先日「MAKIKYUのページ」では、カンボジアを走る鉄道・ROYAL RAILWAYに関する記事を公開しましたが、今日は続編として旅客列車内外の様子を取り上げたいと思います。
カンボジアは一時期鉄道運行自体が全面休止となり、今日でも旅客列車の運行区間や運転本数が限られている事もあってか、ネット上での情報発信なども少ないのが現状です。
特に日本語では数少ない情報源の一つとなっているWikipediaでも、軌道状況や使用車両、沿線治安など様々な面で凄まじい内容の記述が幾つも見られ、「現地のクメール語を理解できなければ利用は困難」という記述まで見受けられる程です。
しかしながらMAKIKYUがROYAL RAILWAYを利用した際には、プノンペン駅窓口では簡単な英語が通用し、タケオ駅に至っては韓国語や中国語も独学で勉強している駅員が居り、片言の韓国語と筆談でやり取りする事も可能な状況でしたので、旅客営業休止前の惨状を記していると思われるWikipediaの記載などとは情勢も大きく変化していると思われます。
たまたま旅客列車運行日にプノンペンに滞在していた事もあるとはいえ、クメール語は文字の解読すらできず、カンボジア訪問自体が初めてのMAKIKYUでも、単独で乗車券を購入して乗車できる位でしたので、その気になれば現在は外国人旅行者でも比較的容易に利用できる鉄道なのでは…と感じ、MAKIKYUの乗車時には地元民(カンボジア人)だけでなくアメリカからの旅行者なども見受けられる状況でした。
旅客営業で使用している車両も、非電化路線だけにディーゼル機関車牽引の客車列車となっており、客車も新型車両を導入している訳ではないものの、大々的な改装を行い空調も完備されているなど、ベトナム国鉄のハードシートやタイ国鉄の3等車などに比べれば遥かに快適と感じたものです。
MAKIKYUが乗車したプノンペン→タケオ(→シアヌークビル)の旅客列車の編成をシアヌークビル方から順に取り上げると、以下の通りとなります。
機関車・BB1051
オレンジ色・箱型のディーゼル機関車でフランス製。
車体塗装は日本で数少ないナローゲージ(軌道幅762㎜)&機関車牽引による客車列車運行を行っている黒部峡谷鉄道の電気機関車を連想する雰囲気。
客車1号車・ZZFF802
元々は気動車だった車両の動力装置を外し、客車化したと推測される車両。
車内の座席はロングシート。
客車2号車・BZAFF66
5両編成の客車で唯一のクロスシート車。
背の低いボックス席が並んでおり、MAKIKYUの乗車時は乗客が少ない事もあってか、1号車と共に冷房が入っていない状況でした。
客車3号車・AZAFF84
他のロングシート車よりもやや簡素な印象の車内が特徴。
客車4号車・BZAFF61
ロングシートの客室以外にコンパートメントタイプの個室(?)も備えているものの、個室は鍵がかかっており使用できない状況でした。
客車5号車・ZZ801
1号車と同様に元々は気動車だった車両の動力装置を外し、客車化したと推測される車両。
車内客室の床に段差があるのが特徴で、車端部分は旅客立入禁止の業務用区画。
客車5号車の後部に有蓋貨車・GGIL893
貨車内には発電機が設置され、バイクなどの小荷物輸送と発電車を兼ねている状況。
発電機の中には日本語表記が見受けられるものも存在。
有蓋貨車の後部に無蓋車載車を2両連結
プノンペン駅に入線した列車(シアヌークビル朝発)では何台かの自家用車を積載していたものの、MAKIKYUが乗車した列車ではトラクターとトゥクトゥクが各1台積載されるのみで、MAKIKYUの乗車列車に限れば車載車は1両でも充分と感じた程。
カンボジアのトゥクトゥクは原付の後部に客車(荷台)を後付したタイプが主流、トゥクトゥクはプノンペン市内でもタクシーとした多数走っている他、荷物輸送で使われる事も多く、車載車に積載されたトゥクトゥク(写真)もかなりの荷物を搭載。
※客車5両は全て家庭用と思われる冷房装置の室外機が床下に装備され、車内も家庭用と思われる冷房装置が何台か設置。
客車は全て青と白の塗装で統一されており、車両間の連結はねじ式連結器を使用。
バッファーは片側一つだけとなっており、幌は韓国や中国など海外では一般的なゴム筒を突き合わせたもの。
客車の両先頭車は元々の気動車だった車両と推測される車両故に、前面は両車両共に片側が湘南型の2枚窓。
ライトを潰した痕跡がある他、前面もガラスを塗装したり網が入っているなど、車内から車外を見渡すのは…と言う状況。
また(シアヌークビル→)タケオ→プノンペンで乗車した旅客列車は、乗車時間が夜間帯と言う事もあって写真も数枚しか撮影できていないものの、こちらも編成はディーゼル機関車+発電車兼用有蓋貨車+客車+車載車の編成で、機関車はシアヌークビル行列車と同型の番号違い。
客車は元々気動車だった車両の動力を外したと推測される車両が2両背中合わせ、こちらも塗装は青と白でプノンペン方車両の番号はZZ803。
車内の座席はZZ803がボックス席、もう1両のシアヌークビル方車両は転換式クロスシートでした。
この他にもプノンペン駅には見るからに古めかしい風貌の車体で、車端幌上に冷房装置の室外機を設置した客車1両(VRSVFF24)と、発電車兼用と推測される有蓋貨車1両の姿も目撃しています。
そのため2017年8月時点で稼働可能な旅客用客車は、最低でも8両以上存在している事になります。
今後運転日や本数の増大、バッタンバン・ポイペト方面路線復旧などの動きがあれば、新造か中古導入などによる所要車両数増も考えられ、現状の運行形態が何時まで続くのかも気になったものでした。
列車乗車中の車窓やタケオ駅の様子などに関しては、近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。