レイモンド・ギオー先生はパリ音楽院のフルート課教授でした。パリオペラ座管弦楽団の指揮をされたりしたいました。
「どんな先生?」と聞くと、当時「マリオそっくりだから、すぐわかるよ。」とみんな口をそろえて教えてくれました。会ってみると、確かにそっくり。フランス人なの?って思うほど、スケールや、クロマティックを取り入れていて、モイーズのスケールとクロマティックの練習を、1時間、それから、タファネルゴーベールをと、いつになったら曲に行くんだろう?と言うほどやりました。そのせいか、門下の生徒はクラッシックだけでなく、ジャズなどジャンルを問わず活躍しています。
マスターコースもはじめに一時間全員でスケールの練習をしました。
その時、よく言われていたのは、「スケールも、決して機械的に練習してはいけない。」。
「えーっ。メカニズムの練習じゃないの?」と私も当時、思いましたが、それは、脳は単調な仕事をすると眠ってしまう。脳を活性化するためには、脳をサボらせないように、考えながら練習する。と言う意味です。
たとえば、同じスケールでも、アーティキュレーションを変えてみる。表情記号をつけてみる。など、いろんな形を自分で考えてやってみる。テーマを作ってそれが表現できているかと問いかけながらやってみる。
「自分を機械にする練習ではなく、脳を目覚ましておくことが大切なんだよ。たとえ一音でも機械になってはいけないよ。」
どんな音も脳と心をはたらかせながら演奏する。
創造する。クリエイティブと言うのは、どういうことかを教えてくれた先生でした。