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東武鉄道 634型「スカイツリートレイン」~快速系列車の運転終了が注目されていますがこちらも…

2017-04-20 | 鉄道[首都圏・私鉄等]

明日(421)は東武鉄道の本線系各線(スカイツリーライン・日光線など)で大規模なダイヤ改正を実施、大都市圏鉄道各線の大規模ダイヤ改正は通勤通学流動の少ない土休日に実施される事が多いですが、休前日となる金曜日に実施と言うのは異例という気もします。

このダイヤ改正では新型特急車「Revety」運用開始と日光線快速・区間快速(以下快速系列車と記します)の運転取り止め、快速系列車に代わり南栗橋以北で急行・区間急行の設定などが主な改正内容となっています。

日光線快速系列車は遠距離を乗車券のみ(追加料金なし)で移動でき、車両も基本的には首都圏の一般車両にしては上等なボックスシート、トイレも設置され長時間乗車も考慮した6050系が充当。

有料特急だと夜割でも少々割高と感じるMAKIKYUにとっては、日光や会津方面へ出かける際には非常に重宝する存在、宇都宮へ足を運ぶ際にも都内(浅草・北千住)・埼玉県内(春日部)~栃木・新栃木で乗車した事(新栃木~東武宇都宮間は東武宇都宮線普通利用)が何度もあります。

快速系列車で用いられる6050系は昭和末期竣工、登場から既に30年前後が経過している上に、同型の過半数は6050系登場前の快速用車両・6000系の機器流用車となっています。

機器流用車は流用機器の使用年数が50年超となっている上に、長距離運用主体で運用されていた事も考慮すると、退役も残念ながら致し方なしという気もしますが、一部は純粋な新車として登場しています。

純粋な新車として製造された車両の中には、名義上は直通運転を行う野岩鉄道と会津鉄道の車両として運行している車両も存在しており、これも決して新しい車両とは言い難いものの、機器流用車に比べれば老朽化の程度は遥かにマシなのでは…という気もします。

純粋な新車として登場した6050系は、今後も暫くは南栗橋以北で新規設定される急行・区間急行などでの活躍が期待できると思いますが、中には優等用に改造された編成も2編成存在しています。


この2編成は形式番号を634型に改め、座席指定制の特急「スカイツリートレイン」として運行、2012年登場ですので運行開始から約5年が経過しています。

一般車を種車とした有料特急車は私鉄・JR共に最近各地で登場しており、昨年近鉄が南大阪・吉野線で運行開始した特急「青の交響曲」などは、過半数の扉を埋めており、客扉があった部分の窓サイズが異なるなど、一目で改造車である事が分かる程の改造を施しています。

種車の6050
系は元々長距離仕様の2扉車という事もあり、窓割の変化などは少ないものの、観光向けに展望性向上を図るため、天井窓を改造設置しているのが大きな特徴です。


外観塗装も水玉模様をイメージした独特なモノに改められ、22編成が存在するスカイツリートレインは青系と赤系の装いが2両ずつ、通常は2編成併結の4両編成で運行しています。

改造対象となった22編成は、純粋な新車として製造された6050系では2編成しかない東急車輌製、昭和63(1988)製というのは形式番号(634)にちなんでいるのか否かも気になったものですが、車内には製造と改造を示す標記が並んで掲げられた箇所も存在しています。
(
他に改造ステッカー貼付のみの箇所も存在)


これも最近は
2者を纏めたステッカーにしてしまう事例もありますが、スカイツリートレインでは東急車輌の銘板はそのまま残存、その下に今流行りのステッカーで総合車両製作所の名前が掲出されており、この並びを見ると鉄道車両メーカーの変遷を物語っている様にも感じたものでした。


車内に足を踏み入れると、乗降口は種車同様の両開き扉ですので如何にも改造車と言う雰囲気、元々長距離運用を想定したトイレ付車両、デッキと客室の仕切りなども設けていない事もあり、車端部分は種車の面影がよく残っていると感じるものの、優等用車両としてそれなりにグレードアップした感も受けたものでした。


 
客室内の座席は外観が青系の編成はモケットが青色、赤系の編成はモケットが赤色となっており、両編成共に座席配置は電動車(浅草方)が片側に窓向き座席設置、制御車(伊勢崎・日光方)は片側に1人掛け座席設置となっています。


2+2
列の座席が並ぶ定期特急車に比べると、座席数はかなり少なくなっていますが、座席自体はシートピッチもさほど広くない上にリクライニング角度も浅め、これに加えて座席下の足元が塞がっている事もあり、長時間乗車で座り続けるとなれば少々難ありという気も…と感じたものでした。

 
近年流行の車内情報装置も種車には設置されていないものの、スカイツリーライントレインへの改造に合わせて設置、既存車両の改造で
LCDモニターを設置した車両でよく見かける横長タイプとなっています。

 
LCD
モニターは4か国語表示、中国語でスカイツリートレインは「晴空塔号列と案内される様は特徴的でしたが、通勤列車やビジネス向け特急ならともかく、観光向けで団体臨時列車として用いる車両にこのタイプのLCDモニターというのは余り類がないのでは…と感じたものでした。


最近優等用列車で設置される事が多いラゲージスペースも設けられており、スーツケースなどの大荷物があるから有料特急で…という需要にも応えているのは、最近の優等用車両ならではと言う気もしますが、スカイツリートレインに限れば天窓設置で荷棚が撤廃されていますので、天窓設置で荷棚が撤廃された事もあり更なる需要に応えるというよりは荷棚の代替で必須の装備と言う状況です。


また種車と同様に複数編成併結時に貫通路を構成可能な正面貫通式車両ですので、最初から展望席を設けた優等専用車両に比べると、前面展望性は大きく劣りますが、スカイツリートレインへの改造に併せ、乗務員室背後に前面展望を楽しめる座席を設置しているのも大きな特徴です。



最前部の展望席は足元がやや狭く感じ、「長時間の座席の占有はご遠慮ください」というステッカーも掲出されるなど、床面もややかさ上げされているなど子供向けの要素が強い印象、大人が長居したくないと感じさせる意図もあるのでは…と感じたものです。

スカイツリートレインは車両構造なども影響し、展望席としてはかなり簡素な部類かと思いますが、東武の有料特急は前面展望に難ありと感じる列車が多い状況ですので、小田急などには到底敵わないものの、この様な区画を設置した事は評価できる気がします。

このスカイツリートレイン、ダイヤ改正前のダイヤでは土休日などに臨時特急として運行しており、MAKIKYUも一度だけ乗車機会がありましたが、明日のダイヤ改正以降は旅客列車としての設定がなく、専ら団体専用列車になってしまいますので、特急券を購入して乗車しようと思っても…という状況になっています。
(運転日は専ら土休日=実質的には数日前で一般旅客向け営業終了です)

快速系列車で使用していた6050系に関しては、快速系列車廃止が随分注目される反面、浅草までの定期的な乗入は廃止されても野岩・会津鉄道直通の普通列車などで乗車機会がある事を考慮すると、旅客列車での乗車機会が今後暫く見込めない634型ももっと注目されても…と感じたものです。

大改造からさほど年数を経ておらず、6050系の中でも新造車故に今後の活躍もまだ期待できる事を考慮すると、今後何らかの形で再び一般旅客向け営業に充当される機会が巡って来る事にも期待したいものです。

もし団体臨時列車以外での634型旅客列車運行が実現するなら、6342編成をペアで運行するのではなく、他の6050系と組み合わせての46両編成なども実現すれば、様々な需要に応える列車の実現と言う意味でも評価できる列車になりそうですので…