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JR美祢線・ようやく復旧へ~西日本の不通区間は解消されるものの…

2011-08-25 | 鉄道[中国]

昨年発生した災害に加え、今年3月の東日本大震災による地震・津波被害や夏の豪雨などにより、現在日本国内では東日本を中心に不通となっている鉄道路線が多数ある事は、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方もご存知かと思います。

その中でも昨年夏の集中豪雨による橋脚損傷などで長期の運休を余儀なくされ、1年以上の間列車運行ができない状況が続いていた山口県の美祢線(厚狭~美祢~長門市)は、9月26日始発から全線で運転再開となる事が、昨日JR西日本HPにて発表されました。

美祢線は時刻表では一応黒線で示され、幹線扱いになっている路線とは言え、全区間が単線非電化となっています。


近年の定期旅客列車は基本的に軽快気動車・キハ120形が1~2両程度でワンマン運転を行い、それも概ね2時間に1本程度と言う路線ですので、かつての貨物輸送の関係で幹線扱いになっているとはいえ、実態は閑散ローカル路線の1つとなっています。

MAKIKYUも一度だけ乗車した事がありますが、JR西日本のローカル線名物とも言え、崖のある所などで25km/h程度と極端に速度を落とした徐行運転を行う箇所も幾つも見られた程で、決して本数も多いとは言い難い列車も1両ワンマンでありながら、輸送量的にはバスでも充分では…と感じる程でした。

そのため昨年の災害で復旧見込みが立たないと聞いた時は、台風による甚大な被害を受け、復旧せずに廃線となってしまった高千穂鉄道の2の舞にならない事を願っていましたが、長らくバスによる代行輸送が続いていた状況からの脱却に目処が付いたのは一安心です。

またJRが発表した災害復旧後の美祢線ダイヤを見ると、復旧と併せて改良工事を行い、極端な徐行箇所が減少した事が功を奏したのか、決して利便性が高まったとは言い難いものの、若干の所要時間短縮が図られています。

これに加え、時刻表を見るとJR西日本のローカル線では【毎週第○△曜日運休】という案内を良く見かけ、美祢線も例外ではありませんが、少し前なら定番だった「代行輸送はありませんのでご注意下さい」といった案内は姿を消し、決して旅客流動の大きな路線ではないにもかかわらず、「☆印は運休日にバス代行輸送」という案内が見られるのも評価できる所です。
(本来なら公共交通機関として、常に安定した輸送を確保するのが当然の話ですが、JR西に限ってはそうでない状況が少し前は当り前でしたので…)

今回の美祢線復旧発表により、JR西日本管内では不通区間は無くなり、また長期に渡るバス代行が続くJR東海・名松線の末端区間(家城~伊勢奥津)も、再開までの道程は長いものの、5月に復旧へ向けた合意がなされるなど、本州内JRでは東日本を除き、鉄路復旧の見込みが立っています。

しかしながらJR東日本では3月の東日本大震災による津波被害が余りに大きく、被災地域も広域に跨っており、三陸沿岸を走る第3セクターの三陸鉄道も、津波被害によって過半数の区間が不通のままとなっています。

これに加えて震災に関連した福島の原発事故、更に新潟県などでの集中豪雨によっても不通区間が多数発生しています。

原発関連は一般人の立入自体が制限され、事態収拾による放射線量の低下と、その後の除染などに相当な時間を要する見込みですので、手の施し様がありませんが、津波被災区間の中には今でも再開見込みどころか、代行輸送が行われずに定期券・回数券のみの路線バス振替となっている路線が幾つも存在しています。

また新潟方面でも一部で代行バスの運行が行われていますが、未だに代行バスすら運行されずに不通となっている線区も存在しています。

地域内での路線バス運行なども限られ、公共交通機関を用いてたどり着く事ができない駅も発生する有様で、鉄路の復旧見込みが当分立たないのであれば、早急に代行輸送を開始するなど、地域の足を確保する事に尽力して頂きたいものです。
(秘境駅とも言われ、冬季閉鎖となる人里離れた県境の1駅は別格ですが…)