きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

世界を「だまし討ち」批判必死 3閣僚 靖国神社参拝

2015-04-24 10:44:53 | 国際政治
世界を「だまし討ち」批判必死 3閣僚 靖国神社参拝

靖国神社は、過去の日本の侵略戦争を「自存自衛の正義のたたかい」「アジア解放の戦争」と美化・宣伝することを存在意義とする特殊な施設です。同神社に首相をはじめ閣僚が参拝することは、侵略戦争を肯定・美化する立場に自らを置くことを意味します。
安倍晋三首相は中国の習近平国家主席と22日に会談し、「あるていどの関係の改善」を確認したばかりです。習主席は安倍首相に「歴史を直視し積極的なメッセージを」と求めていました。
その直後に3閣僚が靖国参拝を強行し、政権首脳がこれを擁護することは「だまし討ち」といわれても仕方ありません。
首相官邸は日中首脳会談の実現に向けた調整が続く中では、会談への影響を恐れて高市氏らに参拝を見送るよう求めていました。複数の政府関係者が22日夜、明らかにしています。安倍首相自身も21日に自ら参拝することはやめ、真榊(まさかき)奉納で批判をかわす姿勢を印象づけていました。
その姿勢をかなぐり捨て、首脳会談が開催されたのを見届けた上で閣僚参拝を「解禁」したのならまさに「だまし討ち」です。
戦後70年の今年、世界が安倍政権の歴史認識をめぐる対応を注視しています。その中で、こうした不誠実な対応で歴史と国際秩序に挑戦する動きは、世界の厳しい批判を自ら呼び込むものです。
安倍首相は20日のBS番組で今夏発表する70年談話をめぐり、歴代内閣の歴史認識の「基本的な考え方は継いでいく」とする一方、「植民地支配と侵略」など村山談話の核心的命題を「書く必要はない」と明言。22日のバンドン会議60周年記念首脳会合では、それら核心命題には一切触れませんでした。
日本軍「慰安婦」問題でも「河野談話」の継承をいう一方、「性奴隷といういわれなき中傷」などとして事実上否定する、二枚舌の対応です。
26日からの訪米で、米上下両院合同会議での安倍首相演説も予定されています。ある政府関係者は「米政府関係者、有識者の多くが『歴史問題での安倍の発言は危険をはらむ』と見ている」と述べます。歴史への反逆は「同盟国」からも、激しい反発を呼び起こすことは避けられません。
(中相寅一)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年4月24日付掲載


靖国神社に参拝したのは、山谷えり子国家公安委員長、有村治子女性活躍担当相、高市早苗総務相。3氏とも日本の侵略の正当化を主張する改憲・右翼団体「日本会議国会議員懇談会」の中心メンバー。
それも、安倍首相が、まがりなりにも中国との間で「ある程度の関係改善」をしようとする中での閣僚の靖国参拝。
靖国思想は、まさに安倍政権のアキレス腱です。


第2次世界大戦終結70年 第4部 安倍新談話 波紋と矛盾⑤ 背景に極右の突き上げ

2015-04-23 11:55:30 | 平和・憲法・歴史問題について
第2次世界大戦終結70年 第4部 安倍新談話 波紋と矛盾⑤ 背景に極右の突き上げ

新談話につながる歴史認識そのものが問われるのが、東京裁判への態度です。
「サンフランシスコ(講和)条約11条は、(東京裁判判決の)主文は受け入れているが、(判決)理由中の判断に拘束されるいわれはない」
自民党の稲田朋美政調会長の発言です(有識者会合発足前日の2月24日)。
戦争指導者への「死刑」を宣告するなどした判決の「主要部分」は受け入れたが、その前提となる事実認定は受け入れないと宣言したのです。



