尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

謎の「参政党」、新しい右翼政党に警戒ー参院選比例区の党①

2022年06月27日 23時29分19秒 |  〃  (選挙)
 参議院選挙が公示され、東京都選挙区では34人も立候補している。供託金が諸外国に比べて高すぎるという批判を以前書いたが、とにかく今は選挙区に立候補するには300万の供託金が必要なのである。300万円出して何か訴えたい人がそれだけいる。そして比例区にもずいぶん知らない党が出ている。(比例区の供託金は名簿登載者×600万円。)「ごぼうの党」なる候補者の顔写真を一切載せない不思議な党もある。何と選挙公報にも候補者名や政見が書いてない。どうなっているんだろうか。

 そんな中で、情勢報道で「参政党」なる党に議席獲得可能性があると報じられた。参政党って何なんだと話題を呼んでいるのだが、何しろ全国45選挙区すべてに立候補者を出していることにも衝撃を与えている。比例区には5人立候補していて、5×600=3千万円。45×300=1億3500万円。合計して1億6500万円の供託金が必要になる。一体誰が負担しているのだろうか。いずれ政治資金報告書が公表されれば判明することだが、現時点では謎が多い。ただ秘密のスポンサーがいるというよりも、5億円目標のカンパがすでに3億5千万円も集まっていることに注目すべきだろう。
(参政党メンバー)
 参政党から比例区に立候補しているのは、松田学吉野敏明赤尾由美武田邦彦神谷そうへいの5氏である。普通、誰も知らないだろう。何となく武田邦彦という名前に聞いたような覚えがしたが、他は全く知らない。ところで、松田学という人の経歴を見ると、元衆議院議員1期と出ている。調べてみると、1957年生まれ、東大卒で1981年に大蔵省に入省した。2010年に退職して、「立ちあがれ日本」から参院選に立候補して落選。「太陽の党」を経て旧「日本維新の会」に合流し、2012年衆院選で南関東ブロックの比例単独で当選した。その後、2014年に分裂したときには「次世代の党」に参加したが、同年の衆院選で落選した。
(松田学氏)
 「参政党」を立ち上げたのは、2020年4月とある。「次世代の党」は自民党よりも右の位置取りで成立したが、支持が広がらず「日本のこころを大切にする党」と改名した後、2018年に自民党に合流した。安倍政権が長期化する中で、「より右」の存在意義が薄かったのだろう。候補者を欲しいだろう現「維新」から出ないのは、かつての分裂劇が尾を引いているのだろうか。「投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる。」とホームページでうたっている。しかし、今までの松田氏の経歴を見ても、明らかに右派的な政策を持った党であるのは間違いない。

 参政党を検索すると、画面に『国民の眠りを覚ます「参政党」』という電子書籍の広告が出て来る。参政党立ち上げメンバーである吉野敏明神谷宗幣両氏の著作という。吉野氏は今回比例区に出ていて、歯科医だが「西洋医学と東洋医学、医学と歯科医学を包括した治療」をすると広報で述べている。神谷氏は元吹田市議で、その後自民党から2012年の衆院選に出るも「維新」に敗れて落選した。今回は比例区から立候補している。2013年にネットチャンネル「CGS」を開設したという。この本を出しているのは、青林堂ヴィジュアルとある。青林堂と言えば、かつて伝説の漫画雑誌「ガロ」を出していた会社だが、今はヘイト本をたくさん出している。そこから出しているのだから怪しさを感じる。

 武田邦彦氏を調べると、この人も非常に怪しい感じがする。1943年生まれで、すでに79歳。2020年に、あの田母神俊雄氏らとともに参政党アドバイザーに就任とウィキペディアに出ている。選挙違反で有罪となって以後名前を聞かなかった田母神氏の名前を久しぶりに見た。東大を出て旭化成に入社、その後芝工大、名大、中部大で教授を務めているのだから、元々はきちんとした科学者のはずである。しかし、ウィキペディアには、地球温暖化、コロナウイルスやワクチン、喫煙などについて「トンデモ発言」を繰り返していると指摘されている。また愛知県の大村知事リコール問題では、高須克弥百田尚樹有本香竹田恒泰とともにリコールの会の設立記者会見に出席したという。結果的に刑事事件で終わったリコールだが、武田氏も上記のような人たちと同類だった。
(武田邦彦氏)
 このように、明らかに現代日本の極右的な系譜につながる人たちが参加しているのが「参政党」だと考えられる。「日本維新の会」とは一緒にやれない過去を持つ人たちである。そこで自分たちで新たに立ち上げて、すでに地方議員も複数いる。市議会が多いが、ボードメンバーになっている川裕一郎という人は石川県議会議員である。「ボードメンバー」というのは、「党全体のお世話役。全体の方向性をまとめます。」とホームページに出ている。神谷、川、松田、赤尾由美、吉野の5人がボードメンバー。赤尾由美氏はアルミ会社社長というが、元日本愛国党総裁の赤尾敏の姪だという話。
(神谷宗幣氏)
 今まで日本の議会政治の歴史では、共産党より左の党も、自民党よりも右の政党も、長く存在出来なかった。まあ、共産党より左の勢力とは、つまり議会政治を否定し直接的に革命を目指すわけだから、選挙には出ないのだが、地方議会には少しいたこともある。また諸外国に多い環境主義的政党も当選できなかった。参議院に小政党が当選したことは何度もあるけれど、結局は消滅するか、自民党に吸収されていった。その意味では圧倒的に多数を形成する自民党より右側に党を作る試みが成功するとは思えない。参議院で少し議席を獲得しても、何も出来ないからである。それはともかく、ネットやSNSを駆使することで伸びているらしき、怪しげな右翼政党「参政党」は危険かつ怪しいというのが調べた結果である。
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1 コメント

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松田学は (指田文夫)
2022-07-03 20:37:04
松田学は、横浜なので見たことがあります。
非常に大きな男でした。
大変に偉そうな感じでした。

衆議院議員になっているのに、参議院選挙に出るなど不思議ですが、たぶん自民党にいては、ワンノブゼムになってしまうのが不愉快だったのかと私は推測しています。
以前から自費で、本も出しており、金はあるのだと思います。
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