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JR常磐線代行バス(原ノ町以北)~大半は相馬を境に系統分断

2011-08-21 | バス[東北]

先月MAKIKYUが南東北へ足を運んだ際には、3月の東日本大震災に伴って今もなお不通となっている仙石線・石巻線・常磐線の3線区において、列車代行バスを利用したものでしたが、常磐線の代行バスに関してはまだ取り上げていませんので、今日取り上げたいと思います。

常磐線の代行バスは、MAKIKYUの訪問時点では亘理駅~相馬駅~原ノ町駅間で運行しており、その後今月に入ってからは久ノ浜~広野間でも運行を開始しています。

広野~原ノ町間は途中に現在一般人の立入が禁止されているエリアも含まれ、未だに復旧見込みはおろか、代行輸送の確保すらならない事を考えると、代行バスが運行しているだけでもマシといった所ですが、MAKIKYUが利用した亘理~相馬間の代行バスだけでも1時間程度を要します。

乗継時間を含めると仙台~相馬間ですら現在約2時間程度、南相馬(原ノ町)となるとそれ以上の時間がかかりますので、随分不便に感じるものです。

また亘理~原ノ町間の代行輸送は、中には直通運行している便もある様ですが、大半は相馬を境に系統が分断されているのも大きな特徴です。


MAKIKYUが利用した亘理~相馬間では、乗車した便はJRバス東北の三菱エアロバスでしたが、他にJRバス東北の車両はいすゞ製車両も活躍を目撃しています。


他に観光バス専業事業者で、震災による津波で車庫が被災するなど被害の大きかった仙台バスも、亘理~相馬間を走る一部便の運行に携わっており、同社の三菱エアロバスが活躍する姿も見られ、亘理~相馬間で活躍する2社の代行バスでは、仙石線代行バスと同様式の種別・行先表示が見られたのも大きな特徴です。


この区間では主に常磐線よりも内陸を通る国道を走り、途中の山下・坂元両駅が位置する山元町では、甚大な被害の発生した海岸近くの地域を立入禁止にしている事もあってか、JR駅から1km以上離れた箇所に代行バス停留所が設けられているケースもあります。

そのため仙石線代行バスが走る野蒜駅周辺や、石巻線代行バスが走る女川駅周辺に匹敵する程の凄まじい被災地域は通らず、時折1階部分が破損した建物などを見かける事で、津波被害が発生した事を実感する程度でした。
(常磐線代行バスの沿線自治体もかなりの被害が発生しており、3桁の死者が発生した町が幾つもあるのですが…)

相馬~原ノ町間は、南相馬市が緊急時避難区域に指定された事も影響してか、相馬以北に比べて代行バス運行開始が遅れ、この事も系統分断の一因になっているのかもしれませんが、こちらは南相馬市に拠点を置くはらまち旅行バスの車両が何台か活躍している姿を目撃しています。

はらまち旅行バスは地場の小規模な観光バス専業事業者だけあり、MAKIKYUは震災後に初めて社名を知った程ですが、JR代行輸送以外にも南相馬を中心に臨時バスを幾つか走らせ、鉄道輸送が麻痺状態の中で地域の交通機関確保に尽力しています。


代行バスで活躍する車両を見ると、用意できるバスは片っ端から…といった雰囲気が感じられ、さほどの距離や時間を要する訳でもない相馬~原ノ町間の代行バスで、スーパーハイデッカーの大型観光バスが使用されている姿も見かけたものでした。

その一方でどう考えても貸切輸送で使う車両とはかけ離れている三菱製小型路線車・AEROMIDI MJの出没も目撃しています。


この車両は見るからに大都市圏の中古車といった雰囲気が漂い、代行輸送用にわざわざ用意したのか否かも気になりますが、側面ガラスには「JR代行バス 原ノ町駅~相馬駅」と大きく書かれているのも大きな特徴です。

相双地区(福島県浜通り北部)の2大都市(相馬市・南相馬市)間に限れば、JR常磐線も路線位置などを考えると、津波被害はさほどないかと思いますが、この車両を見ると代行輸送の長期化を見越している様にも感じられます。

常磐線の宮城・福島県境付近は津波被害が甚大で、不通が長期化する事は確定的な状況ですが、仙台方面から鉄路がつながるまでは、相双地区内のみでの列車運行再開を行わないのか、離れ小島的状態でも原ノ町駅に留置されている車両を使用し、今後相双地区内のみの特別ダイヤによる暫定運行に踏み切るのかも気になる所です。