東京・秋葉原駅前の安倍首相の街頭演説に集まった聴衆=2014年12月13日

病的な世界観
元外務省高官の一人は、「自分が国際社会に対し、『その基本秩序を私たちは壊しますよ』と言っていることがわかっているのか」と批判。「侵略を受けた相手の立場に一切立たない。こういう世界観は一種病的だ。国際社会で生きていく資格はない」と強く憤慨します。
自民党議員の一人は「稲田氏も首相から頼まれて言っているし、もともとそういう考えだ。アメリカの批判はわかったうえで誰かがそれを言わねばならない。ぶれたら首相も猛烈な拍手を送る右翼や支持者との関係でもたない」と指摘。背景に右翼層、「靖国」派総本山・日本会議の突き上げがあると示唆します。安倍首相の「歴史修正主義」を警告した米議会報告書は、昨年に続き2年連続で「日本会議」の存在に言及。首相自身がそこに帰属することに注目しています。
日本会議の中心に位置する靖国神社。元宮司の湯沢貞氏は1970年代に神社総代会がA級戦犯合祀(ごうし)を了承した際、「A級戦犯だけ合祀しないのは極東裁判(東京裁判)を認めたことになる。戦争責任者として合祀しないのならば、決定をした神社の責任が重くなる」と判断したことを紹介しています(『正論』2005年8月号)。「東京裁判を認めない」、その意思表示としてA級戦犯合祀が行われたとの告白です。
安倍首相自身も、「サンフランシスコ平和条約11条でいわゆるA級、B級、C級といわれた人たちの犯罪者扱いを約束したものでは全くない」(06年10月8日、衆院予算委)と述べています。

ガラパゴス化
別の元外務省高官は述べます。
「70年間動かない戦争に対する受け止めが実態としてある。それを法技術的議論で崩せると思ったら、日本はガラパゴス化し、全く勝ち目のないたたかいに突入する。稲田氏が単なる右翼へのガス抜きならいいが、安倍首相がもし本当にそれでいこうというなら、完全にギブアップだ」
(おわり)(この連載は中相寅一が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年4月21日付掲載


自民党の街頭演説で聴衆が一斉に日の丸を振り回す。普通にみると異常な光景ですが、「靖国」派からすれば身震いする想いなのでしょうね。
かつての戦争を「自存自衛」の戦争、アジア開放のための戦争とする思想が、その根底にあるのです。


第2次世界大戦終結70年 第4部 安倍新談話 波紋と矛盾④ 戦後の国際秩序に挑戦

2015-04-22 14:14:14 | 平和・憲法・歴史問題について
第2次世界大戦終結70年 第4部 安倍新談話 波紋と矛盾④ 戦後の国際秩序に挑戦

新談話で何を狙うのか。キーワードとなるのが「戦後レジーム(体制)からの脱却」というスローガンです。

「誤解」言うが
その意味について「靖国」派の若手リーダー格、自民党の稲田朋美政調会長は明確に語ります。
「総理が掲げる戦後レジームからの脱却というその旗、その中核にある憲法改正や安全保障法整備、さらには東京裁判史観からの脱却もまた重要なテーマだ」(1月29日、衆院予算委員会)
安倍晋三首相は国内外の批判を意識して、「戦後レジームからの脱却という言葉が、海外である種の誤解を生んでいる」「戦後レジームからの脱却とは、戦後たくさんの仕組みができて、この仕組みをまさに変えていくこと。まさに内政について言っているわけで、(国際的な)戦後体制に対し挑戦する類いのものでは全くない」(3日、衆院予算委)と述べます。
しかし憲法はじめ戦後の国内政治の枠組み・体制(レジーム)は、天皇制政府・軍部が民主主義を抑圧し侵略戦争を推進したことへの反省のうえに立っています。安倍首相の「言い訳」は自分に跳ね返ります。
ある政府関係者は「米政府関係者と話しても、戦後レジーム=(イコール)欧米のレジームと考えている。戦後レジームを変えることは欧米への挑戦、国際秩序への挑戦となり、レビジョニスト(歴史修正主義)ということになる」と語ります。
憲法や教育基本法などの「戦後レジーム」の骨格は、日本軍国主義の侵略を打ち破り、その解体、民主化を進めるとした連合国の大西洋憲章やポツダム宣言を基礎とし、その履行としてつくられたものだからです。



