先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた南海フェリー、以前はなんば~和歌山港間の南海電車と合わせ、関西~徳島を結ぶ基幹ルートの一つを構成しており、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、この事をご存知の方も多いかと思います。
しかしながら明石海峡大橋架橋後は所要時間の差もあってか、明石海峡大橋経由の高速バスに関西~徳島間基幹ルートの座を譲り、今日大阪や神戸からは、徳島をはじめとする四国方面や、その途中に位置する淡路島への高速乗合バス路線が多数設定されています。
その一部は南海バスや徳島バスなどの南海グループも運行を担っており、一方で関西~淡路島への航路は、明石海峡大橋架橋後は次々と運行取り止めになるなど、この一帯の交通網は橋一本で随分変化したものです。
そのため所要時間の面では劣勢が否めず、南海フェリーは関西~徳島間の基幹ルートではなくなってしまいましたが、さすがに和歌山~徳島となると明石海峡大橋経由では随分な遠回りを強いられます。
和歌山・徳島はどちらもそこそこの規模を誇る都市だけあってか、両都市間の移動需要なども存在し、かつて程の勢いはないとは言えども航路は存続、今日でも南海電車~南海フェリーを乗り継いで関西~徳島間を移動する事ができます。
最近では南海グループ同士と言う事もあってか、両者を乗り継いで利用した際に大幅に割引となる、「好きっぷ2000」と称した企画乗車船券も設定されています。
この企画乗車船券を購入すると、定期券サイズの南海電車乗車券・南海フェリー乗船券・横長サイズ注意案内の3枚セットで発券され、電車の乗車券は自動改札機対応(下車駅にて回収)となります。
南海フェリー2等客室に片道乗船するだけでも2000円を要しますが、この企画乗車船券を利用すると、南海電車の大半の駅(なんば・関西空港・河内長野など)への電車乗車券とセットで2000円、フェリー乗船で実質的に南海電車がタダになると言っても過言ではない価格設定となっています。
南海電車は大手私鉄の中では、運賃面では割高な部類に入る上に、南海本線だけでもロングシート通勤車で乗り通すには少々…と感じる距離がありますので、利用区間次第ではかなり利用価値があります。
(かなりの大回りを強いられますので余り利用者は居ないかと思いますが、徳島港~高野山間を移動する際の割引率などは、かなり高くなっています)
MAKIKYUはこの企画乗車船券があるからこそ、徳島~関西方面間で南海フェリー利用を選んだといっても過言ではない程ですが、南海電車では途中下車前途無効になる事と、南海電車の駅から徳島方向へ向かう際の「とくしま好きっぷ」購入可能駅が主要駅に限られてしまう点は要注意です。
(なんば・新今宮・天下茶屋・堺東・関西空港など比較的利用の多い駅からの設定となっており、普通(各停)のみ停車する駅からの発駅設定は少数(住吉大社・初芝など)です)
明石海峡大橋などの通行料金が高額な事も災いし、高速舞子(JR舞子駅隣接)からでも2000円は軽く超えるなど、運賃面では割高感が否めない関西各地~徳島間を運行する高速路線バスに比べて割安なのは大きなメリットです。
(青春18きっぷによるJR普通・快速列車利用でも、1回当たりの単価(2300円)は明石海峡大橋経由高速乗合バスより割安ですが、結構な大回りになる上に、大阪(なんば)~徳島(徳島駅)間の移動であれば、徳島駅~徳島港間の路線バス運賃(200円)を足したとしても、まだ運賃面で「好きっぷ」利用に軍配が上がります)
また明石海峡大橋経由の高速乗合バスは、大半が狭い4列席車での運行ですので、時間はかかっても広々とした空間でゆったりとくつろぎながら関西~徳島間を移動したいと感じる方にもおススメかと思いますし、南海電車~南海フェリー乗り継ぎルートは、移動選択肢の多様化と言う点でも注目の存在かと思います。
「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も関西各地~徳島間を移動する機会がありましたら、その選択肢の一つとして「好きっぷ」利用を検討されては如何でしょうか?
(お断り)この記事は南海電車(鉄道)・南海フェリー(船舶)の双方に跨る内容となりますが、当記事は先日取り上げた南海フェリーに関する記事の続編という事もあり、「船舶」扱いとさせて頂きます。
(追記)ブログ記事公開以後に南海電車の設定駅が拡大(加太・汐見橋など)され、現在では南海電車各駅~和歌山港経由~徳島港で利用可能となっています。
また南海電車では発売駅以外でも係員に申告する事で、和歌山港駅で発券できる便宜的措置も講じられている模様です。
(2017年1月)