こんばんわ。
2024年は印象派誕生150年目の節目の年だそうだ。それを記念して、東京都美術館で”印象派/モネからアメリカへ”展が開催されている。さすがに印象派人気で館内は混雑していた。ゆっくり見られないが、印象派とその前後の絵画なので、見慣れた”風景”で、心地よい美術散歩になった。
ボストンに近いウスター美術館の所蔵のものがほとんどで、ウスター美術館所蔵展といっても良い。来日初というものがほとんどのようだ。”海を越えた印象派”がサブ・テーマで米国の画家の作品も多い。印象派というとモネ、その代表作というと睡蓮の連作だが、その睡蓮を世界で最初に購入したのがこのウスター美術館だという。その作品も来日している。挨拶代わりにその、モネの睡蓮から。
クロード・モネ 《睡蓮》(1910)モネは、後半生をパリの北西65kmほどにあるジヴェルニーで過ごし、自らつくり上げた「水の庭」の睡蓮を描きつづけた。
次のような章立てになっていて、印象派の直前の時代から始まり、パリの印象派とつづく。そして、国際的な広がりを追い、アメリカの印象派へ。最後はポスト印象派という構成である。
第1章 伝統への挑戦
第2章 パリと印象派の画家たち
第3章 国際的な広がり
第4章 アメリカの印象派
第5章 まだ見ぬ景色を求めて
残念ながら写真撮影禁止ということで、ちらしに載っている作品を各章ごとに、公式サイトの解説を参考にしながら、記録しておきたい。
第1章 伝統への挑戦 19世紀前半、農村に移り住んだ画家たちは、これまでの歴史・神話・聖書の物語等の伝統的な風景画から離れ、農民の生活や田園風景を主題に選んだ。
コロー ヴィル=ダヴレーの牧歌的な場所/池畔の釣り人(1865) コローの別荘があるこの地を繰り返し描いた。
ウィンスロー・ホーマー 《冬の海岸》19世紀後半 アメリカを代表する画家、ホーマーは、画業の後半には海や海と対峙する人々を描いた。
トマス・コール 《アルノ川の眺望、フィレンツェ近郊》壮大な自然のなかに、この地に暮らす人々が小さく配されている。人間と自然の調和を描き出した。
ほかに、クールベの”女と猫”など。
第2章 パリと印象派の画家たち 1874年4月、パリではじめて”印象派展”が開催された。モネ、ルノワール、ピサロら。これに賛同した画家たちがパリに集合、米国からはカサットやハッサムらも。
ピサロ 《ルーアンのラクロワ島》(1883)ノルマンディー地域圏の首府、ルーアンは、大西洋とパリをつなぐ水運拠点。ピサロ、モネ、シスレーらもこの地で制作を行った。
メアリー・カサット 《裸の赤ん坊を抱くレーヌ・ルフェーヴル》 カサット は印象派展に参加した唯一の米国人。愛情あふれる母子像が多い。
チャイルド・ハッサム 《花摘み、フランス式庭園にて》アメリカ印象派を代表する画家。ハッサムが滞仏中に夏を過ごした、パリ郊外の友人宅の庭園。木漏れ日の表現、明るい色調や瑞々しい草花を表わす大胆な筆触。本展の代表作。
ほかに、ルノワールの”アラブの女”、セザンヌの ”オーヴェールの曲がり道”、ベルト・モリゾの”テラスにて”等、著名画家の作品も。
第3章 国際的な広がり 印象派の衝撃は急速に世界各地へ広がり、それぞれの地で独自の発展をみせる。日本も例外ではなく、明治期にパリに留学した画家らによって伝えられた。本展でも彼らの作品(国内美術館所蔵)が展示されている。
アンデシュ・レオナード・ソーン 《オパール》スウェーデンの国民的画家。故郷ムーラの風景に裸婦を配し、パリで習得した技法を試みた。
ジョン・シンガー・サージェント 《キャサリン・チェイス・プラット》肖像画家の名手として人気を博し、印象派をアメリカへ広めることに貢献した。
黒田清輝 《草つむ女》穏やかな光に満ち、明るい色調や対象にあわせた自由な筆づかい。
ほかに・ホイッスラーの”バラ色と銀:磁器の国の姫君”のための習作、久米桂一郎の”林檎拾い”、藤島武二の”ティヴォリ、ヴィラ・デステの池”などがある。
第4章 アメリカの印象派 1880年代半ばになると、多くのアメリカの画家が渡欧し、印象派の様式を学び、帰国後、その様式にアレンジを加え、アメリカらしい田園風景や家庭内の情景を描く画家たちが登場。
ジョゼフ・H・グリーンウッド 《リンゴ園》地元ニューイングランドの穏やかで牧歌的な晩春の美し風景を描く。
チャイルド・ハッサム 《コロンバス大通り、雨の日》ハッサムはボストンを拠点にこうした大通りの情景を繰り返し描いた。
第5章 まだ見ぬ景色を求めて ポスト印象派の画家たちが、フランス、ドイツ、アメリカでそれぞれの発展をとげる。
ポール・セザンヌ 《「カード遊びをする人々」のための習作》故郷の南仏でカード遊びをする人々の絵画に取り組む。本作は現在メトロポリタン美術館に所蔵される作品の習作。
ポール・シニャック 《ゴルフ・ジュアン》新印象派を代表するシニャックは当初、点描技法を採用したが、1890年代中頃からしだいに筆触は大きく、色彩は自由になってゆく。
フランク・ウェストン・ベンソン 《ナタリー》ボストンの画家。カジュアルな服装ながら、遠くを見つめる眼差しと堂々とした姿には、20世紀初頭の近代的な女性らしい独立した精神が表されている。
デウィット・パーシャル 《ハーミット・クリーク・キャニオン》グランドキャニオンの作品で知られた米国の風景画家。すばやい筆触と、淡いピンク、黄色、青紫色の陰影を用いて、峡谷に反射する太陽光の印象が捉えられている。
国際的に知られた名画はないが、良く知られた印象派とその前後の画家たちの作品を一堂に見ることが出来、楽しい美術鑑賞であった。ちょうど、上野公園の広小路口の大寒桜が満開の頃だった。そろそろ、ソメイヨシノの開花も進んできているようなので、明日にでも出かけてみたい。
では、おやすみなさい。
いい夢を。
この日の広小路口の大寒桜。真ん中の枝垂れ桜は今頃、満開のはず。