安倍晋三首相に質問する自民党の稲田朋美政調会長(左)

9条が「補完」
韓国の外交通商部元東北アジア局長・趙世暎(チョ・セヨン)氏は『文芸春秋SPECIAL夏(2014年)』で、東京裁判で昭和天皇の戦争責任が不問にされたことや、戦争指導者の責任も裁判後曖昧にされたことなどに触れながら、日本国憲法の存在の大きさを指摘しています。
「このような(戦後処理の)不完全性にもかかわらず、戦力を保持しない平和憲法を採択することによって日本が再び脅威にならない保障ができたため、日本の国際社会への復帰が容認されたのである。敗戦処理の不完全性が平和憲法の存在によって補完されてなんとかバランスがとれるようになったのが日本の戦後を支えた基本構造である」
アジアにとって、日本の戦後処理、戦争責任の曖昧さを補ったものが日本国憲法、とりわけ9条の平和主義だったことが深く想起されます。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年4月20日付掲載


「戦後レジーム」というと、何か悪いもののような音(いん)、響きがありますが…。その中身は、日本軍国主義の侵略を打ち破り、その解体、民主化を進めるとした連合国の大西洋憲章やポツダム宣言を基礎とし、その履行としてつくられたもの。
それからの脱却というと、まさに世界への挑戦です。

第2次世界大戦終結70年 第4部 安倍新談話 波紋と矛盾③ 政府・与党内部にひずみ

2015-04-21 10:35:36 | 平和・憲法・歴史問題について
第2次世界大戦終結70年 第4部 安倍新談話 波紋と矛盾③ 政府・与党内部にひずみ

「日本の歴史研究者に聞けば、99%は(侵略戦争だと)言うと思う」「私は首相に『日本は侵略した』とぜひ言わせたい」
70年新談話についての有識者会議(20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会)座長代理の北岡伸一国際大学長がこう発言したことが反響を呼びました。(3月9日)

北岡氏発言に
北岡氏は、集団的自衛権行使全面容認の「報告書」(昨年5月)をまとめた安保法制懇談会でも座長代理を務めた超タカ派で、首相に近い人物。マスコミ関係者や安倍首椙に近い学者ら16人が参加している中で、日本の近現代史を専門に研究してきたといえる学者は北岡氏ぐらい。それだけに歴史認識で「侵略」を否定しようとする安倍首相の姿勢の異常さを浮き彫りにしたのです。
ところが北岡氏は今月10日の発言で、「50年(談話)と70年で言うことが多少違ってくるのは当然」と後退。「『侵略』『植民地』『痛切な反省』『おわび』、それ(にこだわるの)は矮小化ではないか」と首相擁護に変化しました。
自民党関係者は「最初の発言に、官邸が強く怒った」と語り、水面下でのせめぎあいを示唆します。
改憲右翼団体・日本会議の代表委員で、第2次安倍内閣のもとNHK経営委員に就任した長谷川三千子氏も、「産経」で北岡発言を「歴史を見る目を歪める」などと攻撃しました(3月17日付)。



首相官邸で開かれた「70年談話」に関する有識者会議の初会合=2月25日(首相官邸ホームページから)

同盟強化派も
与党内部でも複雑な動きが出ています。
「戦争立法」で自公・与党協議の座長を務める自民党の高村正彦副総裁は、2月25日の第1回有識者会合当日、「50年、60年談話(村山、小泉談話)を継承することが明快であればあるほど、日本がどういう国になるのかにスポットライトが当たる」と表明し、両談話の重みを強調しました。二階俊博総務会長も、野党と協議し「国会で一致」を求めるなど安倍首椙をけん制しています。
日米同盟強化派から歴史問題に敏感な発言が続くのは、それが日米同盟をも根底から揺るがしかねないからです。
元外務省高官の一人は指摘します。「アメリカがアジアにリバランス(再配置)するなかで、安倍首相の安保政策は有益だと評価されている。しかし、だからといって、歴史認識の部分でこれほど根が深く矛盾のあるものを表に出し、ひっくり返そうとしたら、アメリカは理屈と損得を超えて日本をたたくだろう」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年4月19日付掲載


