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「蜩の記」、10年後切腹を命じられた男の物語

2014-10-07 18:21:16 | 日本映画
おススメ度 ☆☆☆☆

黒沢明の流れをくむ小泉堯史監督作品です。

ただ非常に地味な作品で、決闘シーンも少なく、もっぱら静謐な武士家の物語です。

友人とのちょっとした喧嘩で刃傷沙汰を起こした庄三郎。切腹を免れるが、3年後に切腹を命ぜられた戸田の元へ赴く。下された沙汰は、戸田の改心を防ぐことと、藩の歴史書の執筆の手助けである。

戸田が、切腹を猶予されたのは、歴史書作成の大役があったからだ。

静謐な戸田を身近に観察して、切腹の原因に疑問を抱いた庄三郎は、当の側室や周りの人にその経緯を訪ね歩く。

一方、藩と御用商人たちが、農民を苦しめている現状を知る。

前半は、淡々と戸田家の日常が描写され、それが蜩の記(日が暮れるのをいつくしむかのようになく蜩とその日暮らしがかけられた日記)であり、夫婦、親子、師弟、恋愛などの感情が丁寧に描かれる。四季を織り込んだ風景も美しい。

後半は、百姓一揆が詮索され、殺人事件まで起こる展開だが、ここは、脇道なので駆け足。

戸田の切腹問題でも、重要な文書が出てきて、あわただしい。

だが、結局、命が助かる場面もあったが、飄々と切腹に臨む戸田の姿で終わる。

日本らしい、潔さだ。

まあ、現代ではありえないが。

戸田の別所広司、庄三郎の岡田准一をはじめ、芸達者で固めた演技陣はさすが、うまい。
コメント (2)
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