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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

異形の金融緩和 マイナス金利① 行き詰った日銀政策

2016-02-03 17:23:33 | 経済・産業・中小企業対策など
異形の金融緩和 マイナス金利① 行き詰った日銀政策

「マイナス金利」の導入を日本銀行が初めて決めました。日銀の当座預金の金利の一部をマイナス0・1%に引き下げることで、金融機関がお金を日銀にため込まず、貸し出しや投資に回すよう促す金融緩和策です。金融システムのゆがみを拡大する未踏の領域へ踏み込む背景には、何があるのでしょうか。

「新興国・資源国経済の先行き不透明感から金融市場は不安定な動きになっている」
「デフレマインド(心理)の転換が遅延し、物価の基調に悪影響が及ぶリスクが増大している」
マイナス金利の導入を決めた理由について、日銀の黒田東彦総裁は1月29日の記者会見でこう説明しました。株価の急落と円高の進展という新年早々の金融市場の大波乱を受け、対応を余儀なくされたのです。



「マイナス金利」導入決定後、記者会貝する日銀の黒田東彦総裁(奥)=1月29日午後、日銀本店

総裁前言翻す
黒田氏は、量的金融緩和と質的金融緩和という従来の二つの政策に、マイナス金利という新たな政策を追加し、「三つの次元」で金融緩和を進めるのだと強調しました。裏を返せば、大企業を支援する従来の「アベノミクス」(安倍内閣の経済政策)が行き詰まり、異形の金融緩和策の採用に追い込まれたことを意味します。
実際に29日の金融政策決定会合では、マイナス金利の導入によって「『量的・質的金融緩和』の限界が意識され、市場との対話が難しくなる」との異論が出ました。9人の政策委員のうち、マイナス金利に賛成したのは総裁と副総裁2人を含む5人だけ。4人が反対に回る薄氷の決定となりました。
黒田氏自身、政策決定会合の直前まで、「マイナス金利を具体的に考えているということはない」(21日、参院決算委員会)と述べ、導入に否定的な考えを表明していました。「マイナス金利にはプラス面とマイナス面といろいろある」とも指摘していたのです。
それなのになぜ、一転して導入を決めたのか。記者会見で繰り返し問われた黒田氏の口から、明確な説明はありませんでした。ただ、「ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)に行く前に、どんな追加緩和のオプション(選択肢)があるか検討するよう事務方に依頼した」と述べ、日銀内で具体的な検討を始めた日にちは示しました。

安定性脅かす
黒田氏がダボス会議に向かったのは、国会でマイナス金利の導入を否定した翌日(22日)でした。この日からマイナス金利導入の発表まで、わずか1週間。急転直下の決定だったことになります。
21日から22日にかけては、日経平均株価が1000円以上も急落し、昨年末に比べた下げ幅が3000円を超えていました。“株高が支え”といわれる安倍内閣は、足元が揺らぐ事態に見舞われていたのです。
菅義偉官房長官は、株価急落という「このタイミングで(日銀の)追加緩和を期待しているか」(21日の会見)と記者に問われ、次のように期待をにじませていました。
「(経済と物価のリスク要因を)日銀もしっかり注視しているんだろうと思っている」
そして甘利明経済再生担当相が辞任を表明した翌日。日銀がマイナス金利を打ち出すと、最大限に持ち上げたのです。「新たに大胆な手法を導入したこと」を「きわめて評価するというのが政府の考え方だ」(29日の会見)。
安倍内閣の期待に沿って前言を翻した日銀の“サプライズ”政策により、29日の日経平均株価の終値は先日比476円85銭高となりました。
しかし市場関係者からは、マイナス金利の危険性を指摘する声が相次いでいます。
「低金利時代だから、金融機関はリスクの高い『ジャンク(くず)債』のような商品にまで手を出している。日銀の決定は、そうした商品を買え、ということになってしまう」
「内需が冷え込んでいて国内に優良な貸出先がない中で、銀行はアジアへの融資に積極的になっている。欧米の銀行がリスクを避けてアジアから引き揚げているときに、アジアへの融資が増えると危ない」
金融システムの安定性を脅かす事態を招く恐れがあります。
(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年2月2日付掲載


異形(いぎょう)の仏(ほとけ)とは、十一面観音とか千手観音とか不思議な力を宿す仏ですが…。
金融の世界で異形とは、いわゆる禁じ手。
まさにモラルをなくしてしまいます。
コメント
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