改憲派の論客として有名な国際大学長の北岡氏。その北岡氏さえ「侵略戦争」と言わざるを得ないほど、歴史的事実ははっきりしているのだが…。
安保条約の深化を望むアメリカでさえ、歴史認識をひっくり返そうとしたら、アメリカは理屈と損得を超えて日本をたたく。

第2次世界大戦終結70年 第4部 安倍新談話 波紋と矛盾② ドイツ保守系紙の批判

2015-04-20 15:26:54 | 平和・憲法・歴史問題について
第2次世界大戦終結70年 第4部 安倍新談話 波紋と矛盾② ドイツ保守系紙の批判

「日本は報道の自由が保障された民主国家であり、日本語スキル(技能)が貧しい特派員でも情報収集は可能である。それでもギャップは存在する。それは安倍晋三首相のリーダーシップの下で起きている歴史修正の動きによってもたらされた」
独高級紙フランクフルター・アルゲマイネの東アジア特派員カーステン・ゲアミス氏は、日本外国特派員協会のウェブサイトに安倍政権を批判するコラムを残し、3月末に帰国しました。

記事への攻撃
ゲアミス氏は同コラムで、2014年以降、安倍首相の「歴史修正主義」を批判したことで、日本外務省から直接攻撃を受けたこと、さらにドイツ本国の本社・編集部にまで攻撃が及んだと告発しています。
同コラムによると、在ドイツ日本総領事が同年8月末、ゲアミス氏の批判記事(昨年3月7日付など)について、フランクフルトの本社を訪問。記事が中国の「反日プロパガンダ」に利用されているとし、「金が絡んでいる」「中国へのビザ申請を承認してもらうため」などと「侮辱」を並べたといいます。
同紙は内外に保守派として知られます。コラムは「それでも本紙は安倍の歴史修正主義はすでに危険なレベルに達しているとする立場に与(くみ)する。ドイツであれば、自由民主主義者が侵略戦争に対する責任を拒否することはありえない。もしドイツ国内にいる日本人が不快な思いをしているとしたら、メディアが煽(あお)っているからではなく、ドイツが歴史修正主義につよい抵抗を覚えているからである」としています。
安倍首相自身は「歴史修正主義」との批判に対し、「歴史修正主義ではもちろん私は全くない。歴史修正主義は、かつてヨーロッパにおいてホロコースト(ナチスによるユダヤ人大虐殺)がなかったという考え方に対する批判だ」と答えています(3月3日、衆院予算委員会)。
答弁の背景には、安倍首相が1月のイスラエル訪問で、ホロコーストミュージアム(博物館)を訪問・献花して歴史への「謙虚」さをアピールするパフォーマンスをしたこともありました。



フランクフルター・アルゲマイネ紙(背景)とゲアミス氏の記事。手前は、昨年3月7日付掲載の記事「過去の亡霊―日本は歴史修正主義的な言説そのものによって孤立する」のテキスト

「こっけいだ」
安倍首相の弁明は成り立つのでしょうか。ゲアミス氏は「こっけいだ」と本紙にコメント。「ホロコーストはドイツの歴史に関連している。われわれが話しているのは、日本の植民地支配下における侵略、戦争、犯罪の歴史だ。安倍首相自身によって支持された新国家主義的な歴史修正主義が日本に存在する」と批判しました。
侵略戦争の事実を認めず、歴史をゆがめる考え方こそ「歴史修正主義」そのものなのです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年4月17日付掲載


安倍首相は、「ホロコーストの事実を認め、向き合っている」と歴史問題は問題がないと開き直っているとしたら、とんでもない思い違い。
歴史問題は、その国によってそれぞれ異なるもの。日本の場合は、アジア諸国への侵略、戦争、犯罪への反省が必要。