました」と語っています。「日本の宇宙政策が安全保障を機軸としている点が明確化されたのは非常に喜ばしいとのことでした」
とりわけ、準天頂衛星を充実する意義を強調しています。
「宇宙から衛星で正確な位置を測定すること、これに高度情報通信を組み合わせることで、たとえば効率的な部隊の運用が可能となり、安全保障体制が大きく向上します」
「衛星測位に関する日米の協力体制、相互依存体制をどう構築していくかが、これからの宇宙政策の大きな課題となるでしょう」
米国の意向に沿い、米国の戦争システムを支える目的で、宇宙基本計画が策定されたことは明白です。葛西氏がしめくくりに述べた言葉は、安倍政権の宇宙政策の本質を言い表すものでした。
「日米協力体制の構築に寄与するということが、まさにこの宇宙基本計画の真価なのです」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年2月13日付掲載


GPSって聞くと、カーナビなどの民生部門の事かと思いがちですが、主な狙いは軍事部門での運用。
アメリカへその情報を提供する。
憲法9条を持つ国として、許されない事。
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