尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

初笑い 柳の家に春風が!

2014年01月05日 21時24分44秒 | 落語(講談・浪曲)
 近くのホールで新春落語会。西新井ギャラクシティで、柳亭市馬柳家喬太郎柳家三三(さんざ)に加えて、春風亭一之輔が入って四人会。春風は新春でもあるだろうけど、柳屋系の中に春風亭が一人という趣向。この顔触れはすごいな。という人ばかりが来てるわけでもないのが、地元のホール落語というもの。誰も名前知りませんみたいな人がかなりいた感じで、知らないながら皆受けて、大笑いしていた。ここはかなり新年の落語会に行ったけど、震災後に耐震化で閉まっていた。また始まってうれしい。

 前座は柳亭市弥という人で、その後に春風亭一之輔。「黄金の大黒」という噺だったと後で貼り紙を見たけど、マクラが面白すぎて他の印象が飛んでしまった。最初はベルリン大学落研の話で、これがおかしい。でもその後の「鉄道路線ネタ」が西新井では大受け。「東武野田線」(本人は野田出身だということで)と、他の東武線、あるいは他の私鉄、JRの「地域問題」。こういう話は多くの落語家が取り上げるけど、一つ間違うと問題発言になる。東京(あるいは首都圏)は「地域格差」が大きいので、「自虐ネタ」で取り上げる人が多い。一之輔は真打昇進を見て、その後はもう一回くらい見たかと思うが、ますます客をしっかりつかむ力をつけている感じ。

 続いて柳家喬太郎で「転宅」という話。泥棒が妾宅に忍び込み、すごむところを逆にたらしこまれてしまう。結婚約束までしてカネを置いてきてしまうが、翌日来てみると…という展開を男女演じ分け見事。休憩をはさんで、柳家三三は「粗忽の釘」。引っ越してきた大工が女房に言われて釘を打ちつけると、隣家にまで抜けてしまう。そのドタバタ騒ぎを面白おかしく演じる。この二人はあまり聞いたことがないのだが、しっかり客の心をつかんでいた。とぼけた展開をうまく演じて楽しんだ。

 最後に市馬師匠。うまいのは判り切っているが、最初の頃の大相撲の呼び出し、行司の声帯模写、続いて相撲甚句で、場内の心をつかんでしまった。面白い、うまいなどという声が周りから聞こえる。話は「妾馬」(めかうま)で、八五郎の妹つるが殿様に見初められ、殿中に上がって世継ぎを生む。兄の八五郎は殿に呼ばれて御殿へ向かうが、珍道中の末、酒を出されて酔っ払い都都逸をうたい、母を思い出しほろりとし…という噺。市馬だったか誰だったか、前にも聞いてるし、市馬師匠も何度も聞いてる。どっちかというと通好みの噺家なのかと思っていたが、今日は新春の客席に大受けしていた。声が通るし、酔っ払いの仕草が堂に入ってる。これはもう名人芸だと思う。

 寄席の初席は顔見世興行だから、ほとんどマクラのみでとっかえひっかえ出てくる。そこが面白いと言えば面白いけど、落語をじっくり聞くなら正月はホール落語の方がいいと思う。特に都心でやる通向き企画よりも、地元のホールでやる落語会がおすすめ。落語会にあまり来たことないお客が多い方が、新春気分が出る。お互いに。同じホールで聞いた落語家はかなりになるけど、新春じゃないけど、昔、春風亭柳昇を見に行って、その前に出てた春風亭昇太を「発見」した思い出がある。柳昇師匠は少しして亡くなり、昇太は「笑点」に出るようになってすっかり有名になった。まだ20世紀の頃である。
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桂文治襲名披露公演

2012年10月08日 22時44分43秒 | 落語(講談・浪曲)
 浅草演芸ホールで、落語芸術協会の第11代桂文治襲名披露公演。寄席は上野や新宿に行くことが多いので、実は浅草は初めて。団体客もあり、11時40分に行ったのだが、もう1階は満員。2階で見る。口上に5日までは桂歌丸会長が出るけど、後半は桂米丸最高顧問(いつまでも元気で寄席でトリをとったりしてるのにビックリ。テレビの寄席番組の司会で有名だった)を中心に、三遊亭小遊三(副会長)や兄弟子蝠丸、小文治、笑福亭鶴光など。今日は春風亭昇太も。さらに今日は毒蝮三太夫が特別に登場。なんでも先代文治がまむしプロダクションに所属していたという縁だそう。

