今日は、ちょっと、とぼけた作文です。昨日東慶寺の暮苑を散策しているときに空想したことです。天国にいらっしゃる、暮苑の著名人が、ここで暑気払いの宴会をしたらどうなるか、想像してみました。敬称略です。
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今日は12時から、恒例の松ヶ岡会、暑気払いが開かれます。早々と会場の南側の小高い山のようになったところに、高見順と前田青とんが陣をとり、何か話しています。おい、お前、天国では、酒は止めたと聞いたが本当か、と前田が聞きます。あー、止めたよ、身体に悪いからな、でも、たばこはやめられねーや。現世の人が毎日のようにたばこの火をつけて、おれのうち(墓)においていくんだよ、と言いながらピースに灯をつけます。あんたも、今日は酒を飲まないのか、なんだ、宴席だというのに、カンパスなんかもってきて、何を書くんだ、と高見。酒は嫌いだし、暇だから、この高いところで、みんなの顔を日本画風に描こうかと思っている、みんな有名人だから、高く売れるぞ、あっ、向こうから、岩波茂雄が歩いてくる、あいつは天国でも本屋だから、あとで頼んでおこう、と前田。
西側の一角にも人が集まってきました。鈴木大拙と西田幾多郎が並んで入ってきます。石川県の学校で同級生だけあって、ここでも、いつでも一緒です。二人のうしろには大拙の松ヶ岡文庫に巨額の財政援助をした安宅と出光が談笑しながら歩いてきます。天国でも羽振りが良いらしく、英国製の高級背広を着ています。この4人の周りに、和辻哲郎、安部能成、三枝博音の哲学者と、どういう関係があるのか、歌人の太田水穂もこのたまりにいます。
向かいの東側には女性陣です。おしろいを塗りたくった田村俊子と口紅を真っ赤につけた、真杉静枝が、寄り添うように座っています。気が合うようです。二人とは少し離れたところに、歌人の四賀光子がいます。旦那の太田と一緒にきたのですが、会場に来てから離れました。田村は智恵子(高村)と友人で、彼女をモデルにして書いた「女作者はいつも、おしろいをつけている。この女の書くものはたいがい、おしろいの中からうまれてくるのであろう」が、境内の石碑となっています。天国にきてから、智恵子と自分の区別がつかなくなって、自分が、おしろいをつけるようになりました。
北側のスペースに小林秀雄がひとりぽつんと座っています。酒癖が悪いので、だれも近づかないのです。かわいそうと思ったのか、苦労人の岩波が右隣に寄ってきて、あいさつをしています。そして、誰も知らない、最近入ってきた無名人Mが、小林の左隣に座り、私は現世では先生の大フアンでした、いろいろお教えくださいと深々と頭を下げていました。小林はフンという顔をして横を向きました。
その横には、天国ママさんバレー監督の大松博文と天国陸連会長の織田幹雄が夢中で話しをしています。話が合わないようです。オリンピックのことのようですが、東京大会とアムステルダム大会とが区別ができなくなって混乱しているようです。ときどき根性、根性という大きな声も聞こえます。近くの小林が苦々しい顔をみせています。
みなさんそろったようです。いよいよ宴会の始まりです。お酒は、鎌倉ビールと天国限定酒、古史の寒梅です。おつまみは、鎌倉ハム、井上かまぼこ、小町通りのたまごやきもあります。飲まない人のためには、大船軒の鰺の押し寿司とハムのサンドイッチが用意されています。
さー、宴会が始まりました。天国では、からだも軽いので、それだけ、お酒のまわりが早いです。あちこちで騒動が始まりました。
(つづく)
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今日は12時から、恒例の松ヶ岡会、暑気払いが開かれます。早々と会場の南側の小高い山のようになったところに、高見順と前田青とんが陣をとり、何か話しています。おい、お前、天国では、酒は止めたと聞いたが本当か、と前田が聞きます。あー、止めたよ、身体に悪いからな、でも、たばこはやめられねーや。現世の人が毎日のようにたばこの火をつけて、おれのうち(墓)においていくんだよ、と言いながらピースに灯をつけます。あんたも、今日は酒を飲まないのか、なんだ、宴席だというのに、カンパスなんかもってきて、何を書くんだ、と高見。酒は嫌いだし、暇だから、この高いところで、みんなの顔を日本画風に描こうかと思っている、みんな有名人だから、高く売れるぞ、あっ、向こうから、岩波茂雄が歩いてくる、あいつは天国でも本屋だから、あとで頼んでおこう、と前田。
西側の一角にも人が集まってきました。鈴木大拙と西田幾多郎が並んで入ってきます。石川県の学校で同級生だけあって、ここでも、いつでも一緒です。二人のうしろには大拙の松ヶ岡文庫に巨額の財政援助をした安宅と出光が談笑しながら歩いてきます。天国でも羽振りが良いらしく、英国製の高級背広を着ています。この4人の周りに、和辻哲郎、安部能成、三枝博音の哲学者と、どういう関係があるのか、歌人の太田水穂もこのたまりにいます。
向かいの東側には女性陣です。おしろいを塗りたくった田村俊子と口紅を真っ赤につけた、真杉静枝が、寄り添うように座っています。気が合うようです。二人とは少し離れたところに、歌人の四賀光子がいます。旦那の太田と一緒にきたのですが、会場に来てから離れました。田村は智恵子(高村)と友人で、彼女をモデルにして書いた「女作者はいつも、おしろいをつけている。この女の書くものはたいがい、おしろいの中からうまれてくるのであろう」が、境内の石碑となっています。天国にきてから、智恵子と自分の区別がつかなくなって、自分が、おしろいをつけるようになりました。
北側のスペースに小林秀雄がひとりぽつんと座っています。酒癖が悪いので、だれも近づかないのです。かわいそうと思ったのか、苦労人の岩波が右隣に寄ってきて、あいさつをしています。そして、誰も知らない、最近入ってきた無名人Mが、小林の左隣に座り、私は現世では先生の大フアンでした、いろいろお教えくださいと深々と頭を下げていました。小林はフンという顔をして横を向きました。
その横には、天国ママさんバレー監督の大松博文と天国陸連会長の織田幹雄が夢中で話しをしています。話が合わないようです。オリンピックのことのようですが、東京大会とアムステルダム大会とが区別ができなくなって混乱しているようです。ときどき根性、根性という大きな声も聞こえます。近くの小林が苦々しい顔をみせています。
みなさんそろったようです。いよいよ宴会の始まりです。お酒は、鎌倉ビールと天国限定酒、古史の寒梅です。おつまみは、鎌倉ハム、井上かまぼこ、小町通りのたまごやきもあります。飲まない人のためには、大船軒の鰺の押し寿司とハムのサンドイッチが用意されています。
さー、宴会が始まりました。天国では、からだも軽いので、それだけ、お酒のまわりが早いです。あちこちで騒動が始まりました。
(つづく)