既に様々な所で話題が出回っていますので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、ご存知の方も多いかと思いますが、岩手県内を走るJR東日本・岩泉線の廃線がJR側より正式発表され、2010年夏から永らく運行休止状態が続いていた同線は、復旧する事なく廃線となりました。
岩泉線は日本全国に数多く存在する「ローカル線」の中でも、希薄な沿線人口や、人の流動と一致しない運行区間、運行本数の少なさなどが災いし、永年「日本一輸送密度の低い路線」の座に君臨する状況でした。
旧国鉄時代の不採算閑散路線整理に当たっても、輸送量は僅少ながらも、「沿線道路が未整備」という事で辛うじて残存し、沿線の道路整備さえ行われれば、何時廃線になっても不思議ではないと言っても過言ではない状況でした。
元々が超閑散線区である上に、2010年夏の土砂災害による脱線事故発生→多額の復旧費用などを懸案すると、もはや民間企業による鉄道運行は…と言わざるを得ないのが現状で、仮に無償でタクシーやマイクロバス貸切による代行輸送を行ったとしても、その方がコスト面でまだ割安なのでは…と感じる程です。
(現にJR現存路線でも、冬場の積雪期になると長期運休→代行輸送が近年常態化している路線も、幾つか存在していますが…)
MAKIKYUも岩泉線には、2004年夏に一度だけ乗車した事があり、今は全車退役となった非冷房のキハ52形気動車が専ら専従している状況でしたが、利用状況は相当低調で、今回の廃線正式発表は「遂にこの時が来た」と言うのが正直な心境です。
(写真は全て2004年夏に撮影したものです)
今後岩泉線は正式にバス代替される事になり、人口希薄な土地柄では路線バス運営も容易ではないかと思いますが、どの様な形態での運行になるにしても、地域に必要な公共交通が維持され、運行本数や運賃(利用者負担)などで大幅な利便性低下に繋がる事だけはない事を願うばかりです。
現状では岩手和井内~茂市~宮古間の岩手県北バスや、岩泉町内を運行する町営バスなども存在しますので、これらの一部と代替バスを統合する事で、全体の運行本数を調整して運行コスト(自治体持ち出しも含む)を下げつつも、実質的な利便性を低下させない再編などが行われるのかも気になる所です。
また岩泉線の廃線とは別件ですが、JR東日本では永らく首都圏~北東北間の足として親しまれてきた寝台特急「あけぼの」号も、来年春以降の定期運行廃止が正式発表されています。
(写真は既公開記事で使用した画像の再掲です)
こちらもMAKIKYUは何度か乗車した事があり、車両の老朽化に加え、新幹線整備の進展や夜間高速乗合バス運行の拡充など、取り巻く状況が大きく変化した今日では、廃止は致し方ない気がします。
その後「北斗星」も後を追って定期運行廃止→ブルートレイン自体が過去帳入りとなると、「クルーズトレイン」の類を除く客車寝台列車の旅を追い求めるとなれば、はるばる遠く大陸まで足を伸ばさなくてはいけなくなり、一つの時代が終焉を迎える事になるのは少々寂しいものです。
(それでも超高額運賃や、少ない定員の「クルーズトレイン」に乗車する事を考えると、旅程の都合さえ付けば大陸の客車寝台列車に乗車する方が遥かに容易ですが…)