法音カウンセラー 釋 真聴 《日乗》

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レスポン考

2013年06月19日 23時28分36秒 | 日乗

昨日更新した、

高田文夫編
『江戸前で笑いたい』
志ん生からビートたけしへ
発行所:筑摩書房

からの引文です。
書き手は、ラサール石井さん。

たとえばよく欽ちゃんは「聞いては駄目」と言う。
これは欽ちゃんが「こうやってみて」と言ったことに対して、
「どういうことですか」とか「今やるんですか」などと聞き返してはいけないということだ。
「わかりません」と言うのは最もいけない。
なぜならそこで流れがストップしてしまうからであり、
欽ちゃんの言葉を借りて言うと「そこで終わっちゃう」からなのだ。
何よりもボケは、言われたらとにかく何かしなくてはならない。
「えっ」とためらってもいけない。
面白いかどうかよりも、とりあえず反応することが大事なのである。
何か反応さえあれば、ツッコミは何とか次につなげられるものだ。
また、「ツッコミの言葉は逆に聞け」とも言われる。
欽ちゃんが「もうやめろよ」ということは裏を返せば「もう一回やれ」という合図だし、
「君はもうしゃべっちゃ駄目」と言われたらそれはどんどんしゃべれということなのである。
コントにおいては「やるな」は「やれ」なのである。
そのほか欽ちゃんがよく稽古場でやることに、
五人の人間がいるとみなを並べて順番にインタビューしていくという方法がある。
たとえば欽ちゃんが「好きな山は?」と聞く。
いちばん最初の人間は「富士山」と答える。
これでよい。
一番目はボケる必要はない。
とにかく言い淀まずに即座に一般的な答えを出す。
二番目も「阿蘇山」と答える。
これもよい。
二番目は流れを作る役割である。
そして三番目である。
ここでまたふつうの山の名前を言うと欽ちゃんからダメが出る。
「駄目だよ。ひねらなくちゃ。流れを変えるんだよ」と言われる。
三番目は大きく落とさなくてもよいが、大落ちのためのネタ振りとして、
ちょっと変わったことを言わなければならない。
「千歳烏山」と言えば、「それは山じゃないと」というツッコミが入る。
この程度ならよい。
四番目は三番目よりももう少し流れを変える。
多少マニアックな笑いも許される。
「太郎山」と言って、
「何だよそれは」と言われたら「うちの田舎にあるんです」と答えるというのでもよい。
この手は一度ハマれば後々繰り返しギャグとして使える。
何を聞かれてもわけのわからないことを言い、
つっこまれたら「うちの田舎にあるんです」と答えればいいのである。
五番目は大落ちである。
確実に落とさなければならない。
そのためには多少ベタなネタでもかまわない。
「好きな山は?」と聞かれたら、
「武双山」と相撲取りの名前あたりで逃げる。
このへんはある程度のお約束だ。
もちろんこの程度ではテレビには通用しないが、
稽古場で即興的にやった場合、
これぐらいできたらたいしたもんだ。
このように55号時代には二郎さん一人でやってきたことを、
何人かで分担してやらせたのが、
「良い子悪い子普通の子」であり、「欽ちゃんバンド」だったのである。

コントとカウンセリングのレスポンスとは、当然違いがある。

カウンセリングを勉強し始めた初心の頃は、
クライエント方の語るところを完璧に理解してレスポンスすることを大事にしたものだ。
いま考えれば、赤面もの。
カウンセリングの名人でもできないようなことを考えていた。

暫く勉強が進んだとき、
クライエントの方の陳述とカウンセラーのレスポンスの微妙なズレに関心を抱くようになった。

カウンセラーのレスポンスは、出来もしない完璧なレスポンスを求めるのだはなく、
「肯定的な関心」を大事にしたレスポンスを続けるものだと思った次第。

そして、何よりも、カンファレンスの重要性がクローズアップされるところでもあります。

ラサール石井さんの文に出合った、いろいろ考えさせられました。

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コメント
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