 落語は僕は何十年もしっかり聞いてるわけではないので、あまり語れない。「桂文治」という名は、もと上方のものらしいが、その後江戸に来て、桂の宗家にあたる名前だということだ。11代目は1967年生まれで、桂平治を名乗っていた。まだ45で、兄弟子を飛ばしての襲名。前に聞いたこともあるが、明るく陽気な芸風で、重厚さはまだ当然足りないけど、大声で明るく場内の雰囲気をつかんでしまう。応援したくなる芸風で、今後の精進が楽しみ。今日は長野県から団体が来ていたということで、仏教伝来に関する「お血脈」(おけちみゃく)という「地噺」をやっていた。物部守屋が捨ててしまった仏像が善光寺になるという長野県に関連する話。お釈迦様から始まって歴史を語りながら、随所に落語家のエピソードを交えて楽しく演じていた。仏像の長さの話で「丈」を説明するときに、「円丈さん」という落語家がいると話しだしたのがおかしかった。

 「笑点」に出ている昇太小遊三はさすがに知名度も高く盛り上がる。うまいし語り口もいいんだけど、やはり知名度も重要だなあと思う。昇太は10年以上前の、それほど有名でないときからずいぶん聞いてる。今年はなんだかあちこちで聞く機会があり、4回目。落語が続くと、漫才や曲芸、手品などの「色物」がうれしい。そっちに発見がある。ホール落語だと色物がなかなか見られない。ということで、寄席はいいんだけど、昔風の建物だから椅子が小さい。今では疲れる。長いから。シネコンの椅子みたいになることは絶対にないと思うけど、辛いことは辛い。でもまあ椅子はあるわけで、テント芝居よりはいいわけだけど。

 帰りにROXのリブロ(本屋)で、岩波の「世界」を買う。いやあ、今は世界を置いてない所が多くて、浅草にあるかなあと思ったんだけど。朝日新聞の広告を見て、「なぜ教員免許更新制は廃止されないのか」という論文が載ってるのに気付いた。池田賢市さん(中央大)と大森直樹さん(学芸大)の、去年一緒に記者会見した方々。読んだら僕の名前が載ってた。この問題もいずれまた、じっくり書きたいと思う。一応、紹介。
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演芸アラカルト-新文芸坐落語会

2012年05月17日 00時15分18秒 | 落語(講談・浪曲)
 5.16の新文芸坐落語会の話をちょっと。ここは毎回ではなく、数カ月に一回くらい行く感じ。けっこう遅くなってしまうので、寄席やホールで聴きやすい人は、まあいいか、になりやすいな。今回はでも「演芸アラカルト」と題して、落語以外が3人。落語は古今亭菊志んと言う人、続いて講談の神田山陽。中入りをはさんで、パントマイムとあるけど「芸談」の松元ヒロ、最後に浪曲の国本武春。凄いでしょ。僕は凄い顔ぶれが並んで逃せないと思ったけど、週の真ん中だからか空席が多かったのは残念。


 松本ヒロさんは、元ニュースペーパーにいた頃から名前を知ってるけど、「パントマイム」だったのか。「壁」というネタをやっていたけど、素晴らしく面白かった。本人もチラシを今日見てビックリで、マイム芸を披露。僕は集会では聞いているけど、「芸能」のなかで聞くのは初めてである。でも今日は「危ないネタ」はなくて、談志の思い出の語り。うまいし面白いんだけど、僕はどうも。
 浪曲の国本武春と言う人も、名前はずいぶん聞いてたけど聞くのは初めて。というか「浪曲」というジャンル自体聞くのが初めてかな。忠臣蔵松の廊下の段を、「前半ロック、後半バラード」で弾き語りするという芸。三味線片手に出てきたけど、いわゆる「うなり」がロック調でうたうという語り芸にちょっとビックリした。
 でも一番ビックリは神田山陽の講談で、鼠小僧が師走の江戸で屋根でたたずむと、そこにサンタクロースが出てくるという奇想天外ぶり。前から永六輔のラジオで北海道の小学校に通っている話なんか聞いたことがあったけど、本職の講談のぶっ飛びぶりがおかしかった。何故か鼠小僧とサンタが忠臣蔵討ち入りの日に吉良邸上空をトナカイに乗って飛んでいる。

