徳大寺有恒氏に言わせれば「所有する喜びのない」カローラ・ランクスに乗っているぼくが、人生で最初に「欲しい」=「所有したい」と思ったクルマがホンダの最初の4輪車、ホンダS500である。
ちなみに、ぼくが最初に買ったクルマ(道交法上の「車両」)は、自転車を除けば、高校3年の時に買ったホンダのスーパーカブ50ccである。
今でもはっきり覚えているのだが、ぼくが小学生か中学生の頃、ホンダが発売する予定のスポーツカーが抽選で1台当たるという懸賞広告が新聞に載った。
どういう抽選ないし懸賞だったかは忘れてしまったが、今回、“国産名車コレクション”90号(2009年7月1日号)によると、この発売予定の新車(Honda S500)の定価を当てるというクイズだったらしい。同誌によると、1963年6月16日付の新聞に載ったという。
当時ぼくはまだ13歳、中学1年生。当然免許もないのに親の名前をかたって応募したのである。確か広告のなかに50万円前後というヒントがあったように記憶する。正解は45万9000円だった。
結果はもちろん落選である。これも同誌によると、何と応募総数は573万5417通だったという!! これでは当たるわけはないだろう。もしこんなモノに当たっていたら、人生の“運”をすべて使い果たしてしまっていただろう。
そのHonda S500の1/43モデル(ノレブ社製)ミニカーのついた“国産名車コレクション”90号(アシェット・コレクションズ・ジャパン発行)を、お茶の水の書泉ブックマート6階の車コーナーの棚に見つけて買ってきた。
当時、ホンダS500の実車を街中で見た記憶はまったくない。
発売翌年の1964年にはHonda S600にモデルチェンジしたため、S500が販売されたのは1年間だけ、総販売台数は1388台だったと、これまた同誌にはある。
この希少性では、お目にかかることは難しかっただろう。
残念ながら、来年早々にホンダが発売するハイブリッドのスポーツカー“CR-Z”やトヨタの86には、もはや1963年頃の少年の胸を躍らせた何かは、もう存在しない。
* 写真は、“Honda S500”の1/43のミニカー(ノレブ社製)。“国産名車コレクション”90号(アシェット刊)の“オマケ”。
夕暮れ時に豆豆研究室の蛍光灯の下で携帯電話のカメラで撮ったため、少しぼやけている。
2009.10.24