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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

アフリカン・アメリカン・キルト展@資生堂ギャラリー

2007-10-09 15:25:10 | 好きなもの・美術館や展覧会

 3連休の真ん中の気持ちの良い秋晴れの日、久しぶりに銀座へと
出かけました。

 「アフリカン・アメリカン・キルトー記憶と希望をつなぐ女性たち」展
見るためです。

 アフリカン・アメリカン・キルトとは、アメリカ南部諸州に暮らす
アフリカ系女性が作るキルトのことで、同じ「アメリカン・キルト」でも、
ヨーロッパ系の人々が作る、伝統的なパターンを縫い合わせた端正な
キルトとは、まったく異質なものだと、説明にありました。

構成、色使いともに型破りで、ダイナミック、即興性が特徴だそうです。



 実際に目にする前は、ローラ(大草原のちいさな家の)のお母さんや
おばあさんたちが作ったものと、どう違うのだろう、と思っていました。

 実際に目にしたら、そのなにもかもが違っていました。

 同じなのは、貴重な布を、大切に繋ぎ合わせるというスピリットだけでした。



 たいせつなことは、精神〈気持ち)の伸びやかさと自由なのだと
壁に大きく広げられたキルトは、教えてくれているようでした。

 端がまっすぐかとか、三角形の角がピンとしているかとか、
左右対称にするためには、同じ色を入れなければいけないとか。
いろんな決まりごとや技術に縛られて、最初に「作りたい」と思った
ピュアな気持ちを、忘れるようなことがあってはいけないのです。


 それにしても、大胆な色の組み合わせは、どこからやってくるのでしょう。

 展覧会の説明ページでは、強烈な色彩、ふぞろいの針目が誘う躍動感、
即興性、をアフリカにルーツをもつ、音楽のジャズになぞらえていました。
太古からの血の中に、リズムが刻み込まれ、それが音楽に表われたのと
同様に、キルトにも表現されたということなのでしょう。私はそう理解しました。
アフリカ系の人たちは、ただ「歩く」という動作の中にも、リズムを持って
いますもの。


 
 キルトは、アートなのかそうでないのか、という問題があるそうです。
私は、見る人の心に感動を残すという点では、名もない女性が
家族のために作った生活用品であっても、十分アートだと思うのですが、
そうではないと思う批評家も居るそうです。

 今から60、70年も前に、ちくちくとひと針ひと針縫っていた女性たちは
アートだって、アートじゃなくたって、そんなことどっちだっていいのよ、と
きっと笑いとばすだろうなあと思いました。実際の作品を見ていると
そう思えてきてしかたありませんでした。
 
 そして、言葉にならない励ましをもらっているような気さえしました。
だいじなことは、ひと針ひと針縫いすすめること。
一歩、一歩、歩き続けること‥。





       ‥     ‥    ‥    ‥


 

 銀座7丁目ライオンでのお昼ご飯をはさみ、そのあと日本橋へと
足を伸ばしました。ヒナタノオトさんへ行くためです。

 前回おじゃましてから半年以上もたっていたのに、季節をふたつ
飛び越したとは思えない親密さは、決して、ブログで日々の様子を追って
いるからだけではないでしょう。

 端正なポットの作り手である、萩原千春さんの作品展2日目は
見応え十分であると同時に、とてもリラックスできる空間でもありました。

 

 10月20日、21日には、今年も「工房からの風」がひらかれます。
千春さんが、実際にポットを組み立てる様子を見ることができるそうで、
今からとても楽しみにしています。(あ、それとどんぐり拾いも)







コメント (4)
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