 青森に行くちょっと前の10日には、新宿末廣亭での落語芸術協会の方の真打昇進披露を見に行った。春風亭昇太、三遊亭小遊三、瀧川鯉昇、昔昔亭桃太郎の口上が滅法面白かった。真打昇進の若手も頑張ってましてけど、師匠連の面白さにはかないませんね。
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春風亭一之輔真打昇進披露興行

2012年04月09日 23時41分50秒 | 落語(講談・浪曲)
 落語協会で「21人抜き」真打昇進で盛り上がる春風亭一之輔の昇進披露。今日、新宿末廣亭で見てきました。3月下旬に上野・鈴本演芸場でスタートして、もう19日目。実に安定した面白さで、早くも大物の風格で、感心、爆笑。夜興行は明日で終わり、この後、浅草演芸ホール池袋演芸場国立演芸場と昼興行が続きます。(国立は夜の日、一日あり。)おヒマが作れる方は、是非、行かれるといいと思います。

 初めから花見もあって混雑が予想される一発目の上野を避けて、昼夜入れ替えなしの新宿で映画を見てから行こうかと思ってました。旅行もあって時間が厳しかったけど、これは見逃さなくて良かった。今日は「ヒューゴの不思議な発明」を見てから、昼席の終わりごろから聞きました。おかげで、さん喬師匠は昼夜と二度聞きました。

 肝心の一之輔は聞いたことがなくて、評判は聞いていたけど、素晴らしいですね。今日は「くしゃみ講釈」という上方系の噺で、上方落語と微妙に感じが違う。そこらへんのアレンジがうまいし、完全に客席をつかんで離さない。兄貴分との掛け合いの面白さはベテランの域。正当派の立派な芸風に、今後の期待が高まるばかり。顔つきもいいです。

 僕の大好きな柳亭市馬が口上で相撲甚句をやったのもすごく良かった。師匠の春風亭一朝は得意の笛。口上メンバーは、前会長の鈴々舎馬風師匠のもと、市馬師匠や昼夜出てきた柳家さん喬師匠、一朝師匠。落語は小朝も良かったけど、春風亭の正朝、勢朝、師匠の一朝など、皆良かったのは披露興行で観客も多いので頑張ってる感じ。色物も良かったし、観客が多く皆大笑いしていたので、お祝いムードで盛り上がっていた。満足して帰りました。
 
 今後見たい方は、上記演芸場のホームページで出演者を確認して行って下さい。(一之輔は毎日出るけど、他の人は代わる日もあるので。)
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円丈ゲノム

2012年03月05日 00時14分17秒 | 落語(講談・浪曲)
 毎日新聞落語会「渋谷に福来たるSPECIAL~落語フェスティバル的な~」という催し、渋谷区文化総合センターで2日~4日まで。僕は3日の「円丈ゲノム」に行ってきた。ホントは2日の「師匠噺 四派饗宴」に行きたかったんだけど、チケットが取れなかった。でも、新作派の実力者4人の「円丈ゲノム」も行きたかったからまあいいでしょう。「ゲノム」は「遺伝子」ですね。円丈師匠は「ゲーム」だと間違えていたとホームページで書いてるけど。

 まず最初に幕が上がると、春風亭昇太林家彦いち三遊亭白鳥の三人が出てきて、鼎談会。これが抜群に面白い。新作落語は差別されてきたと「待ってました!」(吉川潮)の本の中でいっぱい出てくるが、この四半世紀の新作落語をリードしてきたのが円丈師匠。渋谷ジャンジャン(公園通りの山手教会地下にあった小劇場、ライブハウス)で80年代にやっていた「実験落語の会」がいかにすごかったか。重要だったか。僕はジャンジャンは何度も行ってるけど、この頃は落語を聞いていない。残念。

 円丈師匠は足立区在住で、そのことは弟子の白鳥がどうやって弟子入りしようとしたかで語っていたけど、なんと「イエローページ」(電話帳)に載っていたそうだ。ただし「足立区六」としか載ってなかった。足立区には六が付く地名がいくつもあるので行きつかない。そのうち他の電話帳を見たら旧住所が載っていた…。今は「つくばエキスプレス」というのができて「六町」という駅名もあるわけだが、円丈師の家はそこ。昔は「陸の孤島」。そのあたりの事情は「悲しみは埼玉に向けて」とか「一つ家公園ラブストーリー」とかで語られる。まだ僕が落語をほとんど聞かなかった90年代半ば、足立区の高校に勤めていて卒業近くに卒業生向け落語会を企画した。その時に来たのが、円丈師匠。この時の面白さは格別だった。以来、同じ足立区ということで印象に残り、最近も割と聞いてる。

