きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

軍事依存経済 宇宙編① むしばまれる平和利用

2016-02-11 15:10:07 | 平和・憲法・歴史問題について
軍事依存経済 宇宙編① むしばまれる平和利用

長く平和目的に限定されてきた日本の宇宙開発がいま、急速に軍事色を強めています。安倍晋三政権が進める宇宙の軍事化によって岐路に立つ宇宙開発の実態を追います。
(佐久間亮、杉本恒如が担当します。11回連載の予定)

昨年12月に金星の周回軌道に入った宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「あかつき」の旅は、困難の連続でした。2010年5月の打ち上げ後、同年12月の軌道投入時に主エンジンが故障。探査機は軌道を大きく外れました。JAXAは本来軌道制御には使わない別のエンジンで軌道を修正し、5年越しの再挑戦で投入に成功したのです。
安倍首相は1月22日の施政方針演説で「あかつき」の姿を自らに重ね、「未来へ挑戦する国会」を訴えました。世界が注目する日本の宇宙技術。その裏で安倍政権は宇宙の軍事化を急いでいます。



金星探査機「あかつき」のイメージ(c) 池下章裕

日米同盟を強化
昨年1月に決定された「第3次宇宙基本計画」は、宇宙政策の目標の1番目に「宇宙安全保障の確保」を位置づけました。通信、情報収集などの宇宙システムを自衛隊の部隊運用に直接活用できるようにすることや、宇宙協力を通じた日米同盟の強化をうたっています。
JAXAも変質しています。JAXAの予算総額は統合前の旧宇宙3機関(宇宙開発事業団、航空宇宙研究所、宇宙科学研究所)の時代を含め、この20年間、2200億円前後で大きく変化していません。内実は軍事にむしばまれています。
1998年に情報収衛星(軍事スパイ衛星)の導入が閣議決定されて以来、JAXAの第2宇宙技術部門は情報収集衛星の開発を担当。年度ごとの開発費は決算ベースで300億~600億円に上ります。宇宙開発の平和部分が軍事に圧迫されています。
名古屋大学の池内了名誉教授は、「あかつき」や小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトを手がけるJAXA内の宇宙科学研究所の業績が、「JAXA全体の軍事への関与を覆い隠す『宇宙開発の広告塔』の役割を担うようになっている」と語ります。

首相が直接指示
第3次計画には「安全保障」という言葉が61回登場。情報収集衛星の拡充など、大幅な宇宙の軍事化路線を打ち出しています。
「09年の第1次計画はさまざまなテーマを列挙しただけ。第2次計画でも安全保障はテーマの一つだった。今回は最初から最後まで安全保障だ」
際立つ軍事偏重に、ある安全保障関係者はそう戸惑いを口にします。「自衛隊はこれまで、宇宙を使わなくても国を守れるという建前でやってきた。宇宙を利用する人員も体制も無い。計画実現には巨大な予算が必要だ」
宇宙の軍事化の背景には、地球規模で自衛隊を展開させることを目指す安倍政権の意向があります。内閣府の小宮義則宇宙戦略室長は、14年7月の集団的自衛権の行使を容認する閣議決定後、第3次計画策定を安倍首相が直接指示したと明かしています。
「9月に宇宙開発戦略本部が開かれ、そこで安倍総理から、わが国の安全保障政策を十分に反映し、かつ、産業界の『投資の予見可能性』を高め宇宙産業基盤を強化するため、10年間の長期的・具体的整備計画として新たな『宇宙基本計画』を策定せよとのご指摘をいただきました」(『時評』15年5月号)
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年2月9日付掲載


JAXAは、「はやぶさ2」や「あかつき」などの探査機の活躍の陰に隠れて、軍事開発に手を染めている。
憲法9条をもつ日本が、みずから宇宙の平和利用から逸脱する行為はやめるべき。
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