近くのホールで新春落語会。西新井ギャラクシティで、柳亭市馬、柳家喬太郎、柳家三三(さんざ)に加えて、春風亭一之輔が入って四人会。春風は新春でもあるだろうけど、柳屋系の中に春風亭が一人という趣向。この顔触れはすごいな。という人ばかりが来てるわけでもないのが、地元のホール落語というもの。誰も名前知りませんみたいな人がかなりいた感じで、知らないながら皆受けて、大笑いしていた。ここはかなり新年の落語会に行ったけど、震災後に耐震化で閉まっていた。また始まってうれしい。
前座は柳亭市弥という人で、その後に春風亭一之輔。「黄金の大黒」という噺だったと後で貼り紙を見たけど、マクラが面白すぎて他の印象が飛んでしまった。最初はベルリン大学落研の話で、これがおかしい。でもその後の「鉄道路線ネタ」が西新井では大受け。「東武野田線」(本人は野田出身だということで)と、他の東武線、あるいは他の私鉄、JRの「地域問題」。こういう話は多くの落語家が取り上げるけど、一つ間違うと問題発言になる。東京(あるいは首都圏)は「地域格差」が大きいので、「自虐ネタ」で取り上げる人が多い。一之輔は真打昇進を見て、その後はもう一回くらい見たかと思うが、ますます客をしっかりつかむ力をつけている感じ。
続いて柳家喬太郎で「転宅」という話。泥棒が妾宅に忍び込み、すごむところを逆にたらしこまれてしまう。結婚約束までしてカネを置いてきてしまうが、翌日来てみると…という展開を男女演じ分け見事。休憩をはさんで、柳家三三は「粗忽の釘」。引っ越してきた大工が女房に言われて釘を打ちつけると、隣家にまで抜けてしまう。そのドタバタ騒ぎを面白おかしく演じる。この二人はあまり聞いたことがないのだが、しっかり客の心をつかんでいた。とぼけた展開をうまく演じて楽しんだ。
最後に市馬師匠。うまいのは判り切っているが、最初の頃の大相撲の呼び出し、行司の声帯模写、続いて相撲甚句で、場内の心をつかんでしまった。面白い、うまいなどという声が周りから聞こえる。話は「妾馬」(めかうま)で、八五郎の妹つるが殿様に見初められ、殿中に上がって世継ぎを生む。兄の八五郎は殿に呼ばれて御殿へ向かうが、珍道中の末、酒を出されて酔っ払い都都逸をうたい、母を思い出しほろりとし…という噺。市馬だったか誰だったか、前にも聞いてるし、市馬師匠も何度も聞いてる。どっちかというと通好みの噺家なのかと思っていたが、今日は新春の客席に大受けしていた。声が通るし、酔っ払いの仕草が堂に入ってる。これはもう名人芸だと思う。
寄席の初席は顔見世興行だから、ほとんどマクラのみでとっかえひっかえ出てくる。そこが面白いと言えば面白いけど、落語をじっくり聞くなら正月はホール落語の方がいいと思う。特に都心でやる通向き企画よりも、地元のホールでやる落語会がおすすめ。落語会にあまり来たことないお客が多い方が、新春気分が出る。お互いに。同じホールで聞いた落語家はかなりになるけど、新春じゃないけど、昔、春風亭柳昇を見に行って、その前に出てた春風亭昇太を「発見」した思い出がある。柳昇師匠は少しして亡くなり、昇太は「笑点」に出るようになってすっかり有名になった。まだ20世紀の頃である。
前座は柳亭市弥という人で、その後に春風亭一之輔。「黄金の大黒」という噺だったと後で貼り紙を見たけど、マクラが面白すぎて他の印象が飛んでしまった。最初はベルリン大学落研の話で、これがおかしい。でもその後の「鉄道路線ネタ」が西新井では大受け。「東武野田線」(本人は野田出身だということで)と、他の東武線、あるいは他の私鉄、JRの「地域問題」。こういう話は多くの落語家が取り上げるけど、一つ間違うと問題発言になる。東京(あるいは首都圏)は「地域格差」が大きいので、「自虐ネタ」で取り上げる人が多い。一之輔は真打昇進を見て、その後はもう一回くらい見たかと思うが、ますます客をしっかりつかむ力をつけている感じ。
続いて柳家喬太郎で「転宅」という話。泥棒が妾宅に忍び込み、すごむところを逆にたらしこまれてしまう。結婚約束までしてカネを置いてきてしまうが、翌日来てみると…という展開を男女演じ分け見事。休憩をはさんで、柳家三三は「粗忽の釘」。引っ越してきた大工が女房に言われて釘を打ちつけると、隣家にまで抜けてしまう。そのドタバタ騒ぎを面白おかしく演じる。この二人はあまり聞いたことがないのだが、しっかり客の心をつかんでいた。とぼけた展開をうまく演じて楽しんだ。
最後に市馬師匠。うまいのは判り切っているが、最初の頃の大相撲の呼び出し、行司の声帯模写、続いて相撲甚句で、場内の心をつかんでしまった。面白い、うまいなどという声が周りから聞こえる。話は「妾馬」(めかうま)で、八五郎の妹つるが殿様に見初められ、殿中に上がって世継ぎを生む。兄の八五郎は殿に呼ばれて御殿へ向かうが、珍道中の末、酒を出されて酔っ払い都都逸をうたい、母を思い出しほろりとし…という噺。市馬だったか誰だったか、前にも聞いてるし、市馬師匠も何度も聞いてる。どっちかというと通好みの噺家なのかと思っていたが、今日は新春の客席に大受けしていた。声が通るし、酔っ払いの仕草が堂に入ってる。これはもう名人芸だと思う。
寄席の初席は顔見世興行だから、ほとんどマクラのみでとっかえひっかえ出てくる。そこが面白いと言えば面白いけど、落語をじっくり聞くなら正月はホール落語の方がいいと思う。特に都心でやる通向き企画よりも、地元のホールでやる落語会がおすすめ。落語会にあまり来たことないお客が多い方が、新春気分が出る。お互いに。同じホールで聞いた落語家はかなりになるけど、新春じゃないけど、昔、春風亭柳昇を見に行って、その前に出てた春風亭昇太を「発見」した思い出がある。柳昇師匠は少しして亡くなり、昇太は「笑点」に出るようになってすっかり有名になった。まだ20世紀の頃である。