 3人の語りの中で、昇太が「最近、市馬兄さんが歌歌ったりしているけど、実はそれも円丈師匠が昔やってる。これは知らない人が多いでしょう。」と言って、音源が見つかったといって、「悲しみのホアンホアン」とかいう歌が場内に流れる。爆笑。アイドルソングみたいな歌。そこに、突然うどん屋ののぼりを掲げた自転車に乗って、円丈師匠が3人の前を通り過ぎる。何も言わずに、もう一回戻ってくる。もう、ありえないほどおかしい。場内爆笑。

 僕が落語を少し聞くようになったころ、足立区のホールでやった春風亭柳昇の会にまだ知名度のなかった時代の昇太が出ていた。昇太の新作の面白さは群を抜いていた。以後しばらく追っかけ的に聞いていた。「伊東四朗一座」に出ていたのまで見ている。(伊東四朗が見たかったんだけど。)昇太は師匠選びの話をよくしているけど、やはり柳昇師匠で良かったんでしょう。「笑点」に出るようになってから、少しおとなしいように思えたのだけど、最近聞くとやはり面白いですねえ。今回は「新作落語傑作読本1」(白夜書房)に掲載されている「オヤジの王国」。読むより語りの方が面白い。それは「体技」としかいいようがない、全身の演技が面白いんですね。膝をついて半立ちになって熱演するというのが昇太のスタイルだけど、このネタは横になるのもある。

 今回は、まず円丈の弟子、白鳥が「悲しみは日本海に向けて」、昇太の「オヤジの王国」、仲入り後に林家彦いち「二月下旬」、そしてトリで円丈「悲しみの大須」という名古屋の大須演芸場の芸人列伝。かなり大きな会場が満員で、熱演、爆笑。新作落語の面白さを堪能できた会だった。でも、足立区(ずっと住んでる)や新潟(妻の実家)が出てくることもあり、最後の円丈師匠も出身の名古屋ネタだったから、なんとなく日本の中の居住地にまつわる「差違」というか、もっと言えば「差別」がいかに笑いの源泉になるか、複雑な感じもしたなあ。そういうホンネの部分が芸能の本質なんだろうけど。
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市馬&志らく 二人会

2012年02月16日 00時44分23秒 | 落語(講談・浪曲)
 池袋の映画館、新文芸坐でやってる落語会も第30回。ここは映画館の「友の会」に入っていることもあり、けっこうよく行っている。15日は、柳亭市馬師匠と立川志らく師匠。懐メロ大会ではなく、落語の二人会。今一番聞きたい落語家と言ってもいい二人。楽しみ。だけど、あまりに早くチケットを買い過ぎて、うっかり忘れて他の公演を入れるところだった。

 僕は市馬師匠(落語協会副会長です)は、歌がうまいということもあるからか、口跡の気持ち良さでは落語界有数なのではないかと思う。ネタは「二番煎じ」。冬の夜に、町内の旦那衆が火の用心の夜回りをすることになる。番小屋に戻った後に、酒を煎じ薬と称しての宴会が始まる。寒い時期にふさわしい話。上品な酔いぶりなどが見事。やはり大好きな落語家だなあ。

 志らく師匠(ところで、今まで「し」と「らく」に分けて打っていたのだけど、今うっかり「しらく」で変換したら、変換の候補の中に「志らく」があったよ)は、正月に紀伊國屋ホールのミッキー・カーチスの自伝出版記念会で「笠碁」を聞いたばかり。この時はハーモニカも。今回はせっかちとのんびり屋の会話がおかしい「長短」と、おなじみ「時そば」。時そばなんて、いろいろな人で何度も聞いたけど、微妙にそれぞれ違って楽しめる。むろん、「何時だい」は同じだけど、それに騙される人がいるとは思えないわけだけど、蕎麦屋とのかけあいや蕎麦の食べ方談義などが違ってきてそこを楽しめる。ついこの間、昇太で聞いたばかり。

