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【cinema】『ブロークン・フラワーズ』

2006-06-30 00:02:03 | cinema
'06.06.28 Tと『ブロークンフラワーズ』@Q-AXシネマ

ずっと見たくてやっと見れた。「お金にも女性にも不自由せず気ままな独身生活を送るドン。ある日"あなたの息子がいます"という手紙が届く。友人のススメで昔の恋人達を訪ねる旅に出るが…」という話。ジャームッシュ節と言い切る程作品を見てないけど、『コーヒー&シガレッツ』でも感じたマッタリとしてるけど居心地悪い感じがおかしい。見る人を選ぶ作品とは思わないけど、ハッキリ結論が出たり、分かりやすい描写が好きな人(バカにしてはいない)は苦手かも。

ドン・ジョンストン(ドン・ジョンソンと聞き間違えられる小ネタあり)役のビル・マーレイ最高! やる気のないダメ中年をやらせたら右に出る者なし。基本的に無表情。結構な割合で寝てるか、あらぬ方向をぼんやり眺めてる。それだけでおかしい(笑)友人ウィンストン役のジェフリー・ライトかいい。ヘタをするとウザくなりがちだけど、愛すべきキャラになってた。境遇も性格も正反対の2人の対比が上手いっていうのもあるけど…。ドンはお金持ちって設定なのに、ウィンストンが勝手に計画したツアーの飛行機がすべてエコノミーなのもツボ。エチオピア音楽(これイイ!)にのせて何度か映る機内で毎回居心地悪そうなビル・マーレイがおかしい。

4人の元恋人など女性達も魅力的。別れてから約20年、それぞれの人生を生きてきた。それが多くを語らなくてもちゃんと分かる。今では他人の人生に突然踏み込んでしまったことによる居心地の悪さや、居場所のなさを感じたりして、自分が年を取ったことなどに思い至る。それを少しのセリフとビル・マーレイの表情だけで見せる感じがいい。バックパッカーの青年との絡みもいい。認めるのを避けてきた孤独感が浮き彫りになる。

結論は出ないけどそれもまたいい。あれこれ説明されなくても伝わるものは伝わる。ハッキリ結論を出さないってことは、例えそれが作り手の言いたいことではなかったとしても、それぞれが感じたことが正解なんだってことなのでしょうし…。

ビル・マーレイのジャージ(たぶんFRED PERRY)姿だけでも見る価値ありのおかしさ。

『ブロークン・フラワーズ』


コメント (2)
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