植えた覚えのない朝顔が、いつの間にかガレージに蔓を伸ばし、夏の終わりになって咲きました。夏の名残りの花。明日から新学期。また、季節が変ります。
オネゲルの「牝山羊の踊り」は、ドビュッシーの「シリンクス」(1912年)を聴いて1932年頃作曲されたそうです。ソロ楽器でも色彩感が豊かに表現されたというところに感動して自分でも書いてみた。ということです。
ドビュッシーは、フルートの持つ色彩感に早くに気づいた作曲家です。ベーム式のフルートはそれ以前のフルートとは別の楽器のようです。木質の持つ素朴で暖かな音と、金属の持つ華やかできらびやかな音の狭間をいつもゆれているような気がします。
オネゲルはフランス6人組に数えられているのは、こういう曲を書いていたこともあると思います。少し横を向いていたのはワグナーを愛していたこと。
イベールも1936年にフルートの無伴奏ソロ曲 「小品」を書いています。彼はオネゲルと2歳しか変らなくて、その頃、オネゲルと舞台作品を共作していました。
3人のフルート独奏作品を並べてみると、転調、色彩感の共通点と同時に違いも感じます。
ドビュッシーのシリンクスは牧神と言う意味で、上半身は人間、足は山羊。森の妖精のような存在ですが、オネゲルが牝山羊を持ってきたのは、ドビュッシーへの尊敬の現われのような気がします。
イベールはもっと、クールに距離をとっています。題名は「小品」、作品も、もっと乾いた太陽のような感じがします。
ベームによって新しい音色を得たフルートの可能性に多くの作曲家が挑戦した時代でした。
おかげで、美しい曲がたくさん生まれ、私たちが今でも楽しむことができます。