 この落語会は最後にトークが入ることが多いのが楽しい。今回も懐メロネタ(特に金沢で受けなかった話がおかしい)、談志師匠ネタなどたっぷり。亡くなってから談志と言う人の大きさを改めて感ずることが多い。

 ここで書かなかったが、1月初めに紀伊國屋ホールで行われた吉川潮「待ってました! 花形落語家、たっぷり語る」の出版記念の会に行った。そこで春風亭昇太を久しぶりに聞いたわけ。昇太は柳昇師匠がまだ存命の頃に師匠の会で知ったのが、もう10年以上前。その新作のセンスに脱帽して、ずいぶん聞いた。「笑点」メンバーになって知名度が全国区になってから、なんだかあまり面白くない感じだったんだけど、久しぶりに生で聞くとエネルギーがあってやはり面白い。

 吉川さんの本(新潮社)はものすごく面白い。新潮社のサイトから引用すると、

 師曰く、「会場を選ぶな。自分の演るところが神殿だ」「何を語るかでなく、誰が語るかだ。落語家の存在自体がネタである」。芸と人間の磨き方、災難も笑い話にしてしまう精神力と話術。ビジネス書より学べて、ためになる。小朝、志の輔、談春、志らく、鶴瓶、昇太、円丈、あやめ、歌之介、三枝――花形10人が明かす、とっておきの話。

 と言う本で、聞いてない落語家もいるけど、全然大丈夫。ビジネス書というより、現代を考えるときの必読の書ではないかと思う。落語を聞いてない人にこそ。すごく面白いから。
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春桜亭円紫を聴く

2011年12月17日 23時54分24秒 | 落語(講談・浪曲)
 一番好きな落語家である春桜亭円紫師匠を聴きに行きました。
 ということで、判らない人はもう読まなくてもいいようなもんですが、それでは不親切過ぎますね。でも「円紫ファン」は世に多いから、けっこう通じるのかもしれません。

 「春桜亭円紫」は、もちろん実在の落語家ではありません。作家北村薫の覆面デビュー作、「空飛ぶ馬」で登場した登場人物で、「円紫さんと私」シリーズ5作に出てくるキャラクターですね。ちなみに、北村さんは(川内優輝さんの話で書いた)春日部高校卒業で母校の国語教師でした。89年に「空飛ぶ馬」を発表し、「このミス」(「このミステリーがすごい!」)2位になりました。1位は原の「私が殺した少女」で、「奇想、天を動かす」(島田荘司)、「エトロフ発緊急電」(佐々木譲)と続いています。すごい豊作年。その当時は個人情報が判らず、朝日新聞が活躍する女性作家の一人に入れていました。女子大生「私」は春日部方面に住んでいることになっていますが、渋谷に出るときに「上野で乗り換え」と言ってるのが時代を感じさせます。(2003年に、東京メトロ半蔵門線が東武線に乗り入れを開始してからは、それで行く人が多いでしょう。)北村薫は、一番面白い円紫シリーズではなく、次に面白い「時と人三部作」(スキップ、ターン、リセット)でもなく、ようやくベッキーさんシリーズの最終作「鷺と雪」で2009年に直木賞を受賞しました。

 という架空の落語家をなんで聴けるのか。それは、実在の落語家、柳家三三(さんざ)が、「空飛ぶ馬」を語り、円紫風に(?)落語を演じるという素晴らしい企画があったから。今回2回目。北村薫とのトークもあり。来年5月、6月、7月にも「夜の蝉」シリーズをやるそうです。(チケットは3.3発売)原作の朗読ではなく、それでは長くなるので、ホンを書いてそれをやってるそうです。円紫さんの趣向で落語をやるのが面白く、最後のトークがもっと面白い。でも、あんなに面白かった「日常の謎」ミステリー自体がなんだか慣れてしまった感じもちょっとする。みんな北村薫の影響だったわけですが…。

 「このミス」などが出る前から、年末はミステリーを読むことが多く、今年もミステリーモードに入ってます。最近はあまり読んでなかったんだけど。私立高校に動物の死体を持ってきた少年が、転学した後で刺傷事件を起こすという事件がありました。「前兆と判っていたら対処できたかも」などというコメントがあった。おいおい神戸の事件を忘れたかと思ったけど、つまらない研修するよりミステリーを読みましょう。事件に関してのお勧め新作は、ジャック・カーリイ「ブラッド・ブラザー」(文春文庫)です。落語とミステリー、これが教師の研修に一番役立つと思います。
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